ラフ
この記事を公開する2月イベントをテーマに、節分から「鬼の子」を、バレンタインから「好意と贈り物」を組み合わせました。
私達から、鬼の女の子に、豆をぶつけるのではなく、贈り物をして、心暖かく喜んでもらいたいなと描きはじめました。
構図も複数枚描いて雰囲気を検討します。
鬼のキャラクターだと、人間と堂々と正面向きで話すことは苦手かなと思いましたので、すこし距離があるような、背中を向けたポーズを選びました。
甘い桃色は「好き、嬉しさ」の雰囲気を伝えやすいので、この色をメインに使って配色のイメージもラフ段階で描き込んでおきます。
配色~下塗り
私は線画を作る前に配色を行うので、ラフの線を整理して、色を塗りはじめます。
ラフの色だと落ち着き過ぎるよう見えたので、恋華やぐ心のような、鮮やかな色へ塗り直しました。
透明感が出て、よりきれいな色に感じられるように、髪裏に太陽光の黄色をのせ、透けさせました。
少女の塗り
ラフと比べて違和感がする部分がぼんやりわかる程度に目が落ち着くよう数日をおいて、線と塗りに入ります。
絵を見直して、形が定まったパーツから線を引いていきます。
ラフのどの線を選んで描けばよいか迷ってしまうので、線は塗りの後で描きます。
「ラフを清書したらイメージと違う」
「完成直後はよかったけれど、数日後に見たらいまいち」
と、後から描き直すことが多いので、線画(かたち)は後から描くスタイルに落ち着きました。
「色や影を塗った状態」のほうが形がわかりやすく、線を引く時に迷いにくいです。
髪量が多すぎて、頭全体が大きく感じたり、ふくらんだように見えたので、頭頂部の髪を減らして、しっとりとしたまとまり感を出しました。
今の状態からそのまま頬の赤みを足しても、表情に照れた感じが出ない気がしたので、目を細めるように描き直しました。また、両目が離れているように感じたので、筆で塗る以外に、[投げ縄選択→変形]を使いつつ、位置を中心に寄せて顔立ちを整えます。
ラフからの変更点
キャラクターの「嬉しい」という感情の雰囲気を伝えやすくするために、手紙の枝を胸へ抱きしめるポーズへ描き直しました。
背景
ガウスフィルターやエアブラシを使い、背景を描いていきます。
まず雪の影を描きます。
温かい雰囲気を出すために、水色を光と影の境目に入れつつ、雪下の葉色は茶色を選びました。
少女にのみ意識が向いているイメージにしたいので、背景に焦点があわないよう、木の枝や花とわかる程度に強力にぼかしをかけました。
全体の陰影
明るい背景との差をつけ、よりはっきり明暗の印象を覚えやすいようにします。
木陰の中に立っているので、全体的に暗くなるように、少女に赤い乗算レイヤーを乗せ、暗くしました。
木漏れ日の光を、発光レイヤーに黄色のエアブラシで点々と描きます。
乗算レイヤーや、発光レイヤーの透明度に迷った時は、明暗のみを見比べるために、グレー表示で確認をするとわかりやすくなります。
半透明な物の影の色について
手を太陽に透かして赤い血色を見たり、黒髪が太陽に透けると明るく茶色に見えるように、
陰影も黒やグレー系で暗さを表現するのではなく、陰の中にピンクの髪なら赤など、その物の色を濃く鮮やかにした色の光があると、より美しく透明な表現ができるようになります。
肌や髪など、半透明なものが光に透けて見える色は、彩度が高く目に映ります。
今回の絵では、髪裏や背中に特に鮮やかな色を加えて透明な表現をするために、赤色のオーバーレイをかけます。
線にも彩度の高い赤をほんのり加えます。
透けて鮮やかに見えるイメージで、柔らかい雰囲気に寄せました。
少女へ彩度の高い赤を乗算することで、暗い影の中でも、鮮やかで柔らかな透明感のある影にしてみました。
肌や髪は半透明を意識して描くと、たくさんある色の中から、より絵に合う美しい色を見つけられると思います。
ベール
レースの網目を、中の髪が見えにくくなるまで、密に描くのは大変です。
なので「見えにくい」状態をぼかしレイヤーで表現しました。
レイヤーメニューの[表示レイヤーのコピーを結合]でベールに隠れる部分を複製し、ガウスぼかしをかけます。
発光レイヤーに黄色の光を描き、ベールのしわや立体感を表現しました。
大まかに薄い布の雰囲気を作ったあとに、白い線でレースの網目を描き、見ていて楽しくなるよう絵の密度をあげました。
仕上げ
レースから漏れた光や、輝く毛、白い息など、細かな部分を加筆します。
Photoshopでノイズを3%かけ、少しきらめいて見えるような質感を加えました。
完成
最後に、画面ごしの私達から「好き」の手紙を贈るイメージで、鬼の子の嬉し涙を描きました。
雪下に耐えてきた花をイメージし、白いベールをかぶせたキャラクターの完成です。