Product
製品から探す

  • Wacom MobileStudio Pro
  • Wacom Cintiq Pro
  • Wacom One
  • Wacom Intuos Pro
  • Wacom Cintiq
  • Intuos
  • Bamboo Smartpads
  • Bamboo Stylus

Category
タイトルタグから探す

  • 製品の選び方
  • 活用ガイド
  • Sculpting with Wacom
  • Drawing with Wacom
  • イラストテクニック
  • ~あの作品の制作環境が見たい~
  • ペンタブレット活用事例
  • Bamboo Blog
  • 写真に絵を描く!フォト・ドローイングのススメ
  • 教育現場での導入事例
  • デジタルペンのおしごと図鑑

Category
カテゴリから探す

  • イラスト
  • アニメーション
  • マンガ・コミック
  • ゲーム
  • ウェブデザイン
  • グラフィックデザイン
  • デザイン
  • ムービー
  • 3DCG
  • フォト
  • コラージュ
  • お絵かき
  • ビジネス
  • ナビゲーション
ワコム 押山清高監督 特別インタビュー

押山清高監督 特別インタビュー

累計動員数100万人を突破した劇場アニメ『ルックバック』で監督・脚本・キャラクターデザイン・作画監督作画を務めた押山清高さんに『ルックバック』の制作やご使用中のワコム製品についてお伺いしました。


押山清高監督

押山清高

2004年、ジーベックで原画デビュー。その後、マッドハウス制作のテレビアニメ「電脳コイル」で作画監督を担当し、映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「風立ちぬ」「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」などにも携わる。2014年放送の「スペース☆ダンディ」シーズン2では脚本や演出にも仕事の幅を広げ、2016年には「フリップフラッパーズ」で監督を務めた。2017年、スタジオドリアンを設立。オリジナル短編アニメーション『SHISHIGARI』を監督。藤本タツキのマンガを原作とする劇場アニメ初監督作「ルックバック」が2024年6月28日に公開。著書に『作画添削教室 神技作画シリーズ』『押山式作画術 神技作画シリーズ』がある。

X: @binobinobi
studio durian

株式会社ドリアン

押山清高と永野優希が立ち上げたアニメーションスタジオ。手描きによるアニメーション表現を得意としたアニメーション作品の企画から制作までを一貫して行い、世界中に向けて提供します。
主な代表作
短編映画『SHISHIGARI』(2019)
映画『ルックバック』(2024)

https://studio-durian.jp/

『ルックバック』のストーリー部分など全体を通して見て欲しいところはどこですか?

押山:作り手としては言いたいことは色々あるんですけど、あんまり先入観なしに、素直な気持ちで見て欲しいと思っています。でも強いて言うなら、アニメーターの描く絵を原画のまま画面に出していて、商業アニメーションとしては特殊な表現方法をとっています。原画マンの生の絵が画面にダイレクトに出ているので、絵を描く人たちが見てもおもしろい作品になっているんじゃないかなと思います。

制作過程で技術的にこだわったところはありますか?

押山:普通のアニメーションだと、マンガ原作の絵柄の再現は、表現技法が違うので結構難しい部分もあります。マンガは1枚1枚の絵で作り込めるんですけれど、アニメーションになると、何百人というアニメーターのクオリティにバラツキが出ないように描きやすい絵のデザインを起こし直す必要があります。でも『ルックバック』では少人数のアニメーターで作り上げることで、絵柄の表現をよりマンガに近づけることができたかなと思います。

どの作品もアニメで表現できうる限界を、自分たちのリソースで最大限の努力をされていると思うんですけど、とても大変なんです。マンガとアニメは同じようにストーリーを絵で語っているように見えて、実はその絵の描き方や作っている過程が全然違うんですよ。

制作の中で乗り越えた壁はありますか?

押山:制作においての壁は山ほどあります。少人数とはいえ、やはりみんな描く絵はそれぞれの個性が良い意味でも悪い意味でも出るので、それをどう統一していくかという課題はどの現場でもあります。でも僕は『ルックバック』という作品においては、絵のバラツキも許容していこうという考えを持っていて。

みんなでアニメーションを作るので、キャラクターの色を決める素材を提供する意味でも、キャラクターデザイン担当として、デザイン画の用意はしました。でも、例えばマンガ家さんご自身がキャラクター設定を作っていなかったり、連載が進むうちに作家さんの絵柄が変わっていったりすることもあります。今回の作品はマンガ家を描く原作の物語ということもあり、アニメ制作の中でも時間が進むとともに起こる絵柄の変化も許容できる作品にしたいなという思いがありました。なので、僕自身も自分で作ったキャラクター設定画を見ずに、カットごとにどんどん絵を変えていきました。

イメージ

例えば物語の冒頭は、小学4年生から6年生ぐらいの小学校時代のライトな物語ということもあるので、絵柄もあまり写実寄りにしすぎず、絵柄もちょっとマンガ風というかアニメ寄りというか、リアルタッチに描かないような絵柄で描きつつ、後半に行くに従ってキャラクターたちの成長とともに絵柄をもう少しリアルに描きました。物語もどんどん深刻な物語に入っちゃうので、それに合わせてキャラクターも絵柄も変化させました。

仕事場に作品で描かれたランドセルが置いてありましたが、作品を描く上でどのように役立ったのでしょうか?

イメージ

押山:アニメーションは動きで表現するし、色でも表現するし、空間でも表現するので、絵柄の解像度を上げる必要があります。意識して描かないと、その通りにならないんです。

ランドセルひとつとっても、どういう質感で、どれくらいの重さで、どんな挙動をするのか、基本的には自身の体験を元にして描きます。ただ、体験を元にするだけではやはり拾いきれないというか、自分が小学生だった時代はもう何十年も前なので、ランドセルのベルトの構造とかを忘れてしまうんですよね。

イメージ

写真を参考にして描くのは簡単ですけど、それだけでは拾いきれない情報もあるので、すぐ手に入るような参考資料はなるべく手元に置き、実際に自分で背負って動かしてみたり、触ってみたりして描くことで、絵のリアリティや存在感を高めています。

イメージ
©藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会


劇中アニメで、液晶ペンタブレットで絵を描くペンの音もリアルでした

押山:実は初めは違う製品で描いた音だったんですけど、違和感を感じて…。音響効果さんの家に僕が持っているワコムのでかい液タブを持って行って、実際に録音してもらったんですよね。

イメージ
©藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会


今はどの製品を使って制作をしていますか?

押山:Wacom Cintiq Pro 27っていうめちゃくちゃ高い製品です。(笑)

イメージ

これまでのワコム製品からは大きく使いやすくなった感じがありますね。視差の部分がだいぶ減ったし、ベゼルの部分が薄く幅が狭くなったので、モニターサイズの割に取り回しが楽になったのと、軽量化も図られています。

デジタル制作になってよかったと思う作業はありますか?

押山:デジタルによってやりやすくなったことはいろいろあります。僕の中ではまず消しゴムへの切り替え。ペンから消しゴムへの切り替えがめちゃくちゃ早くて持ち替えが必要なくなったっていうことが何よりも大きいですね。あとは、消しゴムに筆圧がいらないのも手に負担がかからない。それで絵を描くタイムロスがなくなりました。

イメージ

アニメーション制作では、絵は一人で描くのではなく、リレーなんです。最初に原画マンが描いて、それを作画監督に渡して、監督が演出やチェックをして、また原画マンに戻して作画監督が見て、その後、仕上げさんが見て。そういうふうに絵をリレーしていく時に、紙だと実際に運ばなければならないのですが、デジタルだとデータの受け渡しが可能なところが、一番大きいメリットです。

あとは、アニメーションは最終の完成形がデジタル画像なので、最初からデジタルで作業した方がスムーズなんですよね。アナログをデジタルに変換しようと思うと、スキャンが必要になりますが、紙の中にある消しカスやゴミなどのノイズが入るので、人力でノイズ取りをします。アニメーションは何万枚という絵をひとつの映画の中で処理するので、スキャンの手間が大きいんです。最初からデジタルで作業できると、それだけでメリットが大きく、いろんなコストもかからずに済みます。

現在は監督なども勤めていらっしゃいますが、アニメーション業界を目指したきっかけは何ですか?

押山:子どもの頃から絵を描くのが好きだったので、絵を描く仕事がしたかったんですけど、一番なりやすかったのがアニメーターでした。僕が就職しようとしていた時期は、インターネットが始まってそれほど時間が経っていなかった頃。インターネットで調べてもイラストレーターのなり方はよくわからず、マンガ家はマンガを描ききらないとどうやらなれなさそうだし、出版社に持っていっても狭き門というところもあって。

そんな中で、アニメーターはわりかし絵が下手でも、会社に入って給料がもらえて、アニメ会社もいっぱいあったので、とりあえずプロの現場には入れそうだぞと感じて。いろいろ探して、採用してもらえた会社があったからアニメーターになりました。アニメーターにならなければというよりも、どうやったら絵が上手くなるかなと考えた中で、実現可能そうなところに行ったという感じです。

ただ、一番絵が上手くなりそうな仕事はアニメーターだとも思って。当時、アニメーターの原画集が書店に並ぶような時代になっていて、そこで見た原画集の絵がとびきりうまくて、自分もそういう絵を描けるようになりたいと思ったのも、アニメーターを目指すきっかけのひとつでした。

『ルックバック』でも共感した部分は多かったですか?

押山:僕自身もマンガを描いたこともありますし、子どもの頃から藤野のようにクラスで絵を描いていて、絵を描くキャラクターとして認知されていたので、すごくよくわかりますね。どちらかというと友達とワイワイみんなで遊ぶというタイプよりは、京本のように家に引きこもって絵を描いているようなタイプだったので、藤野と京本という主人公たちに共感する部分があったし、自分のこれまでの生い立ちもかなり近しい部分がありますね。それがあったからこそ、この映画は原作モノではありますが、映画化したいと思いました。

イメージ
©藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会

仕事で楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

押山:絵を描いている時にしんどいこともあるんですけど、これだけ絵を描いているとそれなりに技術力も付いて、楽な気持ちで描けるようになってきます。時には僕自身そんなに苦労なくやったことでも、みんなが認めてくれることもあって。そういう意味では絵を描くのはすごく効果的で、長く続けてきてよかったなっていう部分です。

他におもしろいことや楽しいことがあるんだったら、別にそっちでもいいのかなと思うこともあるんですけど、他の楽しいことをしていても、やはり絵を描きたくなってくるのがわかってきて。他では満たされない部分が絵を描くことにはあるんだなと、今は思います。

アニメ業界、クリエイティブ業界を目指している方へ一言お願いします。

押山:人間が絵を描くっていうことに対しては、最近のAIなどのテクノロジーの登場によって、今後は大きく様変わりしていきそうです。絵を描く仕事を目指してそれだけで食べていけるのか、人力で描き続けるということにどこまで価値が残るのか、自己満足ではなく、仕事にしようとした時に、ただ単に絵を描いて技術を高めるっていうことだけではこの後は難しいのではないかなって正直思います。

これは自分にも言えることなのですが、今絵を描いている先人たちをお手本にしても、もしかしたら自分に当てはまらないというか、別なことをやらないとこの先は厳しいかもしれません。
僕も20年近くアニメーターをやっていますけど、そこで得た経験値や技術力が、これまでのように価値を持たない時代がこれから来るのではないかと思っている部分もあって。
逆に、人間だからこそできる魅力がある絵の描き方、そして新しいテクノロジーとどう共存していくかということに意識を向ける必要があるかもしれませんね。

インタビュー完全版はこちら

YouTubeでご覧になるにはこちら

劇場アニメ『ルックバック』作品情報

■あらすじ
学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられる...。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思い。しかしある日、すべてを打ち砕く出来事が...。胸を突き刺す、圧巻の青春物語が始まる。

■CAST・STAFF
原作:藤本タツキ「ルックバック」(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・キャラクターデザイン:押山清高
出演:河合優実、吉田美月喜
アニメーション制作:スタジオドリアン
公式サイト:lookback-anime.com 公式X:@lookback_anime

■原作
「ルックバック」(集英社ジャンプコミックス刊) コミックス発売中

©️藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会

ワコムの液晶ペンタブレット

Wacom Cintiq Proシリーズ
Wacom Cintiq Proシリーズ

高品質ディスプレイと高精細なペン描画が可能なプロフェッショナル向け液晶ペンタブレットWacom Cintiq Pro シリーズ。Wacom Cintiq Pro 17/22/27は、ワコム史上最高のこだわりを結集し、新ペンテクノロジーWacom Pro Pen 3採用。

製品詳細を見る
お店で製品を試してみよう!製品の取り扱い店舗はこちら
の検索結果 : 0件のページが見つかりました。
もっと見る