液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 16」が
「HELIOS」を使用した積算作業の効率化に貢献
HELIOS(ヘリオス)とは
BIM※に対応した建築数量積算・内訳明細作成システムであり、建築積算業務支援ソフトウェアです。膨大な設計図面の管理と積算作業を効率化し、ペーパーレス環境を実現することを目的としています。HELIOSは、直感的な操作性と高い精度を備えており、建築プロジェクトの積算業務を支える強力なツールとして、全国で1,100社以上の導入実績があります。
※Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)
株式会社日積サーベイ
株式会社日積サーベイは、1964年の創業以来、「正確・誠実・先進」をモットーに、主に公共建築物の積算業務に特化した事業を展開しています。大阪・東京・福岡に拠点を構え、精度の高い積算数量や建築コストの算出、及び検証・検討業務を行うとともに、独自の積算システムやソフトウェアの開発にも取り組んできました。
株式会社日積サーベイ様 公式サイト「NCS/HELIOS」について
今回は、株式会社日積サーベイで建築コスト部門に所属し、「HELIOS」を用いて数量積算を行った後、単価を加えて工事金額を算出する業務に携わる北村氏にインタビューしました。北村氏は、主に建築物構造体(コンクリートや鉄骨部分)の積算業務に加え、開発部へのシステムのフィードバックや新たな設備機器の導入などを担当されています。その取り組みについて詳しくお話を伺いました。
リモートワークで限界に達する紙の管理…
積算業務の課題解決に液晶ペンタブレットを活用
建築業界、特に公共事業に関わる建築物の場合、算出された積算数量の根拠が非常に重要です。設計側が算出した積算数量でも、過去には根拠の客観性や正確性に欠ける例が見られ、また、厳密さがより求められる時代背景もあり、日積サーベイには「第三者の視点で数量や金額を出してほしい」という依頼が多く寄せられています。同社が設計や建築には携わらず、積算業務を専門に請け負っているからこそ、俯瞰した視点で公平な見積りを提出でき、信頼を集める理由のひとつとなっています。
日積サーベイでは、自社ソフトである「HELIOS」を用いて積算業務を行っています。HELIOSは事前設定により、ある程度の自動算出が可能ですが、平面図や伏図(建物を横向きに切り、上から見下ろしたような図面)をシステムに転記する作業が必要です。転記作業を進めると、コンピューター内で図面が視覚化され、正確な積算が可能になります。
「根拠がきちんと残る形での作業を求められています。」と北村氏は話します。その要望に応え続けるためには、次のような課題がありました。
「建築図面を転記する際、積算数量の根拠を示す資料として残し、進捗を把握する目的で、A3サイズの紙に図面を印刷して作業していました。紙の図面をマーカーで塗りつぶして、『この部分は完了』『こちらは質疑中』といった状況を手作業で記録していたのです。
1物件あたりの図面は100〜200枚に及ぶことが多く、大型の商業施設や複合施設では500枚にのぼることもあります。また、担当者によっては複数の物件を抱えることが多く、一度に数物件分の図面を800枚から1,000枚もデスクに置かざるを得ず、作業スペースが圧迫されることもありました。
また、作業の完了後も保管する必要があり、社内のストックも膨大になっていました。専用の棚を設置しても収まりきらず、担当者が各自のデスクに積み上げているような状態でした。さらに、コロナ禍以降はリモートワークを行うため、前述の図面を自宅に持ち帰る必要も出てきました。
こうした課題を解決するために積算業務のペーパーレス化を進めたいと考えました。紙の図面に代わるものを探すなかで、液晶ペンタブレットであればA3の図面と互換できるのではと考え、導入を提案しました。」
Wacom Cintiq Pro 16を導入した決め手
こうした経緯で積算業務のペーパーレス化を目指し、液晶ペンタブレットの導入を検討し始めた同社が採用したのは「Wacom Cintiq Pro 16」でした。北村氏は決め手となったポイントを以下のように話します。
PCを変えずにコストを抑えて導入できる
「タブレットPCも検討しましたが、導入コストを踏まえ液晶ペンタブレットを選択しました。弊社はデスクトップPCを使用しており、PCを丸ごと置き換えるには多大なコストがかかります。また、HELIOSはグラフィックボードを必要とする仕様であるうえ、大量の建築図面のPDFを取り扱うため、タブレットPCのスペックでは対応が難しい可能性がありました。」
積算業務に適した画面サイズと機能
「15.6型は建築図面を見やすい大きさで表示でき、タッチ機能でPDF図面の拡大・縮小もスムーズに行えます。デスク上で自由に動かせる適度なサイズである点も弊社のニーズに合っていました。」
メーカーへの信頼と製品の評価の高さ
「ワコムは国内メーカーであるため信頼感があり知名度が高いことがポイントでした。また、インターネット上での評判も『液タブの動作が安定して機能する』と良い評価が多く、安心感がありました。」
作業効率を向上できる
「本体のエクスプレスキーやペンのサイドスイッチに、何度も利用するソフトウェア機能のショートカットを割り当てられるため、操作性と作業効率の向上が実現できました。」
紙の図面がゼロに!
ペーパーレス化によるコスト削減と大幅な作業効率の向上を実現
Wacom Cintiq Pro 16の導入により、北村氏は期待した結果と高い満足度を得られているといいます。
「当初の目的である積算業務のペーパーレス化は、十分に達成できました。1,000枚、2,000枚とあった紙図面がゼロになり、コストや工数を大幅に削減できました。デスクも広く使えるようになり、本当に良かったと感じています。また、PDFに注釈を記入する際にも特に良い変化を感じています。具体的には、ペンで書いたり消したりする作業が、視差が少なく快適に行えています。導入自体もスムーズでした。」
Wacom Cintiq Pro 16の実際の使用感について、北村氏は次のように語ります。
快適な書き心地
「他社製品と比べ、書き心地に違いを感じています。具体的には、他の製品が少し硬く、コツコツした感触であるのに対し、Wacom Cintiq Pro 16は液晶画面に吸い付くような柔らかな書き心地だと感じます。ストレスなくスラスラと書くことができている点が良いです。」
直感的に操作できるタッチ機能
「Wacom Cintiq Pro 16のタッチ機能は特に図面を見る際に重宝しています。スマートフォンと同様にピンチイン・ピンチアウトで図面の拡大・縮小、移動が直感的に操作でき、効率的かつ快適です。」
Type-Cケーブルのみで接続可能
「自宅でリモートワーク用のPCに使用する際、Type-Cケーブル 1本で接続できる点が非常に便利です。取り回しのしやすさも抜群で、利便性を感じています。」
圧迫感のない形状と適度なサイズ感
「Wacom Cintiq Pro 16は、奥側から手前に向かって薄くなっているため、デスク上に置いた際も圧迫感が少なく、正面から見てもすっきりしています。図面を全画面表示にしても文字がしっかりと読み取れ、本体をデスク上で少し動かしたい場合に手軽に調整できるちょうど良いサイズです。」
今後の展望:
積算業務の更なる効率化と、HELIOSの進化に寄与したい
北村氏は今後の取り組みについて、次のように語ります。
「最新版の『HELIOS 2025』では、『Pen Plus for Business』で計測した距離や面積などの情報を「HELIOS」に直接取り込める新機能が搭載されます。これにより、数量根拠のマークアップと数値入力の作業を、同時に行えるようになります。新しい技術を効果的に活用できるよう、機器の使い方を社内で共有し業務の効率化に努めていきたいです。また、HELIOSに盛り込む新機能のアイデアが出た際には積極的にフィードバックして改善につなげていきたいです。」
ワコムは、お客様の様々なご要望にマッチするデジタルペンとインクのテクノロジーを活用し、より便利でサステナブルなソリューションの提供を行っていきます。
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