アニメーション監督・CGディレクター りょーちも氏によるWacom Movink 13レビュー
アニメーター・キャラクターデザイナー・アニメーション監督・CGディレクターとして2D/3D問わず幅広い作品に参加し、ご活躍をされている、りょーちも氏にWacom Movink 13を使用した感想をお伺いしました。りょーちも氏は長年ワコム製品をご愛用いただいており、ユーザーとして、またアニメ制作に関わるクリエイターとしてWacom Movink 13を導入することで期待される点についてお話を伺いました。
「新製品”Wacom Movink 13”の第一印象ですが、まず、この薄さと軽さ。遂にここまで来ましたね。今までの製品と比べても、一つ次元が上がったような印象を受けています。
私は自宅やスタジオなどを移動して作業するスタイルなので、手軽に持ち運びができ、どこででもすぐに作業環境を構築できることが非常に重要なポイントです。普段は持ち運びが便利なのでWacom One 液晶ペンタブレット 13 touchを使っていますが、Wacom Movink 13はこの製品と同様に電源なしでUSB-Cケーブル一本でPCに接続が出来、さらに薄型軽量で自分が求める要件を完全にクリアしている。さらに描き心地の良いプロフェッショナルモデルのWacom Pro Pen 3を採用しているので、これはクリエイターにとってかなり強力なデバイスだなと思っています。
初めて有機ELディスプレイが採用されていますが、従来の小さいサイズの液晶ペンタブレットは、色の再現度があまり高くなかったので、色のチェックのために別のモニターを使用する必要がありました。Wacom Movink 13はAdobe RGB カバー率95%ですので、確認用モニターなしで色のチェックができ、さらに場所の制約がなくなりそうです。
ラッシュチェックや美術のチェックをするという立場の演出となると、ディスプレイの色の再現度が重要になります。絵を描くために液晶ペンタブレットを使用するのではなく、チェックにも使えるくらいの性能があるのは非常にありがたいです。 DCI-P3カバー率も100%のため黒や色つぶれがなくなり、さらに使える領域は広がるかもしれないです。
Wacom Cintiq Proと同じプロフェッショナルモデルのWacom Pro Pen 3が採用されており、描画性能が高いのはもちろんですが、サイドスイッチが3つになったのは嬉しいです。私はよくBlenderを使用しており、中ボタンを多用しています。ペンだけでBlenderを操作できるのは非常に効率的です。サイドスイッチがついていると邪魔に思う人もいますが、そういう人はサイドスイッチなしのパーツに変更して使えばよいですし、選択の自由度が高いのがとても良いと思います。 また今までプロ向け製品では使えなかった鉛筆タイプのStaedtler ノリスデジタルやDr.Grip Digital for Wacomも使えます。用途によってペンが選べる、これはけっこう重要だと思います。」
場所に縛られない作業環境で制作を行うりょーちも氏ですが、アニメクリエイターにとって、Wacom Movink 13を導入することにより考えられるメリットについても伺いました。
「自分は従来のスタジオでの制作から離れて、個人での制作スタイルが主になっていますが、スタジオでは、以前はアニメーターさんに紙と鉛筆を渡して作業していた状態から、今は機材を提供しないといけなくなっています。アニメーターさんはPCと液晶ペンタブレットをスタジオに用意してもらえるので、自分で持ってくる必要はありません。 スタジオとの契約としてその作品の制作をするには問題ありませんが、個人事業主として他のスタジオでも制作を行う場合は、やはり自分のPCとペンタブレットが必要になります。作業環境を変えずにいろいろな場所で仕事をするためには持ち運べることは重要となってきます。
また、最近ではアニメ―ションスタジオの拠点が東京一択ではなくなってきていますし、東京から地方に移住して仕事をするクリエイターも増えてきています。その環境ごとにシステムを用意しないといけなくなる中で、会社が機材のサポートをするのも限界があるので、個人が所有する、または会社からレンタルするという状況が整備できるとなると、Wacom Movink 13は一つの選択肢となるのではないかと思います。
持ち運びに便利ということだけでなく、スタジオの中がそれほど広くなく、作画机などの物理スペースが限られる環境でも、Wacom Movink 13は小型で薄くて軽く、かなり取り回しが良いので、作業内容に応じて様々なレイアウトが出来るメリットも高いと思います。
作業場所を選ばず、作業スペースの自由度は上がり、ペンのカスタマイズ性も高いので、アニメーターにとってはかなり可能性が広がるデバイスだと思います。」
製品情報:Wacom Movink 13
りょーちも プロフィール
アニメーター・キャラクターデザイナー・アニメーション監督・CGディレクター。商業アニメーションで2Dアニメーターとして活動開始。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』『時をかける少女』などで原画を担当,『鉄腕バーディー DECODE』キャラクターデザイン・総作画監督,『夜桜四重奏』シリーズではキャラデザイン,総作監,監督を兼任。『亜人』『正解するカド』『GODZILLA 怪獣惑星』『映画 HUGっと!プリキュア♥ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』など3Dアニメーションにも演出や絵コンテなどで参加し,独自の方法で2D3Dのミックスのアニメ制作方法を開発。『夜の国』では制作方法から開発,監督を行うなど,デジタル最新技術をアニメーションワークフローにいち早く取り入れる活動が業界内外でよく知られている。近年ではこれまでの経験を活かし,商業作品と個人作家間での技術を共有できるように,アドバイス,ナレッジ紹介なども発信している。
Twitter
https://twitter.com/ryo_timo
製品に関するお問い合わせはこちら