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三輪士郎 Cintiq 24HD touchを使った初めてのフルデジタルでの作品制作でアナログと同様の書き味を実感 製品レビュー:Cintiq 24HD touch

異分野のトップクリエイター6名によるコラボレーション動画『Cintiq Creators Mash-Up』にイラストレーション担当として参加し、鮮烈な印象を残す冒頭のシーンを飾った三輪士郎さんは、漫画家としてのキャリアだけでなく、クリエイター集団「supercell」のメンバーでもあり、ゲームのキャラクターデザインや、小説のカバーイラストや挿絵などのイラストでもそのテクニックを高く評価される、カリスマ的な人気を誇るクリエイター。今回のコラボレーション参加に驚いたファンの方も多いのではないでしょうか。

冒頭のシーンで三輪さんが描いた「2人の女の子」と「リンゴ」のイラストは、ディレクター関和亮さんのアイデアにより、液晶ペンタブレットで描かれた18時間の制作過程をまるごとキャプチャして、20秒の高速再生動画として生まれ変わらせるという斬新な手法がとられました。そのイラスト制作に使用したのが液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD touch」。作品によって、アナログからデジタルまで幅広い手法で行なうという三輪さんですが、じつは液晶ペンタブレットを使ったフルデジタル作品に取り組んだのは今回が初めてだったそうです。その記念すべき作品制作についてうかがいました。

Profile 三輪士郎(みわ しろう) / 今プロジェクトの役割:Illustration

1999年に『ウルトラジャンプ』で漫画家デビュー、現在も同誌に連載中。イラストレーターとしても活躍し、2008年よりクリエイター集団「supercell」に参加。クールでスタイリッシュな作風で、幅広いジャンルのファンから人気を集めている。

イラストレーター人生初のフルデジタル制作は
三輪士郎にどんな刺激を与えたのか?

三輪さんのイラスト制作期間は3日間、計18時間に及びました。Cintiq 24HD touchで描かれた下絵からフィニッシュまでのすべての工程を動画としてキャプチャし、関さんが編集して映像作品に仕上げています。三輪さんファンにとっても、「三輪さんのイラストによる動画作品」という新しい楽しみ方があるだけでなく、そのメイキングの様子までが一度に楽しめてしまう、見応えのあるシーンとなりました。制作過程をキャプチャするという関さんからのアイデアをもとに、三輪さんがどのように構図を決め、キャラクターを描き込んでいくのか? その試行錯誤の様子もすべて収録されています。

「今回のコラボレーションに参加させていただけるのは楽しみでありつつも、一枚絵である僕のイラストがどうやって映像に関わっていくのかが課題でもあったので、イラストが出来上がっていく様子を動画として見せるという関さんのアイデアにはすぐに共感できました。最後は映像のプロである関さんがうまく編集してくれることを信じて、僕はいつも通りに描いただけです(笑)」

ふだんの漫画やイラストは、線画はアナログ、着彩や仕上げはデジタルという三輪さんですが、今回は線画からすべて液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD touch」を使って本格的なフルデジタル制作にチャレンジ。作品の描き方もこれまでとは違いがあったそうです。

「これまでの紙とペンで下絵を描き、デジタルで着色する方法は、漫画でいえばペン入れをした後にスクリーントーンを貼って原稿を仕上げていく感覚に近かった。範囲を指定してバケツツールで塗りつぶす、アニメ風ともいうのかな? なので、アナログだけで描くよりも、自ずと絵の雰囲気も強くパキッとするんです。でも今回はCintiq 24HD touchを使って、初めて下絵からフルデジタルで制作するということで、逆に柔らかいタッチの絵を描いてみたいと思いました。他にも、アナログで描く際は、頭の中で筆を素振りしてからカッチリ線を引いていきますが、デジタルでは何度でも描き直せるので、素振りなしに筆をどんどん走らせて、試していくことができました」

作品制作中のひらめきや、
追加のアイデアにも即座に対応できる、
デジタルならではのクリエイティブ

三輪さんが描いたのは、対照的な2人の制服姿の女の子でした。1人は三輪さんの作品イメージに近い作風の、長い黒髪で黒いセーラー服の女の子。もう1人は、これまであまり三輪さんの作風では見られなかった、ショートへアで明るい髪色の白いセーラー服姿の女の子。この2人のキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。

「他の参加クリエイターの中にも、YKBXさんや青山さんのように、ふだんからよく女の子をモチーフにした作品を制作されている方がいたので、今回は作品のつながりやすさも考えて、制服姿を選びました。最初に描き始めたのは黒い制服の子のほう。描くうちに雰囲気の違う女の子が横にいたほうが賑やかでいいかな? と思い、途中から白い制服の女の子を描き上げました。黒い制服の子も初めは表情もきつめで、大人っぽくなりすぎたので、2人のバランスを考えて、顔の大きさや表情を途中で変えて、柔らかい雰囲気に描き直しています。顔だけ描き直したり、ポーズを反転させたりがすぐにできるのは、デジタル制作のおかげですね」

三輪さんが話してくれた、描き直される前の女の子の表情。じつは作品動画を注意深くたどって見ていくと、きちんと確認することができます。そして、2人のキャラクターが仕上がった制作の最終日、三輪さんの制作を静かに見守っていたディレクターの関さんから新たなお題が。

「同時進行で進めていた、YKBXさんの制作パートが僕の直後になるらしく、二人の作品をつなぐ演出として、『リンゴ』を描いてほしいとの依頼でした。じつは僕、リンゴを描いたのは生まれて初めてだったんですが、すぐに参考写真をいくつか探し出して描きました。初めてにしては、上手く描けたのではないかと思います(笑)」

ついに完成した
「Cintiq Creators Mash-Up」
コラボレーション動画について

「刺激的なコラボレーションに参加させてもらえて楽しかったです。関さんとは今回初めてお会いしたのですが、じつはsupercell関連で過去に同じ作品に携わっていたことが、最初の打ち合わせで発覚しました(笑)。kzさんともボーカロイド作品でご一緒する機会があったので、ひさしぶりに同じ作品に携われて嬉しかったです。そして青山(裕企)さんは、写真集を持っているほどのファンなので、まさかこんなかたちでコラボレーションさせていただけるなんて大変光栄でした。みなさんすごい方ばかりで、どんな動画になるのか楽しみでしたが、それぞれの個性があふれて印象深い作品になっていますね。僕も液晶ペンタブレットだけで描いた作品は初めてなので、今までとは違うテイストを楽しんでもらえれば嬉しいです。制作過程も、みなさんのイラスト制作の参考になれば嬉しいですね」

「Cintiq 24HD touch」製品レビュー

初めてのフルデジタル制作を意識させなかった
大型液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD touch」のアナログ感

「僕はもともとペンタブレットIntuosシリーズ(現Intuos Pro)のユーザで、2年ほど前にCintiq 13HDも購入して持っていたんですが、板型のペンタブレットに慣れてしまっていて、なかなか本格的に切り替えて使うチャンスがなかったんです。だから今回、液晶ペンタブレットだけで作品制作に挑戦できたのは、とてもいい機会となりました。Cintiq 24HD touchは直接画面に描いていくので、紙に近い感覚で描くことができるし、液晶画面が広いので、肘を使った大きなストロークの線が描きやすくて気に入りました。何よりアナログの下絵をスキャンしたり、データのやり取りをする手間が省けるのは、ラクでいいです(笑)」

「あと、線の描きやすさでいえば、直線が引きやすいのも僕には嬉しいポイントです。Photoshopの直線ツールを使うと無機質な線になるのがイヤだったんですが、液晶ペンタブレットだと、フリーハンドでも簡単に直線が描けます。なんなら、ディスプレイに直接定規を置いて線を引いてもいい。便利な使い方ができますね」

アナログでもデジタルでもない
新しい描き方の可能性を提案する「Cintiq」

「今、イラスト制作の世界はデジタルが主流になりつつありますが、マンガ制作の世界はデジタル / アナログ半々で、僕もペン入れまでは昔から描き慣れた紙とペンで描いています。ただ、データのやり取りやトーン貼りなどデジタルだと便利なことも多く、今後マンガもフルデジタルで作るようになれば、ラフからペン入れ、トーン貼りまで、アナログのような感覚で画面に直接描き込むことができるCintiqは必須だと思います。またイラストに関しても、Cintiq 24HD touchでフルデジタルならではの作風に挑戦したいですね。今回初めて液晶ペンタブレットだけで作品を描き切った経験を、これからのマンガ、イラスト制作にも活かしていきたいです」

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