- 坂本
- Cintiqシリーズの使用にあたって、redjuiceさんがもっとも重視しているはどのようなことでしょう?
- redjuice
- 僕自身は、やはり長時間疲れることなく画面に集中できるかどうかが一番のポイントですね。描き味、液晶画面の温度、ガラスの厚さ、ファンクションキーなどの使い勝手……。描くための“ウェポン”であると同時に、身体にずっと触れている“友人”でもあるわけなので。
- 坂本
- やはりそうなんですね。その部分は、われわれとしても出来る限りの配慮と努力をしているつもりです。
- redjuice
- よくわかります。僕もプロになってみてわかったのですが、本当にちょっとした改良や違いに、とても敏感になるんですよ。24インチの液晶ペンタブレットCintiq 24HDが出たときに、それまでよりガラスが0.3mm単位で薄くなったと聞いて、ものすごく嬉しかったですから。また、先日13インチのCintiq 13HDを使ってみたときにも、そのガラスの薄さに驚かされました。
- 坂本
- 確かにガラス部分は0.01mmレベルでいろいろと細かく奮闘・調整しているんですが……。やっぱり厚さには敏感でいらっしゃるんですね。
- redjuice
- ええ、もちろん。やはり筆先と絵との距離になりますから。
- 坂本
- われわれ開発陣としても、ギリギリのところを目指して日々切磋琢磨しているわけですが、やっぱりそういう努力は伝わるんですね。嬉しいです。でも同時に、より一層努力しなければならないな、と、背筋が伸びる感じがします。
- redjuice
- 絵描きの側としては、どうすれば長時間負担なく描き続けられるかを考えて、キーボードの配置、ファンクションキーの設定内容、Cintiq 自体を机にどう配置するか等も含めて、いろいろと独自の使い方を編み出しています。ワコムの開発の方々には、より一層、プロの立場をご理解いただけると嬉しいです。
- 坂本
- もちろんです。負けられませんよね。力を尽くそうと思います。
- 坂本
- redjuiceさんは、ネットに触発されて描くことに熱中するようになったということでしたが、その部分についてはどう思われますか?
- redjuice
- 僕自身が、デジタル技術とインターネット世代の絵描きだということは強く意識しています。そして僕が自分の絵を確立するうえにおいて、ネットの即応性がとても大きかったと思います。
- 坂本
- というのは?
- redjuice
- ネット以前、アナログの時代には、自分の描いた絵を多くの人に見てもらおうと思った場合、イラスト専門誌に投稿するのが基本ルートでしたよね。でも絵を描くことにも時間が掛かるし、現物を送って、掲載されるかどうかがわかるまでにも時間がかかる。掲載されないこともあったでしょうし(笑)。
- 坂本
- 実は私も昔は絵を描いて、イラスト誌とかマンガ誌に投稿していました(笑)。
- redjuice
- あ、そうだったんですね(笑)。今では、デジタル上で絵を描いて、それを例えば“pixiv”に絵を投稿すればすぐに数万人、多いときには数十万人に自分の絵を見てもらうことができる。雑誌投稿の時代と比べると、今はレスポンスのスピードもスケールも桁違いだと思うんです。すぐに反応があるし、その中からコミュニケーションも生まれるし、意見をもらうことで絵も変わってきたりする。鍛えられるわけですね。これは革命的なことだと思うんです。
- 坂本
- そのような文化の中から、プロの絵描きとしてのredjuiceさんも誕生された。
- redjuice
- 本当にそうです。そして、たとえばCintiq Companionのような製品が発売されたことでいつでもどこでも絵を描くことができるようになったことも大きいと思います。アトリエをどこにでも持ち運べるようになったわけですから。本当にワコムのペンタブレットとインターネットの存在は、絵描きの世界を根本的に変えたと思いますね。僕自身も変わりましたから。今後、この文化の中から、さらなる才能が出てくるんじゃないでしょうか。
- 坂本
- redjuiceさんは今後はどのように?
- redjuice
- 活動の幅は拡げたいと思いますが、やはりずっと何かを描き続けていると思います。一日24時間はちょっと辛いですけれど……(笑)。
- 坂本
- (笑)われわれも、redjuiceさんのようなプロの要求に耐えうる製品開発に邁進したいと思います。
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