株式会社LEAP 様

液晶ペンタブレットで歯科技工士のデザイン製作を効率化

株式会社LEAPは東京都板橋区で2005年に個人で開業し、2008年より株式会社化した歯科技工所です(現在は北区滝野川)。
歯科技工のワークフローのデジタル化と液晶ペンタブレット活用についてお話をうかがいました。

―歯科技工のワークフローとデジタル化について教えてください。

現在、2名のスタッフと共に、多数の歯科医院やクリニックとのお取引があります。弊社の取り扱う補綴物は基本的には歯冠修復といわれているセラミックを中心にCAD/CAMを使用したデジタル技工を行っております。歯科技工の制作工程や取り扱う材料が大きく変わりデジタル化した際にCADをどのように扱いセラミックを制作していくかというところに注力をしてきました。

当技工所がCAD/CAMに取り組み始めたのは2007年ごろからとなります。 審美歯科は自費診療でより高い精度、材質や見た目も良い歯を作ることを求められるので、クオリティー重視ということになります。(補綴物とは歯が抜けてしまった部分や虫歯等で物が噛めなくなってしまったところを補い食べ物が食べられるように回復させる時に作るものを指します)

―デジタル化に取り組まれた背景を教えてください。

歯科技工でデジタル化を早期から導入した背景としては、歯科業界では従来の金属を鋳造し加工する補綴物がなくなり、ジルコニアという材料を使用する流れになったこと、ジルコニアという材料はCAD/CAMを使用して制作するため、デジタル上で歯を造形して機械で削り出して製作するという新たな手法が主流に変わりデジタルに興味を持ったということが始まりです。

当時は黎明期でしたので、CADを購入したのは相当早かったと思います。スキャナーとCADを導入するコストは非常に高価で、当時の技工所の開業費よりも高いくらいで、実際に導入したのは大規模な技工所が大半でした。 また、発注をする歯科医院の診療において、患者の歯の型を取って石膏で固めて模型を送ってくるのは今でもありますが、2023年くらいからiOS(口腔内スキャン)を使ってデータで送られてくるものが爆発的に増えてきましたのもデジタル化のながれの一つです。

―どのようなきっかけで液晶ペンタブレットを導入されたのでしょうか。

2014年に現在の所在に移転する前から、板型のペンタブレットは使用し始めていました。その理由として、仲野氏が入社されCAD/CAMを使い始めたときに、ソフトウェアにペンタブレットの筆圧感知を反映させる機能があったので、マニュアルを見ながら当時、私物で持っていたワコムの板型ペンタブレット(Bamboo)を繋いで使ってみたことにあります。そのとき筆圧を使えたことが大きな発見で、「これは使える!」と手ごたえを感じて使い始めました。液晶ペンタブレットの存在を知って、2019年に直接ワコムに問い合わせをしたのがきっかけとなります。

当時はCAD/CAMはマウスで操作するというのが基本でした。それで3Dモデリングをマウスで作っていましたが、デジタル化が進むうえで、これまで培ってきたワックスやナイフを使って造形していた技工士が、急にマウスに持ち替えることでデジタルを嫌うケースが出てきていました。

そこで、画面に直接入力できる液晶ペンタブレットのペンのデバイスで造形ができれば、もともとデジタルではない技工士の方々も従来の作業スタイルに近いので使いやすくなるのではないか? と考えました。既にペンタブレットを使用して仕事をしていた仲野氏に液晶ペンタブレットを使ってみてもらうことにしました。液晶ペンタブレットによってデジタルワークフローの導入がよりやりやすく、業界的に取り組みやすい環境づくりが出来るのではないかと考えたのが第一でしたが、仲野氏がデジタルを使って作業している様子が傍から見て、直感的に簡単そうに見えたというのも、導入理由の一つでもあります。

実際にスカルプティングという機能でリニアに筆圧が効くことによって、マウスで操作するときのように強弱や範囲をいちいち設定しなおす必要がなく、さらにデジタル上で出来るできることで工程の手順変更の時間を簡略化出来て、非常に効率的となりました。ペンにサイドスイッチが付いているので変更範囲の設定も手元で出来るので便利です。

―現在はどのようなツールを利用されていますか?

液晶ペンタブレットはWacom Cintiq 22、ペンはWacom Pro Pen 3Dの組み合わせで使っています。液晶ペンタブレットは画面に直接入力することで歯を造形する作業ができるので、今では液晶ペンタブレットがないと作業効率が下がってしまうほど重要な機材の一つです。ソフトウェアですが、今は3shapeを歯冠修復のために、またexocadも同じく歯冠修復のために使用しています。 歯冠を様々な角度で回転させて形態を確認するので、ペンのサイドスイッチにスクロールと回転を割り当てていて、3shapeで便利に使えています。あとは左手デバイスでキーボードのショートカットを割り当てて、効率よく使うことが出来ます。あらかじめサイドスイッチやExpress Key Remoteのボタン設定をプリセットファイルで提供して使えるようになるので、他の技工所さんにも使い方を知っていただいて使えるようになるのが便利です。

―今回、新製品「Wacom Cintiq 24 touch」をご使用いただきましたが、いかがでしたか。

新製品をしばらく使ってみて操作性が向上し、作業効率が良くなったことを実感しました。
まず、解像度、画質の大幅の向上、視差も少なくなっていてソフトウェアの表示、操作の利便性が良くなりました。
特に液晶画面に天井の照明の光の反射や映り込みがなく、色味を含めて、目も疲れにくい感じで長時間画面を見る作業と輝度調整がすぐに出来るのですごく良くなりました。 ペンの精度は今まで使ってきた製品と比べて遅延が少なくなり、特に3shapeで使っていると筆圧の反応もさらに良くなったと感じています。ペン自体が軽くなったのも良いです。

Wacom Pro Pen 3は標準でサイドスイッチが3つになったのも本当に嬉しいです。 2つボタンの同時押しが出来るため、exocadで中クリックとCtrlやShiftを同時に押して、不透明度を変更できるので便利になりました。 更に画面上にタッチでショートカットを出すことが出来るラジアルメニューに機能を割り当てできるので大変便利でした。もちろん3Dマウスや他の左手デバイスとも一緒に使えます。

またexocadで使用した際、マルチタッチ機能で拡大、縮小、回転の微調整がスムーズに出来たのが新しい発見でした。手元でオブジェクトを切り替えられる便利さが大きいです。exocadで使うのであればWacom Cintiq 24 touchの方が良いと思います。以前のタッチモデルと比較して、スムーズに操作できるように性能が向上したように感じました。

―デジタル化やペンタブレット導入により、歯科技工のワークフローはどのようになっていくと思われますか。

液晶ペンタブレットは、私たち技工士が使う上でかなりの部分で完成されてきていると思います。使用感がかなり理想に近くなって、設定をきちんと行うことで、安定して使うことが出来ます。これからも歯科技工における液晶ペンタブレットの有用性や実践的な活用法を積極的に発信、共有していきたいと考えています。

ワコムは今後も液晶ペンタブレットの提供を通じて、歯科技工士のワークフローのデジタル化をサポートしていきます。

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