IZE 本庄崇 様

多種多様のデジタルツールを駆使し
Wacom Cintiq Pro 27の大画面にゲームのコンセプトと世界観を描き出す

IZE(アイズ株式会社)

本庄 崇(コンセプトアーティスト/アートディレクター)
スクウェア・エニックスでFINAL FANTASY X/XII/XIII/零式/XV等の開発に携わり、その後Luminous Productionsで『FORSPOKEN』のコンセプトアートに従事。2023年にIZE(アイズ株式会社)を設立し、現在は3DCG/VRでのモデリングやゲームエンジンなどを駆使して様々なアート案件に携わる。

IZE(アイズ株式会社)
本庄 崇 氏(コンセプトアーティスト/アートディレクター)

CG映像やゲームなどのコンテンツ制作の初期段階において、作品の世界観や雰囲気を絵として表現するコンセプトアートは、制作チームのイメージの共有に用いられるほか、広告やポスターなどのデザインにも使用されます。イラストやデッサン、コラージュなどその手法は様々で、近年では3DCGと2DCGなどを柔軟に組み合わせたフォトリアルな画づくりをするコンセプトアーティストも増えています。IZE(アイズ株式会社)の本庄崇氏もその一人。本庄氏はコンセプトアートの第一人者として、これまでに「FINAL FANTASY」シリーズや「FORSPOKEN」をはじめとする数多くの作品開発に携わってきました。

本庄氏は、自らが手がけるコンセプトアートについて、次のように話します。

「ゲーム開発では、プロデューサーやディレクターが思い描く世界観から、すべての工程に一貫した軸が通るべきだと思っています。開発に携わるすべての人が同じコンセプト、同じビジョンを持って作り上げていくための軸となるツール、それがコンセプトアートだと考えます」

本庄氏のキャリアの始まりは1999年、ゲームメーカーのスクウェア(現スクウェア・エニックス)にアルバイトとして入り、RPGゲーム「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」の背景アーティストに採用されました。その後、同社の代表的なタイトル「FINAL FANTASY」シリーズの開発に移り、一気にキャリアを積み上げていきます。「FINAL FANTASY 零式」ではプロモーション活動のマネジメントを手がけ、「FINAL FANTASY XV」の開発が始まったときには、それまでヒエラルキー構造だった組織がフラット型のタスクチーム制に変わり、従来の背景デザインに加え、キャラクター、武器、フォント、UIなどあらゆる要素のデザインに携わるようになりました。

「組織がフラットになったことで、いろいろな情報が入るようになり、いろいろなものが見えるようになりました。そこで、やりたいこと、やるべきことがどんどん増えていったという感じです」

本庄氏のキャリアの変遷は、デジタルツールの進化とともにあったといえます。本庄氏のデジタルとの出会いは、意外にもスクウェアに入社してからだといいます。

「僕は多摩美術大学の出身で、日本画を専攻していました。なので、使う道具は鉛筆や筆、絵の具といったまさにアナログの世界。スクウェアに入って小さな板型ペンタブレットが支給され、Adobe Photoshopで絵を描いてみたのが最初です。使い始めはやはり違和感があって、線は鉛筆で描いて、それをスキャンして、色付けにペンタブレットを使うといった感じでした。ペンタブレットもだんだん進化して、Intuos5を使い始めた頃には普通にペンタブレットで線を描くようになりました」

本庄氏が現在使用しているペンタブレットは、液晶型のWacom Cintiq Pro 27。

「板型から液晶ペンタブレットに変えたときは、ペンタブレットと画面との“距離感”がなくなり、僕の中ではアナログとデジタルの境目が完全になくなりましたね。画面は大きい方が好きです。やはり全体像が把握できて、描きたいところにすぐペン先を持っていけるのでとても効率がいいです。それと、解像度が低かったり色の表現幅が狭かったりすると、影などの暗い部分は潰れてしまうんですが、この液晶画面は解像度も高く、黒でも色域が幅広く表現されるので、微妙な部分の色調整でもストレスを感じることはありません」

本庄氏はこれまで、ワコムのペンタブレットとともに多種多様のデジタルツールを活用してきました。Adobe Photoshopから始まり、3DツールのAutodesk Maya、Blender、さらにゲームエンジンのLuminous EngineやUnreal Engineなど多岐にわたります。

「コンセプトアートって、開発の流れに寄り添ったものであるべきだと思うんです。最初は世界観や雰囲気重視だった一枚の絵でも、開発が進むにつれ、ゲームのレベルプランや様々なレギュレーションが確定してくると、アートも最新の要件に沿った形で調整する必要が 出てきます。そのため、ゲームエンジン上でキャラを歩かせながらスケール感や雰囲気などを確認しつつ、要件に沿ってアートをブラッシュアップしていきます」

“ Wacom Pro Pen 3の3つのボタンに3Dオブジェクトの回転操作を割り当てることで、マウスに持ち替える 機会が減り、非常に効率的です”
(本庄氏)

コンセプトアーティストおよびアートディレクターとして様々な経験を積んだ本庄氏は、2023年にIZE(アイズ株式会社)を設立。最近ではAdobe Substance 3D Modelerを使ってVR空間で3Dモデルを作成したり、アイデアの幅を広げるためにAIを活用するなど、 最新テクノロジーを積極的に取り入れることで自らのワークフローを進化させています。

最後に、これからのコンセプトアーティストにとって必要なスキルや考え方について、本庄氏は次のように語りました。

「ゲーム開発では様々な職種の人たちが関わって1つの作品が作り上げられていきます。ただ先にも言ったように、開発の流れに寄り添ったコンセプトアートを考えたときに、自分が関わる工程だけでなく、その前後の工程のことも理解しておくことが大事だと思います。次の工程ではどんなツールを使っていて、どんな問題が起きているかなど、それを知っているのと知らないのとでは、自分の生み出すアートやデザインも変わってきます。より広い視野を持って、積極的に新しい分野に挑戦する。コンセプトアーティストに限らず、今後ますます多様化するゲーム業界では、そうした人材が求められていくのではないでしょうか」

表現と思考のプロセス

STEP 1 _ キャラクターの全体ラフ作成:

あらかじめVRのAdobe Substance 3D Modelerでマスクを作成し、そのイメージを入れ込みつつAdobe Photoshopで全体のシルエットを作成していきます。

STEP 2 _ 衣装部分の作成:

Marvelous Designerでベースサンプルを自分の欲しいシルエットになるようにパターンを編集し、マスクやベルトなどはVRのGravity Sketchで作成していきます。

STEP 3 _ テクスチャリング:

各々のパーツをBlenderにデータを統合し、雰囲気を確かめます。その後Adobe Substance 3D Painterにて各々のパーツに対しテクスチャリングを進めていきます。

STEP 4 _ 全体のバランス調整~仕上げ

Blenderにて各部マテリアル設定を行いライティングします。雰囲気を見ながらクオリティの足りない箇所は前のステップに戻り調整を繰り返し、完成です。

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