<株式会社スタジオコロリド>
一貫してデジタル作画を推進する新進気鋭のアニメーション制作スタジオ、スタジオコロリド。『陽なたのアオシグレ』や長編劇場作品『ペンギン・ハイウェイ』など革新的なクリエイティブを生み出すスタジオの最新作、『泣きたい私は猫をかぶる』が2020年6月18日、Netflixにて全世界独占同時配信されます。今回は本作の美術、作画監督を務められた永江彰浩さんと原画を担当された篠田貴巨さんにペンタブレットの使用感や作品についてお伺いしました。
使用している製品
- Wacom Cintiq Pro 24
- Cintiq 13HD
インタビュー
Q1. 製品の利用方法や使用感はいかがですか?
篠田さん:今はCintiq 13HDとTVPaintを使って作画していますが、少しだけWacom Cintiq 16になった時がありました。画面サイズが大きくなったのですが、解像度が少し気になり、結局Cintiq 13HDを使うことにしました。ただ、Wacom Cintiq 16で使ったWacom Pro Pen 2は筆圧の感知がとても良かったです。鉛筆で描くように薄い線を引いた後に強い線を引いて…、みたいな動きがすべて表現できるのはとてもうれしかったです。
永江さん:Wacom Cintiq Pro 24を使っているのですが、板タブと液タブは絶対的に違うと思います。板型のペンタブレットの時は、目の前の画面にあるものをいじりながら、感覚的に“絵を作っている”感じがありましたが、液タブになると“絵を描いている”という感覚に近くなってきた気がします。解像度が高くなったことや、画面の熱さが抑えられていたり、液晶のガラス面が薄くなってきていることもあり、より“描いている”感じに近くなっているように感じます。デジタルで描く、ということを洗練しながら構築していってくれている感覚でしょうか。いろんなストレスが排除されていってる気がしています。
Q2. ペンタブレットを導入するメリットはなんでしょう?
永江さん:前の会社では、全部紙での制作で、デジタルは自分で少しやるくらいでした。コロリドに来てからすべてデジタルで作ることになり、ソフトウェアの使い方は少し慣れが必要でしたが、作業そのものへの抵抗はありませんでした。最初は13インチのものを支給されていたのですが、小さいなと思っていたため、24インチになり、とても快適に感じています。Wacom Cintiq Pro 24は4Kで解像度が高く、多少拡大しても絵が全部表示できるので、全体図を把握しやすいところが気に入っています。紙だと実際に置いて描くので、画面の大きさや自分の立ち位置も変わらないので、いつも同じ視点から全体を見ることができますが、液タブを使うと拡大縮小で引いたり寄ったりしているうちに観測者の位置(視点)がずれてくる。個人的にこの問題は解消したかったので、広くて解像度が高い液晶ペンタブレットはとても役立っています。また、Wacom Pro Pen 2もちょうどいい感じです。重さがあるペンだとたくさん描くので疲れてしまうのですが、これは重さも太さもとても満足しています。
篠田さん:コロリドに入るまではアナログでの制作が多かったので、デジタルになると手が汚れないというのは利点ですね。あとはアニメーションだとプレビューがすぐできたり、Ctrl+Z(やりなおし)が効くので便利な道具だなと思います。
Q3. 作品の見て欲しいポイントはどこでしょう?
「泣きたい私は猫をかぶる」
永江さん:美術設定、作画監督として携わっております。特に美術では、舞台となる常滑を実際にロケハンしてきたので、その空気感や土地の雰囲気を出すことを意識しています。猫の世界については、海に浮いている大きな木のイメージを監督の柴山さんから頂いておりましたので、それを基にデザインしていきました。この作品は現実社会のお話がメインなので、いくらファンタジーとはいえ猫の世界が突飛すぎるデザインにならないように注意しました。また、猫の性質上、手すりや安全柵などは描かないようにしています。階段が抜けていたり、わざと危険な場所を作っています。猫はそのほうが喜ぶと思ったからです。さらに、上下の移動を増やすために、巨大な根っこに寄生生活している設定で描き進めました。巨大なキャットタワーのような感覚です。
篠田さん:自分が原画を担当して、永江さんに作画監督を担当してもらったシーンで、日之出君がムゲを探して雨に打たれるシーンがあるのですが、あまり動きがない中、日之出君の気持ちも少しずつ変化していく気持ちをどう表現するか、表情を考えたりしながら試行錯誤し一歩気持ちを入れたシーンになったと思っています。他にも山田奈月さんが原画として担当していた、ムゲが日之出君に手紙を渡そうとする一連のシーンもムゲと日之出君だけでなくその周りのキャラクターたちの表情や目線の変化、さまざまな所作がそのキャラクターらしさを表現しています。主人公以外のキャラクターの細かな表情や所作から感じられる、絡み合い、人間関係も見どころの一つかなと思います。
永江さん:猫世界に迷い込むときに輪郭をわざとぼやかす特殊工程を踏んでいるシーンがあるのですが、コロリドは監督がすぐ後ろに座っているなど物理的にも距離感が近いというのもあり、自分で提案したり、仕上げまで担当するのが新人だったり、普通のアニメーション会社ではなかなかない作り方をしています。こうしたやりとりそのものがそのまま画面に出ていたり、目線が近い者同士でやるからこそできるチャレンジなシーンもあります。そういうシーンも含めて、見てもらえればうれしいです。また、背景美術についても、精緻に描き込まれた素晴らしいものがたくさんあります。Netflixで見られるのでじっくり楽しんでもらえればうれしいですね。
お二人:キャラクターへの共感性が高いところも魅力の一つです。ぜひ気持ちを楽にして不思議な体験をすることや、キャラクターたちの本当の想いなど、純粋に楽しんで、ちょっとでも前向きになってもらえたらうれしいです。
「泣きたい私は猫をかぶる」
Netflixにて6月18日(木)より全世界独占配信決定
●出演:志田未来 花江夏樹
小木博明 山寺宏一
●監督:佐藤順一・柴山智隆 脚本:岡田麿里
●主題歌:「花に亡霊」ヨルシカ(ユニバーサルJ)
●企画:ツインエンジン
●制作:スタジオコロリド
●製作:「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会
●公式サイト:nakineko-movie.com
●SNS
Twitter:@nakineko_movie
Instagram:@nakineko_movie
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