日本薬科大学では学校のICT化を昨年度から段階的に進めていたこともあり、4月から全面オンラインで年間の授業計画通りにやることを決定。もちろん開講当初は教員側にも不安は多く、異論もあり、ICT化に抵抗を持つ先生もいる中での全面導入でした。
また、学生は4月から在宅での参加となり、大学生だけなぜ学校にいけないのかと悩む声も多くあったことも事実です。それゆえ大学としてもより質の高い授業をどうやったら提供できるかを考え、模索をした1年間となったそうです。
学生も書いて覚える
井上俊夫教授の授業は驚くほど書き込む量が多く、学生の側も真剣です。Microsoft PowerPointで作成され事前に配布されている資料には、学生自身が書き込むことが前提の箇所(穴あき)が多く準備されており、講師側が発信する形ではあるものの、インタラクティブに参加できる仕組みになっています。
当初は講師側の背後に簡易版のホワイトボードを用意して板書もしてみたそうですが、光の反射や環境要因などで見にくいという意見も多く、PowerPointへの直接の書き込みという形へ移行。しかしマウスしか手元になかったため文字を書くことは難しく、マーカーでハイライトする程度だったそうです。前期はどうにかこのスタイルで進み、夏休みに“書く”ツールを検討したところに、偶然液晶ペンタブレットを利用する機会を得ることになりました。
液晶ペンタブレットのメリットは?
全部で3画面を使用する井上教授の授業スタイルですが、直接書き込む液晶ペンタブレットにはPowerPointのスライドショー画面を映し、向かって左側のモニターには資料にはない重要なポイントを記したPowerPointのノートを表示して、解説を交えながら授業を進めていきます。右側のモニターには授業に必要な資料や薬の添付文書などを準備して、必要に応じて発表画面(液晶ペンタブレットの画面)にウインドウを移動して見せるという形をとっています。
また、PowerPointの資料には何枚か真っ白なスライドを用意しておき、黒板に書くようにそのページいっぱいに授業内容を書き込んでいきます。 画面に直接書くことのできる液晶ペンタブレットには大量の文字書き、図式なども簡単に書き込めます。当初は大きすぎるかなと思ったというWacom Cintiq 16の画面も、黒板の代わりと考えるとある程度の大きさがあった方が使い勝手が良く、紙に書いているような感覚で書き込めることに加え、パームリジェクション機能により手を画面についた際に誤作動が起きないことも液晶ペンタブレットの利点の一つだそうです。
授業後の振り返りにも
オンライン授業は動画で保存、講義ごとに準備されたMicrosoft Streamにアーカイブとして残し、資料とともに受講している学生に共有されます。また、オンラインでのテストなども実施しており、より理解度の深い授業内容となったことはオンライン授業の利点ともいえます。
とはいえ、薬理学に実験や実習は必須。実際に投与した場合にどのような効果が現れるのかを知ることや、生物に投入するという倫理観の醸成も必須とのこと。来年度については、講義はオンラインで、実験などはリアルでなどのハイブリッド型の授業スタイルも検討されているそうですが、黒板やホワイトボードと同じように直接書き込める液晶ペンタブレットを使ったオンライン授業との組み合わせは、より深い知識や理解を醸成する可能性を持ち合わせていそうです。
井上俊夫教授の授業風景<クリックするとYouTubeでご覧いただけます>
オンライン授業での液晶ペンタブレット活用事例
学校法人都築学園 日本薬科大学 薬学部薬学科 生命医療分野
薬学博士 井上俊夫教授
インタビュー日:2020年12月3日
利用機器:パソコン自作、ペンタブレット:Wacom Cintiq 16
配信ツール:Microsoft Teams、資料:Microsoft PowerPoint、PDF
広々した液晶で細かい文字も書きやすい液晶ペンタブレットWacom Cintiq 16
プロラインと同じストロークを高精度に再現できるWacom Pro Pen 2を採用しながらも、機能を最小限に抑えたミドルクラスモデルの液晶ペンタブレットです。フルHD解像度のディスプレイは16と22の2サイズ展開で、文字をたくさん書いたり、絵を描き込むなど少し大きめな画面で行いたい場面におすすめのモデルです。
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