アートディレクター 伊藤より子 様

伊藤より子氏によるWacom Movink 13レビュー

数々のハリウッドCG大作映画作品にヴィジュアルデベロップメントアーティストとして参加し、近年は講師としてもご活躍の伊藤より子さんにWacom Movink 13をお試しいただき感想を伺いました。

【Wacom Movink 13についてお話を聞かせてください】

「まず箱を開けた時点で軽さと薄さに驚きました。自分の持っているノートPCよりも軽いです。私はノマドという、いろんなところで仕事をするスタイルがメインで、今までは16インチのWacom Cintiq 16を持ち歩いていたんですが、Wacom Movink 13はかさばらないので本当にノマドには最適です。接続も非常に簡単で、USB-Cケーブル1本で接続できるのがとても素晴らしいです。最初は箱の中に電源アダプタがあると思い、探してしまいました。つないだ瞬間に起動して使えますので、もうそれだけでも最高ですね。左右どちらでも接続できるのも良いですね。」

「絵を描くときはペンでの細かい作業が多いのですが、精緻な線を引くときにも遅延が全然ないので本当に気持ちよく描けます。視差についても、もうわからないくらいになくて、紙に描くような描き心地なのですごく描きやすいです。今まで使用していたWacom Cintiq 16でガラスの視差があることには慣れていたので、それがこんなに近くなったんだと驚きました。最初は、従来使っていた16インチよりもサイズが小さいので描きづらいかと心配だったのですが、全然問題ないですね。マルチタッチについても、今までマルチタッチ対応の液晶ペンタブレットを使っていなかったので、操作に不安があったのですが、全く違和感がなくすごく使いやすいです。
普段は自宅でキーボードを隣において使うのですが、その点Wacom Movink 13にはタブレットの両サイドにカスタマイズ可能なタッチキーがあるので、そこにショートカットを設定できますし、Wacom Pro Pen 3にはサイドスイッチが3つあるのでブラシサイズの調整の割り当てもできて、キーボードがなくてもある程度の作業は大丈夫という感じです。カラーピックが一番必要なので、スポイトツールを手元で切り替えられるように設定すると便利そうですね。 有機ELディスプレイにはブルーライトカットの機能が入っていますが、画面に出る色に影響を及ぼさないようなので非常にありがたいです。私の仕事上、色の判断が非常に大切です。場面や設定で決まっているちょっとした色合いや明暗を作業モニター上で変えてはいけないので、そういう配慮がされているところも大変ありがたいですね。」

【作品やプロジェクトごとに基準となる色味、カラーキャリブレーションについて】

「仕事上、スタジオさんや仕事のプロジェクトが変わるたびに、使用する液晶ペンタブレットを支給してもらえるので選べるんですけど、液晶ペンタブレットに加えて色確認にサブディスプレイが欠かせないので双方の色を調整する必要があります。液晶ペンタブレットとサブディスプレイとの色の差が大きかったので、できるだけ近くなるように時間をかけて細かくキャリブレーション調整していたのですが、Wacom Movink 13はかなりイメージの色味に近くて、少しの調整で済むのでかなり助かっています。キャリブレーションにも対応しているのも良いですね。」

「従来のペンと比べてグリップが細くて持った感じが鉛筆に近くなりました。私は筆圧が強くてよく芯を交換していたんですが、芯の耐久性が改善しているのは嬉しいです。またDr.グリップやステッドラーなど文具メーカーとコラボしたいろいろな種類のデジタルペンを使えるのも面白いですね。」

【Wacom Movink 13を利用することで期待される点があればお聞かせください】

「クリエイターさんの作業スタイルが一つに固定されるということがなくなりつつある中で、このようなデバイスが出てくることで可能性がすごく広がると思います。
今まではWacom Cintiq 16を常に出先に持ち運んで使っていて、電源を使用するために部屋にこもって作業していたのですが、ノートPCとWacom Movink 13だけでカフェでも作業が出来そうですね。実は締め切り前とか急いでいるときは飛行機の中で作業することもあるのですが、このサイズだと膝に置いて使えそうです。私的にはこれからの作業サイクルが非常に楽になると思いますし、同じようにノマドで作業されるクリエイターさんに最適な製品だと思います。
このサイズが気に入っているのとほんと工夫を重ねて作り上げたというのがわかるので、これからも愛用していきたいですね。」

製品情報:Wacom Movink 13

伊藤より子 プロフィール

アートディレクター・ビジュアルデベロップメント アーティスト。21歳で渡米し、Academy of Art Universityのイラストレーション学科を卒業。1997年にDreamWorks Animationに背景画家として参画。その後、ビジュアルデベロップメントアーティストとして映画『マダガスカル』や『シュレック』シリーズを手がけ、日本人として初めてアニー賞(Annie Awards)のプロダクションデザイン個人部門にノミネート。最近の代表作には、アートディレクターを務めた『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)、デザイナーとして関わったNetflix Animationの映画『Ultraman Rising』(2024)、カラーライティングスーパーバイザーとして参加した『Tokyo Over Ride』シリーズ(2024)などがある。これまでにSony Animation、Illumination Entertainment、Netflix Animationなどの作品にも携わり、アートディレクターやプロダクションデザイナーを歴任。アメリカの映像制作現場で30年以上活動を続ける傍ら、映像のコンサルタントや企業でのアーティスト教育、ワークショップ開催などを通じて後進の育成にも尽力し、講師としても活動中。2024年、blue gradation, Inc. を設立し、代表取締役に就任。

www.yorikoito.com
https://www.blue-gradation.com/

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