イラストテクニック第159回/sho
第159回は、shoさんの登場です!SAIを使ったイラスト作成過程を紹介します。
sho
青色大好きなイラストレーターです。普段はソーシャルゲーム、カードゲーム等のお仕事をメインでやらせていただいています。
pixiv
各項目のサムネイルをクリックすると、制作画面のスクリーンショットか、拡大画像を見ることができます。
1 ラフ

ラフ時点でなるべく具体的に色や光源のイメージも決めておきます。
また、後で使うので線画と色はレイヤーを分けてラフを作成します。
最初の段階でのイメージの具体性は最終的な完成度に直結するので、できる限り曖昧な部分は残さないようにします。
今回は夏の季節感という意味で、「寒そう」ではなく「涼やか」な雰囲気を目指して光源や配色を選びました。冬をイメージするときは同じ寒色でももっと彩度の低いグレー系を使うのですが、ピンク系や青でも彩度の高い青を使うことでトロピカルな雰囲気を少しでも演出できればと思います。
また、キャラクターをファンタジックなデザインにしたので、サブテーマとして「錬金術師の女の子が森の中の隠れ工房にいる」のように、ざっくりとした舞台設定をイメージしています。
(ただ、この設定を前面に出しすぎると前述の涼やかなイメージと方向が変わってしまうのであくまで添え物程度のイメージです)

下塗りが終わったら、ラフの状態の色だけを、一度全ての塗り分けたパーツのレイヤーにコピーして重ねます。
こうしておくと、一度全体のパーツに対して同時に陰影をつけた状態の物が残るので、
個別にパーツを塗る際の影色などを選ぶときに迷いが少なくなり、全体の明度バランスが崩れにくくなります。
4 顔

まず顔周りから色を塗っていきます。
色を塗るときはできる限りパーツごとに塗り終えてから、そこから近くのパーツを順に塗るようにします。
そのほうが全体の色のバランスが崩れにくくなります。
また、作業するときは自分のイラストを左右反転したものと、引きとアップにしたものを横に表示しておいて、常に全体のバランスを確認しながら塗り進めていきます。

いったん顔の影をざっくりと塗ったら、頬の紅と白目を入れて瞳を描き込んでいきます。
キャラクターイラストは顔と髪の毛でぱっと見たときの完成度の印象が決まるので、
この作業工程から髪の毛の彩色までに全体の作業時間の半分ほどを当て、丁寧に作業をしていきます。

瞳の中の全体に光を入れていきます。
光はスクリーンレイヤーを使い、赤黄緑青の原色を使って入れています。
これらの光をいれることでガラス玉のような質感が出て、瞳を綺麗なきらきらした球体のように表現できます。

光を足していくなどして、さらに瞳を描き込んでいきます。
細かいところですが、まつ毛と瞳の際の部分に明るいラインを入れることで、まつ毛が瞳の上に来ている立体感が出て、より説得力のある瞳の表現ができると思います。

一度目の周りの部分だけレイヤーをコピーして統合した物を作り、ぼかしフィルターを使ってひとみにぼかしを入れます。
黒目と白目の境界あたりにぼかしを入れることで瞳が少し揺れた感じになり、綺麗な瞳の表現ができます。

瞳だけ塗り込んでいるため瞳周辺との塗り込み具合のバランスの悪さが気になってきたので、このあたりで瞼の影なども塗り込んでいきます。
こうして常に周りのパーツとのバランスを見ながら、一度大体塗り終わったと思ったパーツであっても必要とあればその都度調整を重ねていきます。
5 髪

髪を塗り始める前に全体のバランスが気になったので、背景の色を変えたり影を置く場所を調整します。
常に全体の引きの画像を表示していると一部のパーツを描き込んだことによるバランスの崩れや違和感がわかりやすくなるので、気付いた時点で納得いくまで調整しています。
6 全身

顔以外のパーツを塗り始めます。
この時は髪飾りを後回しにしていますが、基本的には上から順に顔に近いところから塗っていきます。
背景の色に対してキャラが浮いている気がしたのでついでに色を直しています。

当初のイメージにあった、逆光と右からの木洩れ日の光を入れていきます。
光と影はできる限りコントラストが強いほうが絵としてみたとき全体の締まりがよくなるため、「やりすぎかな?」と思うぐらいに光と影はざっくり入れたほうが良いです。