株式会社フロム・ソフトウェア 様

株式会社フロム・ソフトウェア 水野巧登氏によるWacom Intuos Proレビュー

株式会社フロム・ソフトウェア(以下:フロム・ソフトウェア)は、「ARMORED CORE」シリーズや「ELDEN RING」など、世界中で大ヒットしたゲームの開発で知られている日本有数のゲーム開発会社です。フロム・ソフトウェアで3Dグラフィックアーティストとして活躍している水野巧登氏に、Wacom Intuos Proをお試しいただき、ご感想を伺いました。

水野氏は、2019年にフロム・ソフトウェアに入社し、「ELDEN RING」や「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」、「ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE」といった、フロム・ソフトウェアの看板タイトルの制作で、キャラクターの3Dモデル制作やシェーダー作成、品質管理などを担当しています。キャラクターの3Dモデルの制作フローは、デザイナーが作成した2Dデザインを元に3Dモデルを制作。その後、アニメーターが動きを付けることで、実際にゲームの中で動くキャラクターになります。

専門学校時代からずっとワコムのペンタブレットを愛用

フロム・ソフトウェアでは、Autodesk 3ds MaxやMaxon ZBrush、Allegorithmic Substance Painter(現Adobe Substance 3D Painter)などのソフトを使って、3Dモデルを制作しています。

ワコムのペンタブレットを以前から利用していた水野氏。
「キャラクターモデルを作るには、まずMaxon ZBrushを使ってデザイン画からハイモデルと呼ばれるポリゴン数が多いモデルを作ります。その際、基本的にはペンタブレットを使ってスカルプトをしていきます。マウスでスカルプトをすることもできなくはないですが、効率が悪かったり、微妙な調整などはしにくかったりしますので、やはりペンタブレットが一番です。さらに後行程のテクスチャリング、Allegorithmic Substance Painter(現Adobe Substance 3D Painter)などを使って色や質感などのテクスチャを付ける細かな作業でも、ペンタブレットをよく使っています。今、会社と自宅で使っているのは、旧モデルのWacom Intuos Pro(PTH-660・2017年発売)ですが、その前の専門学校時代からワコムのペンタブレットを愛用していて、もう10年くらい使っていますね」

新製品のWacom Intuos Proのダイヤルやペンは使いやすい

ワコムのペンタブレットを長年使い続けてきた水野氏に、新製品のWacom Intuos Proをしばらく試用してもらい、ご感想を伺いました。フロム・ソフトウェア社内では、モニター3台を使って3画面で作業を行っています。水野氏は左利きなので、キーボードを少し右にずらして、その手前にペンタブレットを置いて作業をしています。

「まず、前のモデルに比べて薄く軽くなったのはやはり嬉しいですね。あと、私は左利きなので前のモデルは180度回転させて使っていたのですが、コードの取り回しが邪魔になったりすることがあって。新モデルでは、ダイヤルやExpressKeyが上に移動して左右対称のデザインになったので、コードが邪魔にならずに、より便利になりました。見た目もスタイリッシュで、少し斜めに角度が付いているのもいいと思います。初めてこれを使わせてもらって、ワンストロークやツーストローク、さっと描いたときに前のモデルより描きやすい感覚があったのですが、それは描くところが少し斜めになっているためかもしれません。
ダイヤルをクルクル回すときのカチカチという感触もとても気に入りました。機能的にもこのダイヤルで、ブラシのサイズを変えられるのはとても便利です。今までは、キーボードのショートカットでブラシのサイズを変えていましたが、ダイヤルでサイズをさっと変えられると、作業効率も上がります」

また、水野氏は、業務でペンタブレットをかなりの頻度で使用するため、ペンの芯がすぐすり減ってしまうことも気になっていたそうです。新製品ではペンの世代も一新され、最新のWacom Pro Pen 3に対応。Wacom Pro Pen 3では、新たにラバー芯が追加されています。このラバー芯は、細かなアイコンの選択などに向いた、適度な滑りにくさが特徴ですが、耐久性も従来の芯よりも向上しています。

「ペンも前のWacom Pro Pen 2より使いやすくなっていると思います。ペン先の揺れのようなものが減りましたし、重心を変えたり、グリップを外したりできるなど、利用者の好みに応じてカスタマイズできるのはとてもいいことです。さらに、新しいラバー芯の描き心地も気に入りました。ペンタブレットに吸い付いてくれるような感触。私は普段結構力を入れてガツガツ描くので、耐久性が上がったことも嬉しいですね。テクスチャ作業が多いときなど、今は1ヶ月も経たずにペン芯を交換しています。少しペン先がすり減っただけでも、感覚的に何か描きづらくなるので。細かい部分だと、ペンスタンドもより便利になっていますね。芯を替えやすくなっていますし、ペンスタンドの中に芯が入っているのですが、以前のペンスタンドよりも開けやすいです」

紙のように描くならlargeサイズ、業務にはmediumサイズが最適

Wacom Intuos Proには、small/medium/largeのサイズが異なる3モデルがあります。水野氏には、mediumサイズを試用していただきましたが、それ以外のサイズについて、水野氏ならどう使うかをお聞きしました。

「私は少し大きいのが好きなので、largeサイズはシンプルに描きやすそうだなと思いました。画用紙に手描きスケッチをしている感覚で使えそうだなと。ただ、実際の業務で使うとなると、大きすぎると机の上のスペースを取りすぎたりして、利便性が低下するので、mediumサイズが一番向いていると思います。実際の紙に描くのと同じような感覚で描くのが好きならlargeサイズが向いているでしょうし、そうではなくて手元でちょっとだけ動かして、画面では大きくポインタが動くといった操作感が好きな人なら、smallサイズがおすすめになると思います」

ペンタブレットがなければ、クリエイティブ制作は成り立たない

最後にクリエイティブ制作の現場でペンタブレットはどのような存在なのか、水野氏にお聞きしました。

「ペンタブレットは、3D制作であったり、クリエイティブな分野、特に絵を描いたり、立体造形をするような作業では“なくてはならないもの”で、作業の効率やクオリティを全体的に向上させてくれる本当にありがたいものだと思います。逆にいうと、ペンタブレットがなかったら、今の世の中に出ているゲームや映画など、いろんなジャンルの作品のクオリティにまで大きく影響してくるのではないでしょうか。これからもずっと使い続けていくものだと思います」

※PCモニターに表示されている画像は本取材用として用意した素材で、作品に使用されている素材ではございません。

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