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ヒビ割れに宿る日本的美意識を、あえてガラスで表現する男

陶芸における日本の伝統技法である「呼継(よびつぎ)」を、ガラス作品に引用して注目を集めている作家がいる。その名は西中千人。彼は、自身の活動理念と共鳴するものを「CREATIVE HACK AWARD 2013」に感じ、ガラス作品ながらもグラフィック部門に応募。見事グラフィック賞を受賞した。西中の活動と「HACK」の間にある関係性とはいったい?

TEXT BY WIRED.jp_C
PHOTOGRAPHS BY YOICHI ONODA

インタビュー/西中千人
西中千人|YUKITO NISHINAKA
1964年和歌山県生まれ。星薬科大学卒業後、カガミクリスタル勤務。91年から94年にかけてカリフォルニア芸術大学にてガラスと彫刻を学んだのち、98年ニシナカユキト GLASS STUDIO設立。

──ガラスという表現方法と出合われたきっかけは何だったのでしょうか?

大学では薬学を学んでいたのですが、正直、グロテスクなものが大の苦手なんです(笑)。なので、医療方面に進むことは早々にあきらめました。将来をおもんぱかっていたあるとき、たまたまガラス工房の見学に行ったんです。そこでガラス工芸の魅力に目覚め、カガミクリスタルという皇室御用品を製造している会社に入れてもらいました。かなり無理矢理(笑)。

──職人の世界は普通、もっと若いころからその道に入るものですからね(笑)。その後、独立するまでにはどういった道を歩まれたのでしょうか?

ガラスを極めようと思って、カガミクリスタルは1年ほどで辞め、カリフォルニア芸術大学に留学したんです。そこで3年ほど、ガラスと彫刻を学びました。ヴェネツィアングラスの技術も学んでいたのですが、大学側との考え方の違いもあって除籍になってしまって(笑)。なので卒業はしていません。その後帰国して、富山市立ガラス造形研究所で2年ほど助手を務めてから独立しました。それが1998年です。

──アメリカで学んだことで得られたことがあるとすれば、どんなことでしょうか?

「外から見た日本」を考える視点を得たことでしょうか。例えば、ヴェネツィアングラスの技法を完璧に体得してオリジナル作品をつくり、それをニューヨークのギャラリーで展示したとしても、しょせん「最高の偽物だね!」という評価にしかなりません。それは、例えば長年の修行の末にヴェトナム人が完璧な柿右衛門をつくったとしても、それを見た日本のお偉いさんがどう言うかを考えれば、想像がつくと思います。だから、技術と知識は完璧に習得したうえで、「じゃあキミは何を表現するの?」といったオリジナリティこそが重要だと思うんです。まあ、そういった部分ですね。

──常識や因習にとらわれるな、という点は、まさにHACKの精神ですね。

そうなんです! CREATIVE HACK AWARDの存在を知って応募要項を読んだとき、「まさにその通り! これは絶対応募しなければ」と思いました。

──西中さんの作品におけるオリジナリティといえば、「呼継(よびつぎ)」です。日本の陶芸における技術をガラス作品に転用した意図はどこにあったのでしょうか?

呼継は、本来修理の技術です。戦国の武将たちは、割れてはいけないはずの器が割れると、ヒビを継ぎ、金を蒔き、あえて割れ目を強調して、それを「景色」と称して愛でました。つまり、欠点こそが個性であり、それが魅力になると考えたわけです。日本人にとってこの美意識はストンと腑に落ちるので、呼継された陶芸品が国宝になっていても取り立てて驚きません。しかし冷静に考えてみると、例えば大英博物館にもスミソニアン博物館にも、「ヒビがきれいで自慢です」といった作品なんて飾られていません。もし破損したら、目立たないように修復がなされ、元通りにされるはずです。それに気がついたとき、呼継の技法をガラスに用いることでガラス工芸の因習を打ち破れるし、日本人としてのアイデンティティを表現することにもなると考えたんです。

インタビュー/西中千人
約1,300度の炎によって、ガラスはいかようにも形を変えていく。「ガラスという素材の魅力は?」という問いに対し、西中は「ガラスは光。光をそのまま形にできる点が何よりも魅力です」。
インタビュー/西中千人
予測不能なヒビの美しさを表現する呼継とは違い、鋳込みによる作品制作のアイデアスケッチにはCintiq 13HDを用いることもある。

──CREATIVE HACK AWARD 2013において、西中さんの作品は「グラフィック賞」を受賞しました。そもそも、ガラス作家の西中さんが、グラフィック部門に応募なさったきっかけは何だったのでしょう?

応募要項に「既成概念を壊せ」とあったので、既存のジャンル区分を壊してもいいだろうと(笑)。でも、まさか本当に賞をいただけるとは思っていませんでした。

──「HACK」というお題に対する呼継という技法での回答、ジャンル区分の概念を超えた応募……。審査員の方々の評価は高かったです! ところで西中さんは、呼継以外の技法でも、ガラス作品を制作しているのでしょうか?

アメリカの大学で彫刻も学んでいたので、鋳込みガラスの作品も制作しています。こちらでも、既成概念をHACKした活動をしていますよ。具体的には、日本庭園です。

──日本庭園!?

日本庭園って、砂と岩だけで宇宙も大海も理想の蓬莱も表現する、という日本の美が凝縮した奥深くてハードコアな表現形態ですよね。でも、変にアカデミックになりすぎて、年寄りが講釈垂れるためにつくる庭、といった存在になってきていると思うんです。それがすごくもったいない。日本庭園をもっと楽しく感じてもらえたら、若い人も興味をもつだろうし、海外の人にも伝わりやすくなると思うんです。だからいま、日本庭園の石をガラスに置き換えたインスタレーション活動を行っているんです。ガラスの庭園を、いずれミラノサローネで提案したいと思っています。日本庭園は素晴らしい美意識ですが、いまのままで興味がない若い人や海外の人にその魅力を伝えるのはややこし過ぎる。だから、その核心がダイレクトに伝わるように、現状をHACKしていきたいんです。この庭園プロジェクトには、CREATIVE HACK AWARDの副賞でいただいたワコムのCintiq 13HDが、すごく役に立っていますよ。

──というと?

呼継の作品をつくるときは、ガラスを叩いて割ったときの偶然のヒビの美しさを生かしているので、撮影したあとのヴィジュアルの調整でCintiq 13HDを活用する程度なのですが、日本庭園プロジェクトの場合は、作品を置く空間の写真をCintiq 13HDに取り込み、その上にガラス作品を合成で配置してみることで、置いてみたときのバランスなど、作品のイメージ全体を事前につくり上げるのに欠かせないパートを担っています。

──ペンタブレットは、以前から使用されていたのですか?

以前はBambooという板型のペンタブレットを使っていました。Cintiq 13HDで初めて液晶ペンタブレットを使ってみましたが、画面に直接描き込めるのは、ちょっと感動的ですね。作業がより直感的になり、実際に現場で作業をしている感覚でシミュレーションを行えるので、実際の制作時間が大きく短縮されました。

──西中さんの日本庭園は、直近だとどこで拝見できるのでしょうか?

2014年3月15日から、名古屋にある古川美術館の分館爲三郎記念館で、特別展を開催させていただきます。

──ぜひ拝見してみたいです。最後に、CREATIVE HACK AWARDのグラフィック賞を受賞して、心構えが変わった部分があれば、教えてください。

ますます、ジャンルなんて関係ないと考えるようになりました。国も文化も関係なく、通じるものは通じる。それはどんな表現であっても同じだし、デジタルであってもアナログであっても、吹きガラスであっても庭園であっても、伝わるものは伝わる。その思いをより一層強めました。そういった意味でも、とても感謝しています。まあ、どんなジャンルといっても、歌って踊ってはできませんけどね(笑)。

インタビュー/西中千人
CREATIVE HACK AWARD 2013グラフィック賞を受賞した西中千人による「Crack is beautiful.ガラス呼継(よびつぎ)」。
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