マンガ家 ヒロユキ氏によるWacom MovinkPad Pro 14導入レビュー

週刊少年マガジンで『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』を連載中のマンガ家・ヒロユキ氏。『アホガール』『カノジョも彼女』など数多くのヒット作を生み出し、20年以上のキャリアを誇ります。13歳でGペンを握り、学校のクラブ活動から始まったマンガへの情熱は、専門学校を経て同人活動、そして週刊少年マガジンへの商業誌デビューへ。そんなヒロユキ氏に、長年にわたって進化してきたデジタル制作環境と、新たに導入したWacom MovinkPad Pro 14についてお話をお聞きしました。

ヒロユキ(マンガ家)
2004年に『まんがタイムきららキャラット』にて『ドージンワーク』の連載を開始し、商業デビュー。
以降も『マンガ家さんとアシスタントさんと』『アホガール』『カノジョも彼女』と、いずれもアニメ化する大ヒットを連発。
現在は『週刊少年マガジン』にて『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』を連載中。
実践型マンガスクール「カキコミ」では講師として2026年2月よりゼミを担当。
さらに2026年4月からは講座動画にも出演し、ヒット作を生み出してきた経験をもとに、マンガ制作の考え方や技術を体系的に伝えている。
FAVOからWacom Cintiq 24HDへ。デジタル化が「描く体験」を変えた。
──デジタル環境を導入されたのはいつ頃ですか?
同人活動を始めた頃からデジタルで仕上げはしていました。当時はワコムの板型ペンタブレットのFAVOを使っていて。FAVOからIntuos 2に買い換えたときに、こんなに精度が違うんだとびっくりしました。それまでは、描くときにポインターがぷるぷると震えることがあったんです。でもIntuos 2だと、そのストレスがなくなったってのがすごく印象に残っています。ただ、当時はまだカラーと仕上げだけデジタル、という形でした。アナログで原稿を作ってスキャンして、そこからデジタルで仕上げていく流れですね。
30代頃からCintiq 24HDに移行して、ペン入れも含めてフルデジタルになりました。液晶ペンタブレットへの移行を迷っていた時期もあったんですけど、アナログ用の机とデジタル用の机を両方置くのがどうにも場所を取って、それも変えたかった理由のひとつで。周囲で使っている人に少し試させてもらって、描けそうだなと思ったのがきっかけです。連載の途中で切り替えたんですが、割とすんなりいきましたね。
そのあとは、Windows OS搭載のWacom MobileStudio Proに移行しました。4Kに対応しているのが大きくて。HDの解像度だと、描いたものと印刷物の見え方に差があったんですよ。画面だとドットが見えてしまって、線の感じが印刷と違って見えてしまう。4Kになった瞬間に、もう品質確認のためにプリントアウトしなくていいなってぐらい、紙で見たものと同じようなものが画面に映っていて。それからはプリンタを全然使ってないんですよね。そのあとはWacom Cintiq Pro 16を使用しています。
──フルデジタルになって、制作の感覚はどう変わりましたか?
とにかく気楽になりましたね。アナログだと、思った線を引けるかどうかというのに、ペン先のインクの入り具合とか、当たり外れがあって、そういうことでストレスが溜まって絵に集中できないことがあった。そのストレスがなくなって、絵に安定感が出ましたね。ミスしてもすぐ直せるというのも大きくて、昔よりも明らかに丁寧に描けるようになって、クオリティが上がったと感じています。

Wacom MovinkPad Pro 14でほぼ全工程が完結。場所という制約から自由に。
──Wacom MovinkPad Pro 14を導入されたきっかけを教えてください。
これまでは外でネームや下書きはiPadとApple Pencilでやっていたんですが、ペン入れだけはどうしてもPCに戻らないといけなかったんです。外出先で仕事をすることが多いので、それが唯一残っていた制約で。それさえ解消できれば、もうほぼどこでも仕事ができるのにと、ずっと思っていました。
Apple Pencilでペン入れをしようとすると、筆圧感知の具合がワコムのペンとはちょっと違うみたいだったんですよ。Apple pencilでもすごく軽いタッチと強く押したときの差はある程度あるんですが、中間の筆圧にするのが難しくて。ワコムのペンはギュっとペンで力を入れれば自分の思った通りの表現ができるので、それがやっぱり好きなんですよね。だからWacom MovinkPad Pro 14を見たときは、シンプルにこれは最高でしょう、という感じで。これだけの品質のペンを使って、外出先でもペン入れまでできるなら、すぐに買うしかないなと思いました。
──実際に導入してみて、ワークフローはどう変わりましたか?
キャラクターのペン入れまでは全部外でできるようになったので、Wacom MovinkPad Pro 14をカバンに入れて持っていき喫茶店で作業して、データをアシスタントさんに渡し背景を入れてもらいます。仕上げだけ帰宅後に液晶ペンタブレットとPCでやる、という流れが自然にできました。3Dを使った背景の下書きとかもこれでできるので、ほぼ全工程を一台で完結できますね。ちょっとしたイラストを急に1枚描かなきゃいけないというときにもパッと対応できるのはやっぱり大きいです。
本当にこういうのがなかった頃は、ずっと家にいないといけなかったんですよ。これでやっと自由になれるという気持ちですね。FAVOからIntuos 2に変えたとき、フルデジタルに移行したとき、4Kになったときと、デジタル化を進めるたびに少しずつ作業のストレスが減っていきましたけど、Wacom MovinkPad Pro 14でついに「場所」という制約もなくなった感じがしています。
──画面サイズやUIの使い勝手はどうですか?
iPadより横長の比率なので、CLIP STUDIO PAINTのツールパレットを広げても作業領域がしっかり確保されるのがいいですね。iPadだと描ける領域が狭くなってしまうんですが、このサイズ感はマンガ制作にちょうどいいと思います。
画面にはWacom Premium Textured Glassによるアンチグレア加工と、アンチリフレクション(AR)コーティングが施されているので、とても見やすいですね。個人的なこだわりで別途ペーパーライクフィルムを貼って使っていますが、貼らなくても十分に紙に描いている感覚があり、自然に描けると感じています。

──Wacom Pro Pen 3の描き味はいかがでしたか?
やっぱりこれこそワコムのペンなんだよな、という感じはあります。20年使っているとなかなか離れられなくて。ワコムのペンで描くという安心感が、集中力にも繋がっている気がします。
手への負担も違います。ワコムのペンは筆圧感度が高くて、弱い筆圧でも強弱をコントロールできるので、力を入れすぎなくて済む。昔はやっぱり長時間描いていると手が多少痛くなったんですけど、今はほぼないですからね。マンガ家にとって手は本当に大事なので、ハードウェアのせいで手を傷めるようなことはしたくない。そこをしっかりサポートしてもらえているのはすごく助かっています。
ペンの充電が不要な点もメリットとして大きくて、Apple pencilのだとペン入れ中に充電切れになることが多かったので、そのストレスがなくなったのはありがたいです。
今からマンガを描きたい人は、Wacom MovinkPad Pro 14があれば間違いない。
──現在連載中の作品について教えてください。
週刊少年マガジンで『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』というマンガを連載しています。宝くじで7億円を当てた女の子が、そのお金を使ってちょっと楽しげな人生を送っていくという話で。僕は最初、マンガ家になるための理由のひとつがお金のためだったような人間なのですが、そんな僕がひたすらお金について考え続けてきた結果、こんな生き方してみたいなと思って描いているマンガなんです。僕が考える最高の人生を主人公に重ねて描いています。
この連載では、現在進行形でWacom MovinkPad Pro 14を使って描いています。

──最後に、これからマンガを描きたい方へメッセージをお願いします。
今からマンガを描きたい人には、Wacom MovinkPad Pro 14はめちゃくちゃいいんじゃないでしょうか。昔だったらパソコンと液晶ペンタブレットを別々に揃えることになるので、それだけでかなりの出費でしたが、それがオールインワンで手に入るとなったら、ずいぶんと安くなったなと思いますよ。14インチもあると、本当に一通りの作業ができてしまうので、これだけ買っておけばマンガ制作には間違いないんじゃないかと思いますね。
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