液晶ペンタブレットで、消防同意審査の電子化をスムーズに推進

新潟市消防局では、紙中心だった消防同意業務のペーパーレス化と業務効率化を図るため、2024年10月にワコムの23.8型液晶ペンタブレット 20台を導入。本局(新潟市中央区)に加え、市内全8行政区の消防署で本格運用を開始しています。
大画面で電子図面を等倍表示しながら手書き入力も行えるようになったことで、従来の紙運用では難しかった効率的なペーパーレス審査業務が定着しつつあります。 今回は、新潟市消防局 規制指導課 設備係長の近藤氏をはじめ、係員の4氏に、同製品の活用方法や操作性、導入効果について伺いました。
新潟市消防局
新潟市は人口約76万人の政令指定都市であり、新潟県の県庁所在地として本州日本海側最大の都市です。新潟市消防局は市全域を管轄し、現場での消火・救急活動に加え、火災予防や調査業務などを通じて、市民の安全を日々支えています。
https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/bohan/shobo/index.html
左から:土田氏、吉野氏、近藤氏、村川氏
紙図面は広げるだけで一苦労。確認作業は“1人ずつ”しかできなかった
新潟市消防局の規制指導課は、建築物の新築・増改築に伴う「建築確認」において、スプリンクラー設備・自動火災報知設備などの消防用設備等が適切に設計・設置されているかを審査し、問題がなければ消防同意を行う部署です。本局の設備係には4名が在籍し、年間を通じて多くの申請を審査しています。
確認検査機関から申請書類や図面が送られてきたら、内容を確認し申請日や消防要件などの基本情報を管理システムに入力。その後、審査を行います。
審査ではA3サイズの図面を複数並べ、建具表・キープラン・立面図を見比べながら問題点が無いかを迅速かつ丁寧に確認する必要があります。 「以前はすべてプリントアウトし、机いっぱいに図面を広げて作業していました」

用途の判定や収容人員の算定など、審査項目は多岐にわたり、紙の図面上では三角スケールを当てて距離を測定し、設備ごとに色分けして補正事項を書き込むなど、紙図面ならではの手間がかかっていました。担当者の審査後は別の職員がチェックしますが、紙図面では同時に確認はできず、担当者ごと1人ずつ順番に図面を回して確認するしかない状況でした。
こうした紙中心の業務では、修正図面の印刷・折り・封入作業も大きな負担で、年々増える紙図面の保管スペースも問題となっていました。こうした課題がある中で、国が推進する「規制改革実施計画(R4.6.7閣議決定)」*1や新潟市が推進する行政手続きのオンライン化を受け、新潟市消防局でも消防同意審査のデジタル化およびペーパーレス化に取り組むことになりました。
*1行政手続きにおける申請・届出・交付に対面・書面・押印を求める原則を見直し、オンライン化を推進する政府の計画。同計画が定めた「オンライン利用率の大幅な引き上げ」に基づいて策定された「オンライン利用率引上げの基本計画(令和3年4月21日)」において、建築確認申請のオンライン利用率を令和7年度末までに50%とする等の目標が定められています。
液晶ペンタブレットは大画面で見やすく、操作も書き込みも思いのまま。ペーパーレス審査業務との相性が抜群
電子化を進めるうえで同局が求めたのは、大画面で複数図面を読みやすく表示でき、手書きで補正事項を明確に書き込めるデバイスでした。
「私たちの業務では、大判の図面を見比べながら審査を進めるため、複数の図面を同時に大きく表示できる環境が欠かせません。一般的なノートPCの画面では表示領域が不足するため、少なくとも2画面が必要になります。さらに、審査基準を満たしていない箇所を図面上で明確に指導するには、補正事項を手書きで書き込め、かつ読みやすく表示できるデバイスが必要でした。」
解決策を検討する中で、総務省消防庁の「消防同意等の電子化に向けたシステム導入対応マニュアル」に液晶ペンタブレットが紹介されていることに着目しました。まず検証機を借用して一次評価を行い、続いて試験導入として1台を1年間運用した結果、審査ルールに沿って運用できること、さらに職員にとって扱いやすい操作性を備えていることが確認できました。こうした評価を踏まえ、本格導入としてワコムの液晶ペンタブレット(DTH-2452)を20台採用し、本庁に4台、市内8区の各消防署に2台ずつ配備し運用しています。
選定の決め手についても伺いました。
・等倍で表示できる大画面
「A3図面を縮小せず等倍で確認できるため、細部の確認が格段にしやすくなりました。他社製品も検討しましたが、ワコムが国内メーカーである点も安心材料になりました。」
・思い通りに動かせる直感的な操作性
「拡大・縮小、位置調整などが滑らかで、画面が意図した通りに動きます。実は私は、慣れるまでは1か月ほどかかりましたが、今では欠かせないツールです。」
・細部まで確実に確認できるスムーズな拡大表示
「消防同意の対象は1,000㎡を超える建物が多く、縮尺1/200の図面ではどうしても文字や図版が小さく見えづらくなります。液晶ペンタブレットを使用することで、確認したい箇所を指でサッと拡大縮小でき、細部までスムーズに確認できるようになりました。」
ペーパーレスでも多彩な手書き注釈。履歴管理まで一体化し、審査品質を底上げできた
液晶ペンタブレットというハードウェアに加え、富士フイルムビジネスイノベーション社の文書管理ソフト 「DocuWorks」 と、プラスソフト社の手書きプラグイン「PenConnect」 を組み合わせた点も大きな決め手となりました。
この三位一体の環境により、図面への手書き注釈と審査履歴の保存・管理がシームレスに連携。補正事項を色分けや注記で明確に記録し、消防局の審査ルールに沿った形式で図面・申請文書をそのまま保存できます。結果として、審査の精度・一貫性が着実に向上。ペーパーレス運用でありながら、紙以上の操作性と確実性を両立できる仕組みを整備できました。

処理時間は半減、机上もスッキリ。業務スピードが大きく向上
現在、新潟市消防局で扱う消防同意の申請は年間約1,000件。そのうち既に半数以上が電子データでの受付となっています。
「紙での処理と比べると、全体の処理時間は半分になりました。印刷・封入作業がなくなり、書類の多い案件ほど効果が大きいです。データ共有により複数人が同時に同じファイルを確認できるようになり、チェック作業のスピードが圧倒的に上がりました」
設備係ではノートPCとワコムの液晶ペンタブレットを並べて使用し、モニターアームで高さを調整。大画面の液晶ペンタブレットをメイン画面として活用することで、作業効率はさらに向上したといいます。
「ペーパーレス化で机まわりが驚くほどスッキリしました。紙の使用量も大幅に減って、環境にも配慮できます」

予防業務の質を高め、市民の安全につなげるDXの取り組み
新潟市消防局では、消防同意業務だけでなく、すでに多くの分野でDXが進んでいます。書類の電子化や業務プロセスの見直しにより、日々の業務負担が軽減され、より迅速で精度の高い行政サービスを提供できる体制が整いつつあります。その流れの中で今回の液晶ペンタブレットの導入は、消防同意審査の効率化と質の向上を後押しする重要な取り組みとなりました。
近藤氏は、予防業務の使命について次のように語ります。
「規制指導課の役割は、火災を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えることです。市民の生命と財産を守るためには、審査の正確性とスピードの両立が欠かせません。今後も予防業務の高度化を進め、市民の安全・安心をしっかり守っていきます。」


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