株式会社カプコン

※この記事は2017年に制作されたものです。

『バイオハザード7』の3Dペイントで Cintiq 27QHDが精緻で効率的な作業を可能に

株式会社カプコン

1983年の創業以来、ゲームエンターテインメント分野において数多くのヒット商品を創出するリーディングカンパニー。

www.capcom.co.jp

導入前の課題

  • 3Dを含めワークフローのさらなる効率化

導入後の成果・展望

  • 等倍表示で直接画面に描き込むような3Dテクスチャーペイントの実現

Cintiq  27QHD+Substance Painterがゲーム画面に直接描き込む感覚を実現

ゲーム制作の現場では、4K出力やVR対応など、より精緻で高品質な作品作りが日々求められています。リアルタイムにレンダリングされるゲームにおいても、2K、4Kテクスチャーは当たり前のものとなり、アセットワークの中では8Kテクスチャーも登場しています。

「キャラクター制作班(キャラ班)の中ではZBrushや Substance Painterなど様々なツールを用いて造形、ペイントを進めていきますが、それらの作業とペンタブレットは切っても切り離せないものがあります」と語るのは、第一開発部第一ゲーム開発室の仲岡博史さん。近作では『バイオハザード7』においてキャラクターセクションとして参加、終盤からはリードアーティストを務めました。『バイオハザード』チームは、「チャレンジ精神のある現場」(仲岡さん)で、全体のフローの大枠や表現意図から外れていなければ、ツールの選定も各人の自由に委ねられているとのこと。先ほど挙げたZBrushやSubstance Painterの他にも3D-Coatなどを選択するスタッフもいると言います。テクスチャリングや質感設定におけるSubstance Painterの使用については、「レイヤーベースで描き重ねていくなど、Photoshopを習得していれば使える設計になっており、ゲームエンジンと連携させるための設定もドラッグ&ドロップで用意できるなど操作が簡便です。またユーザー数の多さもあってweb上の情報が充実していますし、外部協力会社さんに作業を依頼するときにもお願いしやすいという利点があります」。そういった理由で以前から社内で検証を進めていたことが、この度の『バイオハザード7』での使用につながったと言います。キャラクターアセットを制作する工程の中では、UV展開とジョイントを配置する以外のほとんどをアナログ的なきめ細かいペイント作業が占めます。そのためほぼ全工程でペンタブレットが用いられ、画面に直接触れて作業できる液晶ペンタブレットも多数配置されているとのこと。

さらに、コンセプトアートなども手がけることになる背景班では、より液晶ペンタブレットの使用率が高くなります。

「アプリケーションの機能向上もあり、ゲームエンジン上の見た目とほぼ同じルックで作業できるツールも増えてきました。Substance PainterとCintiq 27QHDの組み合わせだと、ルックだけでなく画面サイズ的にも等倍表示で作業できるため、直接ゲーム画面に描き込むような感覚で作業できる点が効率的です」。

また視聴環境としては普及しつつある4K解像度のディスプレイについて、グラフィックソフトのUIが小さく表示されてしまうなど必ずしも快適な作業環境になるとは言えない現状に触れ、「Cintiq 27QHDの2Kスクリーンは、必要な解像度で作業ビューを表示した上でツールパレット類を十分に開く余裕があり、快適な作業環境を構築できます」。

一段抜けた描き心地で全工程にWacom製品導入

業務だけでなくご自身の制作環境でも液晶ペンタブレットや各種ガジェットを揃える仲岡さん。スタイラスのペン先はフェルト芯に交換して愛用しているそうです。

「フェルト芯はタッチを入れる時の抵抗感が適度に増し、よりアナログ的な手応えで作業が行えます。他方、ペンタブレットをアートワークではなくPCオペレーションでより活用するために、ダイレクトな触覚が得られる硬めの標準芯を選択するスタッフもいて、それぞれに使い勝手を追求しています」。仲岡さんの作業環境は、24インチディスプレイ2台とCintiq 27QHD 1台をワークステーションにつなぎ、さらに手元にはCintiq Companionという構成。処理スペック要求の高いアセット制作では出番の少ないCintiq Companionですが、キャラクターセクションのリーダーとしてミーティングに参加し、その場で編集が行えることからCintiq Companionも重宝しているそうです。また以前からCintiq 24HDを使用し、この度Cintiq  27QHDへ乗り換えた感想としては、「以前から大きな不満は感じていなかったのですが、Cintiq 27QHDではさらに発熱が抑えられている点が嬉しいですね。また、画面サイズを拡大しつつ本体サイズがほぼ変わっていない点も魅力です」と改善点を評価します。一方で、画面横に用意されていたファンクションキーがExpressKey Remoteとして分離されたことについては、作業姿勢に合わせてレイアウトできる自由度が上がった点が良いと評価しつつも、キーを押し込む手応えが少し硬いのと、「ExpressKey  Remoteについては、もう少しシンプルで握りやすいものや逆にキーを増やした左手キーボードのようなものなど、もっとラインアップがあると嬉しいですね」と要望を語ります。仲岡さんは、チャレンジ精神旺盛なチームの気風もあって、各種タブレット等のデジタル機器に触れる機会が多いそうです。

「同様の製品を様々に試用・検討するのですが、やはり最終的にWacom製品を選んでしまいます。長年この分野に取り組んでこられた描き心地や安心感は、周囲と比べても一段抜けています。『生まれた時から使っている』と言えるくらい馴染んでいて、ずっと使っていても疲れない気がします」。年々、視聴環境の高画質化に伴い、ゲーム開発のクオリティや生産性の向上が求められていく中、3D上でのクリエイティブワークフローにおいても液晶ペンタブレットが貢献し続けていくことでしょう。

クリエイティブソリューション
この事例のソリューションや
製品に関するお問い合わせはこちら