【議論の内容を活かせるように、わかりやすくグラフィカルに書くコツをつかむ】
議論や対話、講演等の情報を絵や図のグラフィックで可視化する「グラフィックレコーディング」。普段の仕事に活かしてみようと思い、実際に自分で書いてみたら、なかなかスムーズに書くことができない。そんな方のために、今回は株式会社グラグリッドの和田あずみさん(写真左)、名古屋友紀さんのお二人に「グラフィックレコーディングを身につけるコツ」を教えていただきました。
情報の「構造」や「関係性」を理解しながら書く。
もし「様々な人の意見が次々と飛び交う会議の場で、いきなり書くのはちょっと怖いな」と感じた人は、段階を踏んで練習していくといいと和田さんはアドバイスしてくれました。
「グラフィカルに記録したものを人に見せて話し合うための第一歩として、まずは『一人でノート』。対話のなかで出てくるいろいろな情報を理解するために書く練習をしましょう。そのためには、話をすべて書き出しても意味がない。目的に応じて、より積極的に理解するために、話を『構造化』して書いていく。たとえば、AとBにどういう因果関係があって、そこにどんな課題があるのか。そういうことを可視化することが、ビジネスの場で議論を進めるには大切なのです」
「構造化に慣れてきたら、入れやすいところに、人のアイコンとか何かしら絵を入れてみる。必ず入れる必要はないんですけど、あったほうが楽しいし、絵って情報量も入れやすいんです。このようなステップを踏んで、相手の話を聞いて理解し要約し、書くことに慣れてくると、参加者が話していることのずれや、共通点、必要な問いかけが『見えてくる』瞬間があります。そうしたときに、ぜひノートを他の参加者に見せて、指さしながら問いかけてください。きっととても喜ばれるはずです。そうすることで、みんなの前で書くということに対して自信がついてくると思います」
テンプレートを使うと、考えるスピードが上がる。
株式会社グラグリッドでは、グラフィックレコーディングを行ううえで便利なテンプレートをつくっています。何もない真っ白な状態から始めるより、テンプレートがあると情報を構造化しやすく、また書く人のアイデアも触発され、考えるスピードや伝えるスピードも自然と速くなっていくそうです。テンプレートを使ったグラフィックレコーディングのやり方を名古屋さんに教えていただきました。
「主題(話の焦点がわかる問い)」と「結論」を、必ず書く。
テンプレートを使ってグラフィックレコーディングを行うときに気をつけたいのは、必ず主題と結論を書くこと。議論の内容を書くことにばかり集中して、主題と結論を書かない人が多いそうです。
「主題と結論がないと、何について書かれたものなのか、ひと目でわからないし、見た人にも伝わりません。まず主題を書くときは漠然と『~について』と書くのではなく、何に焦点をあてた話なのかがわかるよう、例えば『会議の活性化にグラフィックレコーディングをどう活用すべきか?』というように問いの形で書くといいと思います。また結論を書こうと意識すると、聞くことに対する集中力が自然と高まるという効果もあります。話されていることの内容が理解できていなければ、結論は書けないですからね」と和田さん。
書いたものを「保存」して、考えるときのヒントに。
Bambooスマートパッドには手書きのメモをそのままデータとして保存できる機能がありますが、この機能はグラフィックレコーディングを練習したり、仕事を効率化するのに役立つと名古屋さんは感じたそうです。
「最初はテンプレートを使っていても、慣れてくるとグラフィカルに書くことの楽しさがわかって、その人ならではの構造化の形がいろいろできてくると思います。それをスマホに保存しておけば、書くのにとまどったときに見返して参考にすることができます。また、同僚やクライアントに対しても、『過去にこういうことを議論
したケースがあった』とすぐに見せることができて、データで持っておけるというのは便利だと思います」
次回は「実践編」。Bambooスマートパッドを使ったグラフィックレコーディングの活用を提案します。
※第1回「入門編」はこちら。
企業の課題解決のためのプロジェクトをプランニングから実施まで担う「プロジェクトファシリテーション事業」や、会議・イベント・ワークショップなどで議論を活性化させるために、絵や図を効果的に使った記録を行う「グラフィックレコーディング事業」などを展開。