株式会社CloverWorks 様

デジタルを自身のパワーに変えてスキルアップを目指す新鋭アニメーター

©にいさとる・講談社/WIND BREAKER Project

株式会社CloverWorks

助永 理恵(アニメーター:原画マン)
大阪アミューズメントメディア専門学校のアニメーション学科で学んだ後、2020年にCloverWorksに作画の第1期生として入社。
2年後に動画から原画にステップアップし、「SPY×FAMILY」「ぼっち・ざ・ろっく!」「WIND BREAKER」などの原画を手がける。

株式会社CloverWorks 助永 理恵氏

株式会社 CloverWorksは、アニプレックスの子会社であるA-1 Picturesより2018年10月に新設分割したアニメーション制作スタジオです。制作部の他に、演出や作画、仕上げ、撮影、美術などアニメーション制作に必要な部門を組織しており、これまで数々のTVアニメや劇場アニメ、アニメーションCMなどの制作を手掛けてきました。

アニメーション制作で重要な役割となる作画、その中でアニメーションの元となる原画を担当している、助永理恵氏。幼少の頃から絵を描くことが好きで、高校時代にアニメーターになりたいと思い立ち、大阪アミューズメントメディア専門学校に進学。アニメーション学科で学んだ後、2020年にCloverWorksに第1期生として入社しました。通常、アニメーターのキャリアパスは、まず動画からスタートし、何年か経験を積んだ後に原画に進むというのが一般的です。原画志望でCloverWorksに入社した助永氏も最初の2年間は動画を担当し、原画試験をクリアして現在は原画マンとして活躍しています。

「原画と動画は密接に連携する仕事なので、動画マンがどういった絵を求めているのか、どのように描けばスムーズに絵を繋げられるかといったことを学べるので、それが今の原画の仕事にすごく役立っています」

助永氏が原画をおこなう上で使用しているツールは、CLIP STUDIO PAINTとワコムの液晶ペンタブレットWacom Cintiq 22。実際のワークフローの中でこれらのツールをどのように活用しているのか、助永氏は次のように話します。

「最初に演出と打ち合わせをおこなって、絵コンテを元にレイアウト作業を始めるのですが、そのときからずっと液晶ペンタブレットは使用しています。絵コンテやタイムシート、その他の資料なども画像としてCLIP STUDIO PAINTに取り込み、液晶ペンタブレットを使って指示やメモなどを書き込んだりしています。レイアウト、背景原図、キャラクターの動きのラフが描けたら演出や作画監督などのチェックが入り、そこからが原画作業になります。原画は動画マンに渡すものになるので、ある程度綺麗な線で描くのですが、その時に手ぶれ補正や筆圧感知などの機能がすごく使いやすくて、助かっています」

助永氏は幼少時代はずっとアナログで絵を描いていましたが、中学3年生になる頃、パソコンで絵を描いてみたいという憧れから、ワコムの板型ペンタブレットを購入し、それがデジタルで絵を描き始める第一歩となりました。

「ペンタブレットを使い始めたころは、描いてる手元と見ているモニターが離れているので、思ったところに線を描くのは結構難しいなと思いましたが、慣れていくうちにデジタルのほうが描きやすいと感じるようになりました。間違えて線を描いてもすぐに戻って修正できるし、描いた絵を簡単に拡大縮小させたり回転できて、アナログに比べてはるかに効率が良いので、もう戻れませんね」

専門学校では液晶ペンタブレットのWacom Cintiq Pro 16を使用し、画面に直接描けることのメリットを大いに感じたといいます。CloverWorksに入社してからはWacom Cintiq 22を使用するようになり、液晶画面サイズが大きくなった点について、「大小、どちらにもメリットがあれば、デメリットもありますね。大きいとのびのびと描けるのですが、線を引く幅が大きくなったりするので、小さいほうが時間はロスしないのかなと思ったりもします。いろいろなサイズを経験してみて、自分に本当に合ったサイズを見つけていくのがいいと思います」

助永氏はデスク上でパソコンのモニターと液晶ペンタブレットを上下に並べて置き、上のモニター画面に資料などを表示し、下の液晶ペンタブレットの画面にはCLIP STUDIO PAINTのキャンバスが常に映し出されています。

「私の場合、液晶ペンタブレットはよく立てて使用し ています。資料をモニターで見ながら作業していると、上を見て、すぐ下を見てというのを繰り返しているうちに、目がすごく疲れてきてしまいます。だから、姿勢の移動を少なくするために立てて、どちらの画面もストレスなく見れるようにしています」

“ 複雑で細かい線を綺麗に描かなければならないときにペンの座標精度や筆圧感知などの機能がすごく使いやすく、助かっています。”
(助永氏)

動画から原画へ、入社から4年が経過し、順調にキャリアを積み重ねている助永氏。これまで「SPY×FAMILY」「WIND BREAKER」といった人気作品の原画を手がけ、現在は「逃げ上手の若君」「UniteUp! -Uni:Birth-」に参加しています。そんな助永氏の今後の目標は、「やはり次のステップとしては作画監督を目指したいですね。あとキャラクターデザインにも挑戦してみたいです」と話します。

最後に、これからアニメーターを目指す人たちに、次のようなアドバイスをいただきました。

「最近はデジタルで仕事をすることが当たり前のようになっているので、まずはデジタルに慣れておくのは絶対です。また、3Dレイアウトが出ることがかなり多くなってきてはいますが、やはり描かなければいけないケースもまだまだあるので、そういうときのために背景などもきちんと描けるように、かつキャラクターをしっかりのせられるように、画力はつけておいたほうがいいなと思います」

表現と思考のプロセス

STEP 1 _

レイアウト:カットに登場するキャラクターや背景がどのように配置されるのかということを指定する設計図を作成します。

STEP 2 _

ラフ原画:レイアウトを元に、動きのポイントになる画を描きます。この時にキャラクターの線を整理したり、間に必要な原画を足したり影をつけたりします。

STEP 3 _

原画清書:演出・作画監督のチェックが通ったラフ

原画を、修正指示を踏まえ清書します。

©にいさとる・講談社/WIND BREAKER Project

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