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クリエイティブ集団SwimmyDesignLab

グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、写真家、イラストレーター、トラックメイカーから成り立つ、クリエイティブ集団。個々が多様なニーズに対応し、メディアを問わず『デザイン』と『アート』の境界線を超えた、斬新な創作活動を行う。2012年よりスタートした、独自の観点で再構築した動物をコンパイルしたプロジェクト「SwimmyAnimalLab」で、さまざまな企業とコラボレーションするなど活動の幅を広げている。

使用タブレット
Intuos5
使用歴
半年
きっかけ

プレイリードッグ、アルパカ、バク、なまけもの……つちのこ? まるで子どものいたずら描きのようなキッチュでポップな動物たち。実在の動物を独自の観点と偏見でビジュアライズした「SwimmyAnimalLab」プロジェクトの作者としても注目される吉水卓さんは、クリエイティブ集団SwimmyDesignLabを主宰する気鋭のアートディレクター。アメリカでファインアートを学び、「ほとんど何も知らないままデザイン事務所を立ち上げ、アートディレクターを名乗った」という吉水さんの柔軟で鋭い感性は、どのように培われていったのでしょう。数々の作品が生み出された代官山の住宅街の中にあるオフィスで、最新プロジェクトにまつわるお話も交えて伺いました。

テキスト・阿部美香
撮影:CINRA編集部

「アートより音楽」だった男がアートディレクターを名乗るまで

高校を卒業してすぐに渡米。多くの芸術家を輩出しているアートスクールに進み、ファインアートを中心に総合美術を学んでいた、吉水さん。さぞ大きな志を抱いてアートの道を目指されたのだろうと、そのきっかけを伺ってみると、意外な答えが返ってきました。

吉水:絵を描くことは好きでしたが、特別な志はなくアメリカに行ったんです。僕が普通に大学に進む気がなかったのと、父親が海外で長く仕事をしていたこともあり、「じゃあアメリカの大学に行ってこい」と送り出されてしまって(笑)。英語も喋れない中で、いちばん語学力の必要ない科目が、美術だったんです。

そこから本格的にファインアートの世界に触れた吉水さんは、スカルプチャー(立体造形物)をメインで制作しながら、授業の一環としてデザインも学ぶことに。その経験を活かして、帰国後に自らデザイン会社「SwimmyDesignLab」を立ち上げます。しかし、「アートやデザインで身を立てたいという特別なこだわりがあったわけではなかった」と、吉水さんは振り返ります。

吉水:アートディレクターとして仕事をしていますが、実は今でもデザインをどうしてもやりたい、というわけではないんです。物作りには昔からずっと興味がありますが、題材は音楽でも文章を書くことでも何でも構わない。ただ僕にできることがデザインだっただけ。事務所を作ったのも、アメリカで描きためた絵がたくさんあって、それを使えばいいだろうと考えただけなんです。好きという気持ちだけなら、音楽への熱のほうが高いかもしれません(笑)。

大手企業とのコラボレーションや、ちょっと意外なL’Arc~en~Ciel、シドといった人気アーティストのコンサートグッズなど、さまざまなプロダクトを手がけ、アートディレクターとしてキャリアを重ねている吉水さん。「僕にできることはデザインだけ」と謙遜しても、吉水さんの大胆な発想は、アーティストと比べても、とてもラジカルなものに思えます。そのバックボーンには、やはりご自身も語る通り、音楽の存在が欠かせません。

吉水:高校時代は時代的にもメロコアとハードコアが流行っていた頃で、パンクバンドをやってました。アメリカに行ってからもヒップホップのトラックメーカーをやっていましたし、その後も世界中のマニアックな音楽にハマったり。本当にデザイン以上に、音楽にどっぷりでした。実は、一緒に会社を立ち上げたパートナーも、バンド時代の仲間なんですが、当時は見た目も全然違っていて、今でも耳に大きな穴が開いていますよ(笑)。

パンクミュージックがルーツのひとつと聞くと、なにやら吉水さんのラジカルな発想も理解できるような気がします。若い頃のスピリットが、今のお仕事にも影響を与えているのではないのでしょうか。

吉水:いわゆるパンク精神がなかったら、こんな仕事やっていけないでしょ(笑)。僕の場合アートスクールも中退し、帰国後もフラフラしていて、初めての仕事がこの事務所で「アートディレター」を名乗ってから、なんです。当時は何もかもぶっつけでしたから、自然と規格外な発想になっていたと思います。それに僕は、いわゆるアーティスト肌ではない。もちろん自分の作品にコンセプチュアルな考えは持っていますが、ファインアートの作家のように、声を大にして言うのは恥ずかしい。かといってアートに造詣がない代理店的な発想も違う、と思ってしまうんです。どちらの仲間にも入れないんですね。

さらに吉水さんは、ご自分の作家性をこう分析されます。

吉水:そもそも、内にこもってじっくり作品を練り上げる物作りは、性に合わないんです。自分のやったことにリアルタイムでレスポンスがないと続かない。バンドもそういうものですよね。「これどう?」「いいね!」という仲間のレスポンスがあるから創造力も高まります。あの感覚が忘れられなくて、デザイン会社を作ろうしたときも、バンド仲間をパートナーに誘ったんです。

たしかに、デザインの仕事はチームプレイで作り上げるもの。そして、アートとビジネス、どちらも持ち合わせながら、どちらの感性とも違う吉水さんが、作家ではなくアートディレクターになられたのも、必然だったのかも知れません。

コマーシャルとアートの絶妙な狭間を泳ぐ作品性

そんな吉水さん、手がける作品も斬新でラジカルです。今の代表作とも言える「SwimmyAnimalLab」は、頭の中のイメージだけを頼りに動物をハイスピードの一発描き(1枚描くのに要する時間はわずか15秒ほど!?)で仕上げてしまうそうなのですが、これはどのように作り上げられたのでしょうか。

吉水:デザインの仕事というのはクライアントありきなので、相手のニーズに合わせて、僕らの作風も変わります。だから逆に、自分たちから何か発信できるものはないか? と考えたのが、もともと好きだった動物を再構築し、オリジナルの図鑑で見せる、ということだったんです。

それが2012年のこと。吉水さんはこの可愛らしくどこか毒気のある動物たちを、ありとあらゆるデザインイベントや展示会に出品し始めました。その数、年間で10件以上。毎月のようにイベントを行っていたそうです。その甲斐あって、さまざまなコラボレーショングッズが発売になり、プロダクトは大手商社とのライセンシー契約を結ぶまでに成長しました。

吉水:小難しいことは考えずシンプルなコンセプトで、僕自身が楽しんでやれるものにしました。それは過去に「結婚を申し込みにきた男と娘、その父親が織りなす物語」をアパレルで展開するという、あまりにトリッキーなコンセプトの企画で失敗したからなんです(笑)。次はひと言で説明できるものがいいなと、いろいろ削ぎ落としていった結果、「イメージのなかの動物たちの図鑑」という、分かりやすいコンセプトになったんです。

これに手応えを感じた吉水さんは、今年さっそく次のプロダクトを始動しました。

吉水:新プロジェクトの「HOZON HOZON」は、ありふれた缶詰にありえない缶詰のラベルを貼付ける、というもの。これも全部、先にギフトショーという発表の場だけ押さえて、ギリギリで一気に描き上げました。僕、もともと直近のことしか考えられないので(笑)、面白いと思うアイデアは出し惜しみせず、すぐに実現したいんです。

HOZON HOZONに込められたメッセージも、あの動物たちと同じようにキュート&ユーモラスで、ちょっぴりシニカル。ビートルズ風のキャラクターが描かれた「リバプールの缶(トリップ2回分)」、開けても開けても……を想像させる「マトリョーシ缶(5缶)」など、ウィットに富んだラインナップです。

吉水:例えばリバプールの缶なら「ヨーコの手作りトリップが2回分入った缶詰」というように、それぞれ裏面にバックストーリーが書いてあります。デザインの細かいところにも、ちょっとしたジョークを盛り込んでいて、そのまま缶詰にしてもいいでしょうし、ラベルとして使っても面白いと思うんです。これも興味を持ってくれる方にできるだけ多く出会って、面白い展開ができるよう、いろいろな場でアピールしていきたいと思っています。

今年も、持てるクリエイティビティをいかんなく発揮していくであろうSwimmyDesignLab。今後は活躍のフィールドを、どのように広げていきたいと考えているのでしょうか。

吉水:オリジナルのプロダクトは、自分たちのクリエイティブを伝えられるコンテンツにしたいんです。アートとしてビジネスになるブランディングを考えていきたいですね。……やっぱり何らかのカタチでファインアートにも戻りたいし、海外でリベンジしたい気持ちもあります。その足がかりとなればうれしいですね。

ただ絵を描くだけではなく、ユニークなコンセプトも含めたトータルコンテンツをコマーシャルな感性とアーティスティックな感性で融合し、発信していく吉水さん。SwimmyDesignLabの次なる仕掛けに、目が離せませんね。

「独自のセンスが光る、無駄のない?」マストアイテム

吉水さんの仕事場でもあるSwimmyDesignLabは、線路を見下ろす代官山の住宅街にあるビルの3階にあります。まるでセレクトショップのような白い壁が基調の部屋には、壁の一面ガラス張りの広い窓があり、あたたかな陽射しが差し込む素敵な空間です。玄関を入るとすぐに目に付くのは、SwimmyAnimalLabのプレイリードッグが描かれた大きなパネル。その奥にはPCが置かれたデスク、さらにスペースを挟んだ後ろ側は、SwimmyAnimalLabグッズの保管棚や棚一杯の本が並んでいます。そんな「ヒミツ基地」で吉水さんの創作意欲を掻き立てる、お仕事の必需品を見せていただきました。

ヒミツ道具1 ユニボール シグノ

「まさに必需品といえるのがコレ」と吉永さんがサッと取り出されたのが、三菱のゲルインクボールペン「ユニボール シグノ」でした。ステーショナリー業界でもロングセラーを続けるこのボールペンは、吉水さんが絵を描くときに学生時代から長年愛用している、文字通りのマストアイテムです。

吉水:僕は学生時代からずっとモチーフを描きためているんですが、いつでもどこでも描けるようにボストカード大の画用紙とこのペンを持ち歩いています。これを好きな一番の理由は、書き味はもちろんのこと、どこの文房具屋さんでも買えること。だから失くしても惜しくないんです(笑)。アメリカに渡ったときも、日本から大量に持っていきました。ただひとつ問題があるとすれば、打ち合わせの席などで使っていると、必ず誰かが気軽に持って行ってしまうんですよ(笑)。

ヒミツ道具2 ボクシンググローブ&トランクス

次に吉水さんが取り出されたのは……なんと、ボクシンググローブ! ぴかぴかのグローブとトランクスは趣味のコレクションかと思いきや、「いえいえ僕が使ってるものです」。

吉水:若い頃にプロレスにハマり、PRIDE全盛期には、お金もないのにVIP席に通うほど、昔から大好きだったんです。そうしたら、たまたま近所に新日本キックボクシング協会代表の伊原信一さんの道場があることを知りまして。伊原さんと顔を合わせる機会も多くなり、「やってみませんか?」ということに。今は始めてまだ2か月なので、人にも見せびらかしたくてしょうがない。仕事場でも暇さえあれば、シュッシュッとシャドーをやっているので、みんなに迷惑がられています(笑)。道場には週に2回ほど通っていますが、仕事の合間に身体を動かすのはとても気持ちがいい。頭の中もリフレッシュできますね。

ヒミツ道具3 「ディスクユニオン」のショップバッグ

続いてさりげなく机の上に置かれたのは、CDショップ「ディスクユニオン」の買い物袋。音楽フリークの吉水さんらしい一品ですが、ところでこれを……何にお使いに?

吉水:これ、僕のカバンなんです(笑)。オフィスと自宅が近いので、出社するときはこの袋に荷物を入れています。10代の頃から、レコードやCDを買うショップは大抵ディスクユニオン。家にもこの袋がやたらあるので、自然と使い出しました。大きさもいろいろあって、使い勝手もいいんですよ。

ヒミツ道具4 ペンタブレット Intuos5

最後に紹介してもらったのは、最近買い替えたばかりのIntuos5。次ページの制作工程をご覧いただくとよく分かりますが、吉永さんの使い方は、他のクリエイターの方と少し違っています。吉水さんの絵は線画が基調ですが、ベースとなる線画はすべてボールペンによる手描き。ではペンタブレットはどういった場面で使っているのでしょう。

吉水:色づけの際に活躍しますね。もちろん直接ペンタブレットで色を塗っていくときもありますが、ほとんどの場合は、リアルな絵の具を塗りつけたパレットのスキャンデータを切り取って線画に貼り付け、ペンタブレットを使って細かい部分を切り取って線を合わせたり、手描き風に色をなじませたり汚しを入れたりしています。Intuos5になってさらに扱いやすくなりましたし、好きな描き味のペン先を選んで使えるのも便利なので、もっと使いこなして直接描いたりできるようにしたいですね。

既存概念を取り払うことで持ち得た絶妙なバランス

SwimmyDesignLabの作品の魅力のひとつは、アートディレクター兼メインデザイナーとして活躍する吉水さんの手描きイラストをデジタル処理することで生まれる、アナログとデジタルの融合感。それは作品においても、他企業のプロダクトを請け負う仕事の場合でも、同じです。手描きイラストの温かさと、キュートさとキャッチーさをスタイリッシュにブレンドしたSwimmyDesignLabの作品群。そこには、アナログの良さとデジタルの良さ、両方がシンプルに組み合わされた独自のセンスにあふれています。今回は海外企業からオーダーされた調味料のラベルデザインなどを一例に、作品作りの基本的なプロセスをご紹介いただきました。

作業工程1 自作のカラーパレットをスキャン

単色のベタ塗りで終わらない作品を仕上げるために、市販の紙パレットに各色のアクリル絵の具を塗り込めた、自作の色パレットを用意します。その自作の色パレットをスキャンし、データとして保存しておくことで、さまざまな用途に活用できるそうです。

吉水:僕が今使っている色パレットは、学生時代、アクリル画を描いていたときに、余った絵の具を塗りつけておいたものなんです。色パレットといっても、いくつか色をブレンドして濁していたり、大雑把にグラデーションをつけてあったりと、綺麗な色を残したというよりは、雑な殴り塗りですね。それがかえって、雰囲気のある塗りのタッチに繋がっているかな、と。このパレットを切り取ったデータは、どんなサイズの作品にも使えるように、かなり高解像度でスキャンしてあります。

作業工程2 手描きの線画をスキャン

「ヒミツ道具」のコーナーでもご紹介したように、吉水さんがデザインに使う絵は、オーダー内容によって新規に描き下ろすだけでなく、単体のモチーフとして日頃描き貯めているものから、コンセプトにマッチしたものをスキャンして使用することも多いとか。ポストカードはクリアファイルに綺麗にファイリングされていて、すべてを合わせるとファイル20冊分にもなるそうです。

吉水:僕の絵は、すべて下書きなしのフリーハンド。学生時代からこのスタイルです。これまでSwimmyDesignLabで手がけてきたデザインには、学生時代に描いていたモチーフもよく使っていますね。本当なら線画に直接着色した絵を取り込んでデザイン加工してもいいんですが、線画のみをデータ化しておいたほうが、複数のモチーフを組み合わせたり、イメージに合わせた絵も作りやすいですし、彩色やカラーバリエーション作りもラクになります。モチーフを組み合わせることで、決め込んで描いた構図からは生まれない、面白いデザインが閃くこともありますよね。

作業工程3 ペンタブレットで色づけ・修正

先ほどスキャンした線画にIntuos5を使い、PC上で色づけと修正を施します。色づけも作品によって作業はいろいろ。新規に塗り上げることもあれば、最初の行程でスキャンしたカラーパレットのデータを使って処理していくこともあります。スキャンした線画も、ペンタブレットを使って加筆、修正されます。

吉水:グラフィックツールはPhotoshopを使っています……、というより、それしかまともに使えないと言ったほうが正しいですね(笑)。絵に関しては基本、アナログな人間なので、PC周りはセッティングしてもらったままで使っています。絵の具パレットのスキャンデータはいくつかバリエーションがあるので、使いたい色の部分を切り取って線画に貼り込み、ブラッシングして風合いを出したり、他の色となじませたりといった作業を行います。

作業工程4 仕上げ・チェック

吉水さんが制作したデザイン原画は、自身のディレクションにより、他のスタッフが手がけるテキストデータの貼り込みや全体の彩色などのブラッシュアップ作業を経て、再び吉水さんの元へ。吉水さんのOKが出れば、作品は完成となります。

吉水:SwimmyDesignLabのメンバーは社内に僕を含めて4名、他にも事務所には常駐しない外部スタッフがいますが、それぞれ得意分野があるので、僕の手の回らないところはお任せしています。そのあたりは分業制で。僕はチームで物を作るのが好きなので、このやり方がベストですね。

吉水さんの作品に向かう姿勢には、若い頃から物作りを志向し、一直線にアートの道を目指してきたデザイナーにはない、独自のスタンスがあります。自らがもっともやりがいを感じるチームプレイ思考をもとに、ひとつの作品にだけこだわることなく、フレキシブルな発想でアートやエンターテイメント、そしてコマーシャルの境界線を自由に泳ぎ回る吉水さん。次はどんな試みで、私たちに魅力的な作品を届けてくれるのでしょう。SwimmyDesignLabのこれからが楽しみでしょうがありません。

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