Charm Dental Design 様

歯科技工における液晶ペンタブレットの活用と新製品レビュー
-Wacom Cintiq 24を導入した事例から-

Charm Dental Designは歯科技工士5名、事務員2名のスタッフで運営する歯科技工所です。 主な業務は自費診療のクラウン・ブリッジ、インプラント上部構造の製作で、特にCAD/CAMを活用したセラミッククラウンやジルコニアのデザインを中心に行っています。近年は歯科医院からのデジタルデータ受注が増加し、アナログ作業と並行してデジタルワークフローが日常業務の中心を占めています。
今回はCharm Dental Design代表で歯科技工士の藤崎啓太氏にお話をうかがいました。

―歯科技工のデジタル化に取り組まれた背景を教えてください。

私自身は約11年前よりデジタルデンティストリーを活用しており、2018年の会社開設当初からデジタル化を積極的に行っています。その背景として今後歯科医院から口腔内スキャナーで送られるデータの受注が確実に増え、従来の石膏模型中心の業務からCADによる設計へと移行されると感じたためです。実際に現在では 受注の大半をデジタルデータを用いて行っています。

―現在はどのようなツールを利用されていますか?

主に使用しているCADソフトは 3shapeで、クラウンやブリッジ、インプラントの設計を幅広くカバーしています。入力デバイスとしては長らく Wacom Cintiq 22 を使用してきました。
液晶ペンタブレットを導入したことで、モニターを見ながらマウスで操作するのに比べ、直感的に形態を整えることできるようになった点は作業効率の観点から大きな変化でした。
歯科技工において「目で見た形態をそのまま描ける」操作性が極めて重要だと思います。マージンラインの描画や咬合面の細部修正は、通常のマウス操作では慣れが必要ですが、液晶ペンタブレットを使うことで模型に直接触れているかのような感覚で作業できます。採用の決め手はまさにこの直感性です。以前のアナログ作業は、歯形模型を手で持ち、エバンス(ナイフ等の彫刻刀)を用いて補綴装置を造形していたのですが、その作業と近似した感覚でデジタル作業を行うことができます。 液晶ペンタブレットの導入後は設計スピードが大幅に向上し、作業効率化によって残業時間の削減にもつながりました。

―今後歯科技工のデジタル化はどのようになっていくと思われますか。

今後はより多くの技工所で液晶ペンタブレットの導入が進むと思います。特に新人技工士にとっては操作習得が容易なので、教育コストを抑えつつ即戦力化が可能だと思います。 弊社としても、CAD業務の標準環境としてWacom Cintiqは欠かせない機器の一つでぜひ同業者にも導入を推奨したいですね。

―今回、新製品「Wacom Cintiq 24 touch」をご使用いただきましたが、いかがでしたか。

Wacom Cintiq 24 touchでは解像度が向上し、画面の美しさと視認性が高まりました。また、従来はサイドスイッチが3つある「Wacom Pro Pen 3D」を別に購入していましたが、Wacom Cintiq 24に標準搭載されたWacom Pro Pen 3はもともとサイドスイッチが3つあるのは大きいです。
これによりツールの切り替えを右手だけで操作でき、制作フローの効率は一段と改善しました。サイズや描画レスポンスも扱いやすく、違和感なく既存の業務に組み込むことができました。
Wacom Cintiq 24 touchにはマルチタッチ操作機能も搭載されていますが、弊社で使用している3shapeのDental Systemは現状タッチ機能に対応していないこともあり3Dマウスを併用するため、タッチ操作が必須というわけではありませんでした。
しかし、他のソフトで拡大縮小や回転といった直感的な操作をペンと並行して行える点は便利であり、デザインスタイルに応じて選択肢が広がったといえます。 スマートフォンやタブレット端末の普及により、マウス操作よりタッチ操作に慣れている方も多いためソフトウェア側の対応が進めば、普及する可能性は高いと思います。

実際に使用してみると、Wacom Cintiq 24 touchは歯科技工における液晶ペンタブレットとしてほぼ完成度の高い製品であると感じます。ただ一点、解像度が増したことによりCADソフトの内の表示が小さくなり見にくいと感じました。OSかソフトウェア側でデスクトップアイコンサイズの変更、表示解像度の調整で解決できると良いのではないかと思います。
Wacom Cintiq 24 touchは、従来のモデルと比べ、解像度の向上、タッチパネルの採用、3つのサイドスイッチが搭載されたWacom Pro Pen 3の標準採用などによって利便性がさらに向上したと思います。 歯科技工のデジタルワークフローにおいて液晶ペンタブレットはもはや欠かせない存在であり、今後も業界全体に普及していくことが予想されます。

ワコムは今後も液晶ペンタブレットの提供を通じて、歯科技工士のワークフローのデジタル化をサポートしていきます。

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