株式会社サンジゲン

※この記事は2017年に制作されたものです。

デジタル作画にCintiq 22HDを導入
3DCGアニメーションの地平を切り拓く

株式会社サンジゲン

2006年設立。セルルックアニメーションを追求し、3DCGでのキャラクター表現に意欲的に挑戦。
2016年、設立10周年記念作品としてオリジナル3DCGアニメ「ブブキ・ブランキ」を発表。京都・福岡にもサテライトスタジオを構え、一丸となり作品制作に取り組んでいる。

www.sanzigen.co.jp

導入前の課題

  • 今後の大解像度化に対応したアニメーションの制作
  • 3DCGアニメーションと従来の手描きの作画との融合
  • 紙の制約から、地方スタジオやグループ会社との連携が難しい

導入後の効果

  • 作品のクオリティの向上
  • 作画以外にも、3DCG、版権イラスト制作など幅広く新しい表現に活用
  • デジタル化により、地方スタジオやグループ会社との連携が容易に

デジタル作画部門の開設に伴い最初から液晶ペンタブレットを導入

従来の商業アニメーション制作といえば、作画用紙と鉛筆で一枚一枚手描きしていくフローが一般的でした。しかし、今後の4K8Kといった大解像度の映像制作のニーズに対応していく必要もあり、昨今デジタル作画に本格的に取り組むプロダクションが増えています。中でもCGのみならずアニメーション業界の最前線を走る株式会社サンジゲンが、新たにデジタル作画の部署を立ち上げたことは映像業界内でも大きな話題を呼びました。同社は、劇場・T Vアニメーションでのフル3DCGアニメーションや従来の作画とのハイブリッドアニメーションなど先進的な取り組みを行ってきました。撮影や3DCGのセクションでは従来からペンタブレットを導入していましたが、デジタル作画のセクションには始めからCintiq   22HDを導入し部署内の完全ペーパーレス化を実現しました。 「スペシャルなカットやエフェクトをより能動的に感覚的に描くには、手元を見ながらダイレクトに描ける液晶ペンタブレット以外の選択肢は考えられませんでした」とデジタル作画部長の山田豊徳さんは語ります。液晶ペンタブレットの選定にあたっては、実際に絵を描くアニメーターの意見を最大限に取り入れ、その後の運用もアニメーター主導で行っており、現在ではデジタル作画だけでなく、3DCGアニメーションへの加筆や版権イラストの制作など、幅の広い作業に液晶ペンタブレットが活用されています。またアニメーターを紙の縛りから開放することで、地方スタジオやグループ会社とのやり取りがやりやすくなったと言います。今後はパソコンとソフト、それに液晶ペンタブレットさえあれば作業ができるため、場所によらず優秀なクリエイターの発掘にも期待を寄せています。

ストロークを使って一本の線で立体を切り出す感覚

デジタル作画部の新設に伴ってスタッフとして抜擢されたのが茶之原拓也さん。茶之原さんは、元々通称「板タブ」の Intuos Proシリーズを使用していましたが、試行錯誤を繰り返す中で、「自分が感じていた座標を指定してペン先を置くという板タブのスタイルから、ストロークを使って一本の線で立体を切り出す」という感覚が、液晶ペンタブレットを使ってアニメーションを作画するメリットだと改めて感じたと言います。機種選定に当たっては、大きすぎないサイズでかつソフトウェアの描画エリアを確保しつつメニューまでの距離も近いという点でCintiq 22HDの採用を決めました。3DCGではずれることもなく描き足しを加えることが可能になり、キーとなる原画の作業では遅延もなく筆のようなストロークで描くことができ、動画作業では時には一度描いた線画を削ることによってアナログの筆目のようなタッチを出せるなど、液晶ペンタブレットならではの使い方で新しい表現方法を構築しつつあります。液晶ペンタブレットは、「ツールとしての機能が豊富なので、紙と鉛筆以上にやり方の幅が増えるのではないかと思います。液晶ペンタブレット一つでアニメーションの面白い表現ができると思いますよ」と茶之原さんは語ります。

作画だけでなく、3DCG、キャラクターデザイン、特殊効果にも付加価値を期待

デジタル作画管理の山田さんは、液晶ペンタブレットのメリットについて、「デバイスとしての直感的な操作感、没入感もさることながら、画面上で拡大することにより細かい所までニュアンスを拾うことができ、クオリティを向上させることができるということが挙げられます。従来のレイアウトや作画の工程を置き換えるのではなく、鉛筆と液晶ペンタブレットは別物と捉えて『 ンピューターによる絵作り』を基本に作画を行っていきたい。3DCGでは表現できないような筆のタッチだけでなく、キャラクターデザインや特殊効果など、ゆくゆくは原画動画仕上げ以外にも付加価値を与えていきたいと考えています。しかしまだ、試行錯誤をしている部分もあり、まずは液晶ペンタブレットというデバイスに慣れていくことで、描き手一人ひとりがその良さやメリットを活かせる方法論を探って欲しいと思っています。最近業界内では、作画机に液晶ペンタブレットを置いて活躍する著名なアニメーターも増えてきています。デジタル作画が注目されている今が液晶ペンタブレットに触れてみる良いチャンスではないでしょうか」と、まだ液晶タブレットを使用していない人へのアドバイスもいただきました。大きな波が訪れているアニメーションの世界。鉛筆から液晶ペンタブレットに持ち替えることで広がる新たな表現力をアニメーターが持つことにより、今後さらにクオリティの高いアニメーション作品が生まれていくことが期待されます。

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