Wacom Cintiq 24導入でアニメ制作の作業効率向上。
ペンの精度・正確性が作画クオリティを支える
作画の美しさや映像美で知られ、数多くの人気アニメ作品を手がけている株式会社A-1 Picturesは、2025年6月に発売されたワコムの液晶ペンタブレットWacom Cintiq 24 を約20台、すでに使用しているWacom Cintiq 22に追加する形で導入。約6年の時を経てモデルチェンジされた最新機種を導入したことで、社内にどのような変化がもたらされたのでしょうか。
システム管理を行う業務部の野々山拓海氏に、Wacom Cintiq 24を導入した目的や、前モデルWacom Cintiq 22と比較した社内での評価についてお尋ねするとともに、作画部の川上哲也氏、美術部の保田勇樹氏には実際に作業を行ううえでの操作性や描画精度、作業効率などの使用感について伺いました。
株式会社A-1 Pictures
2005年5月9日に設立され、2025年で20周年を迎えたソニーミュージックグループのアニメ制作会社として、恋愛・青春・バトル・アイドルなどの幅広いジャンルの人気TVアニメを多数制作しているスタジオです。代表作には、『ソードアート・オンライン』『かぐや様は告らせたい』『リコリス・リコイル』などがあります。
https://a1p.jp/
前モデルとのサイズ差に違和感なく、約20台の導入もスムーズに
前のモデルとなる Wacom Cintiq 22を導入したのは、「コロナ禍でアニメ制作のデジタル化が急速に求められたことからですね」と野々山氏は話します。この頃はスタッフがスタジオに集まって制作することが困難となり、リモート化を進めざるを得なくなったため、業界全体としてデジタル作画への移行が急速に進展した時期でもあります。
「当時、システム担当総動員で作画スタッフ全員分の液晶ペンタブレットを準備しました」と野々山氏は振り返ります。それから約5年が過ぎた2025年6月、後継モデルとなる Wacom Cintiq 24が発売されたことを機に、新卒のクリエイターが使う作画用の設備として約20台の新規導入を行いました。導入を決めたのは「22インチ前後の液晶ペンタブレットを使いたい、という社内の要望がかねてよりあったことから」と、前モデルの後継機にあたる製品を選んだ理由を挙げています。
社内のクリエイターから『フィルムではなく描く際の手元のズレ(視差)が少ないガラス面が良い』という意見が以前から多くあり、今回のWacom Cintiq 24 の導入にあたって実際に製品にふれてみると、その良さを実感できましたし、ペンも前モデルにくらべて鉛筆のような細さで握りやすくなっていました」と語ります。
「従来の製品は梱包の箱が二重になっていて開封に少し手間がかかりましたが、Wacom Cintiq 24はスムーズに取り出せるようになっています。ケーブルは、シンプルにUSB Type-CケーブルとACアダプタが1組だけ入っていて、整理がしやすくてありがたかったです」と語ります。
前モデルでのPC接続は映像出力用のHDMI、データ転送用のUSB Type-A ケーブルが必要でしたが、Wacom Cintiq 24だとUSB Type-C 1本で接続できるようになったため、すっきりとした作業環境を実現しています。接続の手間だけでなく、開梱しやすいパッケージ設計も含めて、Wacom Cintiq 24は企業が一括導入する際の負担を大幅に軽減する工夫が凝らされた設計であるといえます。

WQHDへと解像度が向上し、タイムラインを表示しながらの作業が可能に
作画部の川上哲也氏は、入社前は長くフリーランスとして働いており、株式会社A-1 Picturesには2019年に入社しました。設定画や版権イラストの作業のために、14、5年前からワコム製品を愛用しているそうです。
「フリーランス当時、一緒に仕事をしていたアニメーターの足立慎吾さんから勧められ、それに影響を受けて私も液晶ペンタブレットを使い始めました」と語ります。デジタル作画のネイティブ世代といっても過言ではないほど、非常に早い時期からデジタル環境へと移行されていたことが分かります。
「使用ソフトはCLIP STUDIO PAINTがメインです。また、A-1 Pictures, CloverWorks, ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニーグループで共同開発中のアニメ制作ソフト『Anime Canvas』も必要に応じて開き、使い心地や改善点などのフィードバックを開発チームに伝えながら、テスト運用にも協力しつつ使用しています」
総作画監督としての作業を行う川上氏のもとには、前工程のスタッフたちが重ねてきた作画への膨大な修正指示や修正履歴が、複数のレイヤーとして積み重なった状態で届きます。そのため、これまでは画面が指示事項やツールバーで埋まりがちでした。そうした課題がある中で、Wacom Cintiq 24の導入は大きな効果をもたらしています。
「画面がフルHDからWQHDへと高解像度化したおかげで、作業スペースが広がり、見え方が大きく変わりました。CLIP STUDIO PAINTの操作画面も余裕ができ、アニメのコマ割りを管理するタイムラインを表示したままでも作業できるようになりました。メニューの出し入れなどで、クリックするひと手間がなくなるのは本当にありがたいです。24インチのサイズでは、WQHDがちょうど良い解像度だと実感しています」

画面への照明や光の映り込み、反射の軽減で、作業時の視認性に変化
美術部の保田氏は、芸術系の大学でデザインを学んだ後、アニメ背景専門の制作会社を経て入社しました。業界歴は5年目です。アニメ背景については、独学で技術を習得しました。現在は美術監督を目指して業務に励んでいます。
保田氏はWacom Cintiq 24の第一印象として「本体正面から見てボタンが付いておらず、スタイリッシュでカッコいい」と話しました。
背景美術の制作作業でAdobe Photoshop CCを使用する保田氏は、Wacom Cintiq 24 導入後の変化を次のように語ります。
「以前のモデルでは、画面への照明の映り込みや反射が気になっていました。でも、新しいWacom Cintiq 24 ではAGガラスによって反射が大幅に抑えられ、ディスプレイ自体の発色も非常に良くなりました。そのおかげで、色味チェックのたびに確認用モニターに目を移す回数が格段に減り、大幅な効率化につながっていると思います」 このようにWacom Cintiq 24は、これまでのモデルからアップグレードされただけでなく、デザイン性から視認性にいたるまで、作画に没頭できる環境をサポートしています。

Wacom Pro Pen 3の筆圧感知が向上、Wacom Art Pen 2ではブラシの感度が改善
Wacom Cintiq 24には、Wacom Pro Pen 3が付属していますが、川上氏は「まず印象的だったのは、ペンの細さでした。私はもともと筆圧が弱い方なのですが、微細なタッチでも正確に拾ってくれるので、これまで使っていたペンとは違うとすぐにわかりました」と、ペンの持ちやすさと筆圧感知の精度の高さに感銘を受けていました。
保田氏には、アクセサリーとして販売しているオプションの「Wacom Art Pen 2」を試していただきました。
「背景美術で植物を描く際に使用しています。葉の向きは自然物であるため不規則ですが、手の回転にあわせてブラシの向きが変わるWacom Art Pen 2であれば、その都度回転しながら描けるので、よりリアルな表現ができ、感度がとてもよくなりました。ブラシの先端が回転する速度がかなり改善され、より直感的な表現ができるようになっています」
ペンのサイドスイッチについて保田氏は、「一番上をマッピング機能に割り当て、二画面の切り替えに活用しています」と、ご自身のマルチモニター環境に合わせたカスタマイズ方法を教えてくれました。

絶え間なく進歩を続ける作業現場でワコム製品がこれからも貢献
アニメ制作のワークフローでは工程ごとのデジタル化が進み、作画工程においてもフルデジタル制作の体制が広がりつつあります。Wacom Cintiq 24は、そうしたデジタル制作環境を支えるツールとして活用されており、今回の取材では、高い描画精度に加え、解像度の向上や光の映り込みの軽減による日々の作業効率化の面でも高い評価をいただきました。スタジオやクリエイターの作業現場では作品のクオリティの向上や、作業の効率化に対して、絶え間ない進歩が求められるなかで、ワコムの液晶ペンタブレット製品は今後も幅広い現場で活用され、貢献し続けていくことでしょう。
©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会 この事例のソリューションや
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