三菱自動車工業株式会社

※この記事は2014年に制作されたものです。

高いクリエイティブ性と精度が求められるカーデザインの現場において
作業スピードとクオリティのアップを実現

三菱自動車工業株式会社

1970年設立。世界約160の国と地域でビジネスを展開。人・社会・地球との共生を目指し、「走る喜び」と 「地球環境への配慮」を両立させたクルマづくりに取り組んでいます。

www.mitsubishi-motors.co.jp

三菱自動車工業株式会社技術センターのデザイン本部は、株式会社ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 22HD」を数十台導入。
カーデザインのスピードアップとクオリティアップを図っています。

導入前の課題

  • デザイン作業の効率化、スピードアップ
  • アナログで描いていた下絵の段階からデジタルでの制作を実現
  • 部門間におけるデータのやり取りの効率化

導入後の効果

  • 作業効率が約2割アップ
  • アナログ同様のエモーショナルな描画が可能になりクオリティが向上
  • 立体モデル画像や宣伝用グラフィックのクオリティも向上

デザイン本部全体で年間約500時間強の時短効果
「Intuos」から「Cintiq」に全面移行

三菱自動車工業株式会社では、以前は板型ペンタブレットの「Intuos」を使用していましたが、数年前に海外デザインスタジオで使用していた液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」数台を引き取り、メインデザイナー用に導入。そして、「Cintiq 22HD」を数十台導入しました。現在は、デザイン本部内の多くのデザイナーが「Cintiq 22HD」でカーデザインを行っています。

「Cintiq 22HD」の全面導入を提言したのは、デザイン戦略企画部の鶴田康光さんです。「これまではデザイナーの大半がアナログで描いたスケッチ、デザイン画をスキャンしてPCに取り込んだ後、エアブラシなどの効果の追加や全体のブラッシュアップを「Intuos」で行ってきました。しかし、一部のデザイナーが「Cintiq 21UX」を使用しているのを見てみると、紙と同様に直接画面に描ける液晶ペンタブレットを使ったほうが、下絵の段階からデジタルでの制作ができ、紙をスキャンする手間が省けますし、フルデジタルのほうが部門間のデータのやり取りも簡単です。何よりも意図した線を意図したところに一発で引けるのが最大の利点です。デザイン作業をより効率的かつスピーディに行うなら、デザイナー全員が液晶ペンタブレットを使用するべきと考え、「Cintiq」の全面導入を会社に提案しました」と振り返ります。 そして「Cintiq」の多彩なラインアップから導入機種選定のため、数機種をデザイナーに1ヶ月間試用してもらいアンケートを実施。絵を描くときに紙を回すようにディスプレイを回転でき、現在の作業スペースにも最適なサイズの「Cintiq 22HD」を選定しました。「Cintiq 22HD」を導入し使用することで、デザイン本部全体で実に年間約500時間強の作業時間の短縮が可能になるとその費用対効果を試算し提示しました。また導入決定権を持つ部門に対して、今まで使用していた板型のペンタブレットと「Cintiq 22HD」を用意し、同時にスケッチなどの実作業を行って作業スピードの違いをプレゼンテーションすることで、「Cintiq 22HD」導入の効果を理解してもらったと言います。

「Cintiq 22HD」のダイレクトな描画感覚が
クルマの疾走感をエモーショナルに具現化

現在「Cintiq 22HD」は、主に新型車および既発モデルをリニューアルする際のエクステリア、インテリアのデザインスケッチ制作で使用されています。また、デザイン画をもとに製作された立体モデルの画像のフォトレタッチや宣伝用グラフィックの制作などでも使用されています。どの作業においても、「デザイナーにとって重要なツールになっている」と鶴田さんは言います。

実際に「Cintiq 22HD」を使用してクルマのエクステリアのコンセプトデザインなどを行っている若手デザイナーの方にお話を伺うと、「とくにエクステリアデザインの制作においては、いかにクルマの疾走感や格好良さをエモーショナルなイメージとして表現できるかがポイントになります。画面に直接描画できるため、アナログで絵を描くときと同様のストローク感やペンの勢いをそのままデザインに反映できるのがうれしい」と、快適な使用感に非常に満足しています。また、実車の設計に移る前に、より細密なパーツイメージを表現するため、ホイールや車体のキーとなるラインはPhotoshopのパスツールを駆使して強調する手法をとりますが、その際も「ペンで絵を直接触るように、パスツールでベジェ曲線を描けるのは便利。作業がとてもはかどります」とのこと。立体モデルデータのフォトレタッチも「写真の上からペンで絵を描くような感覚で作業でき、頭の中のイメージを具現化しやすい」と言います。

短縮された作業時間を活用し作品のクオリティをアップ

「Cintiq 22HD」の導入により、当初予想していた通りデザイン本部全体の作業効率がアップ。「アナログで描いた絵をスキャンする手間を省くことができるようになっただけでなく、ソフトウェアのツールの操作など煩雑で手間がかかる作業も「Cintiq 22HD」を使えば直感的に行えるため、作業にかける時間自体が短縮された」と鶴田さんは言います。「クリエイティブな作業にかける時間は数値化しにくいのですが、確実に2割程度は作業効率がアップしていると感じます。作業にゆとりができれば、その時間を作品のクオリティアップに費やせる。「Cintiq 22HD」導入以降、デザインのクオリティの向上を実感しています」。さらに、スケッチ、デザイン画以外のカーデザイン全体の作業にも、「Cintiq 22HD」は役立っています。 「カーデザインのワークフロー全体のデジタル化が進んだ結果、以前はアナログで描かれたデザイン画をもとに製作していた立体モデルも、より精度を高めるために3Dデータを使用する機会が多くなりました。3Dモデリングソフトを使う際も、ペンを使って操作できる「Cintiq 22HD」なら細かい作業も簡単でやりやすい。2D、3Dを問わず、描画からツールのオペレーションまで一連の作業が快適に行え、デザイナー各自のモチベーションの向上も感じられます」と全体的な効果を高く評価しています。今後は自動車業界で標準的に使用されている3DグラフィックソフトAutodesk Aliasでの作業や、イメージムービーを制作する際の作業にも使うよう、検討しているそうです。クリエイティブ性とプロダクトとしての精度の高さ、その両方が求められるカーデザインの現場で、デザイナーのイメージを直感的にデザインに落とし込める「Cintiq」の活躍の場は、これからもますます広がっていくことでしょう。

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