株式会社ゼノトゥーン 様

株式会社ゼノトゥーン アニメーター池田氏・松永氏によるWacom MovinkPad 11レビュー

株式会社ゼノトゥーン(以下:ゼノトゥーン)はMV・PVをはじめとしたショートアニメから劇場・TVアニメまで幅広い映像コンテンツ制作を手がける、総合アニメプロダクションです。2025年1月に全国の劇場で上映された、安田現象監督作品のフル3DCG長編アニメ「メイクアガール」が上海やパリでも注目を集めるほか、ショートアニメとゲームを組み合わせた「AniBit」を手掛けるなど、その活動に目が離せません。
そんなゼノトゥーンで活躍される池田龍介氏と松永啓嗣氏にワコムの新製品Wacom MovinkPad 11を使用してもらい、その使用感をレビューしてもらいました。

ペンタブレットの性能は、作業効率と品質に直結する

──担当業務を教えてください。

池田氏:縦型のショートアニメを中心に、一気通貫でアニメーション制作を担当しています。「AniBit」からリリース予定の「PIXEL DASH: Toast of Destiny」というゲームでは、ゲーム内アニメにおいて背景制作を中心に一部作画も行いました。基本的に一人で作業をすることが多いですね。

松永氏:撮影・コンポジターとして、池田さんのようなアニメーターが描いたアニメーションの素材やデータをもとに最終的な映像に組み上げるコンポジットをメインに仕事をしています。これまでPVや広告・アニメのクレジット・アニメーションを主体としたミュージックビデオなどの撮影・コンポジットを担当してきました。

──現在使用しているソフトとワークフローを教えてください。

池田氏:CLIP STUDIO PAINTを使って、コンテ兼レイアウトを通しで制作しています。手描きでコンテを描いて、そのままアニメーションまでCLIP STUDIO PAINTで完結することが多いです。動画編集ではAdobe Premiere Proを使用しています。

松永氏:使用しているソフトはAdobe After Effectsがメインで、個人の仕事ではBlenderやCINEMA 4Dもよく使います。
案件次第ですが、受け取り素材をそのままAdobe After Effectsで撮影・合成まで一気に仕上げることも多く、個人制作だと自分で簡単なコンテを描くこともあり、並べて確認、OK後にスタイルフレームを作り、Adobe After Effects・Blender・CINEMA 4Dで本制作に入ります。

──普段、ペンタブレットはどんな制作で活用されていますか?

池田氏:会社のデスクでは板型ペンタブレット(Wacom Intuos Pro Medium(PTH-660/K0))で最初から最後まで作業することが多いです。

松永氏:僕もコンテ用途と手描き素材作りの二本柱で、デスクでは液晶ペンタブレット(Wacom Cintiq 16 (DTK-1660/K0))、外出先でのアイデアスケッチや簡単な資料作りではiPadと使い分けています。

液晶ペンタブレットは、アニメーションのベクター素材作りや、手描きでないとやりづらい作業で使用しています。BlenderのGrease Pencilという、ペンタブレットで3D空間上に描ける機能もよく使っています。

──ペンタブレットを使うことで、作業が効率化できたと感じることはありますか?

池田氏:ペンタブレットの作業は私達にとって当たり前のものになっていますが、もし紙と鉛筆で同じ作業をすると考えると、到底できないと思います。ペンタブレットなら、プレビューで前後の動きを確認しながら描くことがストレスなくできます。これがあるから制作スピードも質も全然違います。

松永氏:作業効率の面では、ペンタブレットは直感的に描けるのでスピードが段違いに速いです。マウスだと線が歪んでしまって時間がかかりますが、ペンなら狙った線を一発で出せるので全体の進行が早くなりますね。ペンタブレットの性能が良いほど作業のストレスが減り、結果的に品質も上がると感じます。

Wacom MovinkPad 11は、紙に描く感覚に近くストレスがない

──Wacom MovinkPad 11を実際に使ってみた印象を教えてください。

松永氏:第一印象としては持ち運びやすさと軽さがすごく印象的でした。

池田氏:本当にそう。普段扱っているiPadと比べると、とても軽いので外で作業する際も使いやすいですね。

松永氏:持ち運びやすさはもちろん、画面の反射が少ないのも非常にいいですね。通常のタブレットだと外光があると反射して見にくくなりますが、Wacom MovinkPad 11はフィルムも貼らなくても反射がないので、屋外でも使いやすいと思います。

──付属しているWacom Pro Pen 3の筆圧やレスポンスはどうですか?

池田氏:作業面では描いた瞬間に思い通りの線が出るのでストレスがありません。iPadで描いているときは、「もっさり」する感覚や線が遅れてついてくる感じがあったのですが、それが全くなくて驚きました。線が手についてきてくれて狙った線が引けるので、まさに紙に描いている感覚に近いです。描いている手が画面に触れたときの誤反応もないので、手袋をつける必要もなく非常に使いやすいですね。

松永氏:そうですね、特に芯とマットな質感の画面の相性が良く、滑りすぎず止めたいところで止まります。また筆圧によって薄い線が楽に出せるのが決定的ですね。iPadだと薄い線を描くためにペンを画面からぎりぎり離すように描くことで力んでしまう場面があったのですが、Wacom MovinkPad 11は自然に描いた通りに描けます。ペンの形状も鉛筆のようにフラットで握りやすく、軽量かつ充電不要なのは現場で本当に助かります。

出先で思いついたアイデアを、すぐに描いて残せる

──Wacom CanvasやCLIP STUDIO PAINTが標準搭載されていますが、この点は作業のしやすさに影響しましたか?

松永氏:Wacom CanvasはUIがとても分かりやすいです。他のアプリだと使い方を調べる必要があることが多いですが、Wacom Canvasは鉛筆や消しゴムのアイコンがひと目で分かる位置にあるので、説明なしでもすぐ使い始められます。機能面が豊富でもUIが複雑だと使いにくい面があるので、シンプルで直感的に使えるのがいいですね。

池田氏:僕は特にペン先を画面に軽く長押しするとWacom Canvasが立ち上がる、Quick drawing機能が重宝すると思います。iPadではCLIP STUDIO PAINTを起動する必要がありましたが、すぐに描きたいと思ったとき、Wacom MovinkPad 11ならアプリを立ち上げる必要がないので、本当にスケッチ感覚で描けます。それと、描いたラフをCLIP STUDIO PAINTへすぐに移して作業できるのが良い。アイデアを思いつく、ラフを描く、そしてそのままデータを移す。この一連の作業が瞬時にできるので、持ち出し端末として非常に実用的です。

──Wacom MovinkPad 11は制作のどんな場面で活用できると感じましたか?

池田氏:実際にMVのコンテを作るとき、出先で音楽を聴きながら演出のアイデアを思いついたら、すぐに描いて残す、という使い方で活用できました。せっかくのアイデアも文字のメモだと後で見返したときに分からないことがあるので、今後もコンテやアイデアスケッチに活用できると感じています。

松永氏:そうですね。やはりiPadだと描いたものを一度保存して、読み込み・書き出す作業を挟まなければいけないですし、ラスター画像として保存されてしまうので、後々その線がいじれないこともあります。それがWacom MovinkPad 11なら、全てデータ連携がスムーズにできるのは、使いやすさという点では選択肢として大きなポイントです。

デジタルで絵を描くといえば「ワコム」。絶対的な安心感と信頼感

──クリエイティブ制作において、ワコムの製品はどのような存在か教えてください。

池田氏:デジタルで絵を描くといえばワコムというイメージを持っています。他の製品は考えられないほどです。ワコム製品で、もう20年以上前のものも持っていますが、耐久性も高くまだ現役で使えるくらいなので安心感があります。

松永氏:ワコム製品は業界のスタンダードであり、安心できる存在です。このユーザーフレンドリーな設計がどんどん波及していってくれればとも思いますね。スタジオとしても機材が原因で制作が遅れることは避けたいので、ワコム製品なら安心して使い続けられます。これからもスタンダードであり続けて欲しいです。

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