2005年04月22日
重さ1gのカートリッジ型
超小型のコードレス・電池レス電子ペンを開発
ペンタブレットの世界的なリーディングカンパニーである株式会社ワコム(本社:埼玉県北埼玉郡大利根町豊野台2丁目510番地1 社長:山田正彦)は、これまで独自の電磁誘導方式であるワコム・ペナブルテクノロジー®(注1)による電子ペンの供給を、主にタブレットPC(注2)向けに行なってきましたが、このたび、世界で始めて電子ペン技術のカートリッジ化に成功し、「スーパースリムペン」の名称で発表します。これは、3.5mm径、質量1gの超小型電子ペンで、カートリッジ化により、これまで、時間のかかった電子ペン開発時間が大幅に削減でき小型情報機器用の電子ペンの開発を容易にします。ワコムは今後、「スーパースリムペン」を、次世代多機能携帯電話(スマートフォン)やPDAを製造するメーカーのほか、一般筆記具メーカー、ゲーム分野などにもコンポーネントとして供給していきます |
|
ワコムでは、昨年9月に、ディスプレイサイズが4インチ以下の小型情報機器で、画面側のセンサーをコントロールする小型ペンセンサーコントローラ「W8002」を発表していますが、「スーパースリムペン」は、これらの機器において、「W8002」と組み合わせて利用されることを想定した「高精度の筆圧対応電池レス・コードレスペン(注3)ユニット」です。本製品により、小型情報機器における「メニュー操作を自然にする『フライトポイント®機能(注4)』」「ディスプレイの背後にセンサー本体を組み込むことで画像劣化を防止し、耐久性を維持できる(注5)」などの、ワコム・ペナブルテクノロジー®方式の特長の活用促進が期待されます。 量産出荷は2005年5月より可能で、発表後1年間に500万個の販売を目標としています。 |
■スーパースリムペンの特長■
ペンの外装デザインの自由度を確保する超小型サイズ | |
従来は太さが5.5mm以上必要であった電子ペンの内臓回路を独自の電池レス技術を応用して直径3.5mm、長さ62mm、質量はわずかに1g程度にとどめました。これは、電子ペン内部に電池を内蔵する必要がない、ワコム・ペナブルテクノロジー方式でのみ達成し得るサイズです。本製品は、単体で、電子ペンとしての機能を備えた超小型カートリッジ型ですので、最終製品のデザインにマッチする外装ケースに簡単に内蔵することできるため、非常に幅広い需要に応えることができます。また、従来、電子ペンは一般文具とは異なる機構を持った特殊なペンを設計する必要がありましたが、カートリッジ型の採用により従来型の筆記具を基に、簡単に電子ペンを設計することができます。たとえば、ボールペンユニット、シャープペンシルユニットなどとともに、芯を切り替えて使用するタイプのペンにカートリッジとして装着すれば、タブレットPCや次世代携帯電話で電子ペンとして使用することが可能な「多機能ペン」を製品化することも可能です。 | |
超小型でありながら、電子ペンとしての基本性能を確保 | |
本製品は、従来よりのワコムの電子ペン同様、独自の電磁誘導方式(ワコム・ぺナブルテクノロジー)で作動し、定評ある耐久性、信頼性を備えています。また、タッチパネル方式(抵抗膜方式)など、他のペン入力方式に比して高い読取分解能と読取精度を確保できますので、特に小さな画面に正確な入力をする必要がある小型情報機器に適しています。 | |
ローコスト化の実現 | |
本製品は、内蔵回路を携帯電話、あるいは他の小型情報機器での使用を想定して最適化し、大手EMSメーカーとのアライアンスにより、最新の製造プロセスを採用したことで、従来の電子ペンに比して大幅なローコスト化を実現しました。 | |
なお、本製品の画像および、本ニュースリリースのデータは、次のサイトよりダウンロードしていただく予定です。 URL:http://tablet.wacom.co.jp/cgi-bin/wacom_press/form.cgi |
「スーパースリムペン」の仕様等
型番 | SSP−100−00 |
使用環境 | 5〜40℃(20〜80%) |
保存環境 | −10〜55℃(20〜80%) |
寸法 | 長さ:62mm、外形:φ3.5mm |
質量 | 約1g |
ON過重 | 30g以下 |
動作ストローク | 0.3mm以下 |
ペン先スイッチ動作寿命 | 200万回 (300g、3回/秒) |
■お問い合わせ■
<この発表に関するお客様からのお問い合わせ先>
株式会社ワコム コンポーネント統括 営業部(担当:小野田、石崎)
電話:03−5309−1508 (土日祝日を除く)
Eメール:components@wacom.co.jp
<この発表に関する報道機関からのお問い合わせ先>
株式会社ワコム東京支社
広報室 (担当:飯村)
電話:03−5309−1501
Eメール:wacompr@wacom.co.jp
<株式会社ワコムについて>
株式会社ワコムは、1983年創業のペンタブレットメーカーで、全世界で事業を展開しています。コードレス&電池レスで筆圧、消しゴム、傾き検出、デバイスIDなど先進的な機能を搭載した入力デバイスを世界に先駆けて製品化してきました。ペンタブレットの国内シェアは約96%。また、現在、世界で生産されているすべてのタブレットPCにはワコム製のセンサー&ペンが使われています。 |
本文中の注釈について
(注1)
|
ワコムでは、「タブレットPC」やグラフィックスタブレットなどの製品に使われている、ペン、入力センサー技術、あるいは液晶パネル裏への組み込み技術を「Wacom Penable Technology(ワコム・ペナブルテクノロジー)」と呼び、全世界的なブランドとして使用しています。これは、コードレス・電池レス、筆圧対応のペンと、追従性がよく解像度の高いセンサーとの組み合わせ技術であり、ワコム独自の電磁誘導方式によるものです。 |
(注2) | 従来のWindows XP Professionalにペンで手書き入力できる機能を付加したWindows XP Tablet PC Editionを搭載し、モバイル型ノートPCの進化形として設計されています。その手書き入力機能をフルに利用するには、高性能なペン入力デバイスが必要ですが、現在、世界で生産されているすべてのタブレットPCにはワコム製のセンサー&ペンが使われています。 |
(注3) | ワコムの特許技術で、ワコム・ペナブルテクノロジーを定義づける部分のひとつ。その利点は、@ペン意電池が不要であるので、形状に自由度が高いA電池の入手性を考慮する必要がないB電池切れの心配がないC電子ペンの構成が簡単で、低コストであるD耐久性が高く、超寿命である などとなります。 |
(注4) | ワコム・ペナブルテクノロジーではペン先の位置の検出に電磁波を用いているので、電子ペンがタブレットや画面に近づくだけで位置の検出が可能です。この機能によりペンを近づけた状態で画面上のカーソルを移動させることができます。この機能をワコムでは「フライトポイント®」と呼んでいます。この技術を携帯電話などに組み込めば、ちょうどパソコン画面のように、カーソルを自由に動かしながらソフトウェアを働かせることができ、たとえば、アイコンにカーソルを合わせただけでメニュー表示を可能にするなどの応用ができるようになります。これに対し、タッチパネル方式(抵抗膜方式)のように接触点の位置を検出するタイプは、接触するまで位置の検出はしないので、カーソルの移動ができずペンを画面から離して使うことができません。 |
(注5) | ワコム・ペナブルテクノロジーは、液晶表示装置とセンサーを一体化するときに、センサーを液晶の裏面に位置させる構造のため、表示装置の上に貼りつける抵抗膜方式にように表示装置の表示品質を落としません。反射型液晶にように光量に制限がある場合は、特に有用な方式です。 |