世の中にいろんなおしごとがあるなかで、具体的な職業はまだわからないけれど「とにかくクリエイティブなことがしたい!」「なにかデジタル制作に関わることをやってみたい!」と夢を抱いている方も多いはず。
この「デジタルペンのおしごと図鑑」では、ワコムのペンタブレットを使っておしごとをしている方にインタビュー!
第4回はプリントサービスの徳川印刷、アトリエマツダイラにて、プリントする、プリントを作るお仕事についてご紹介いただきます!
徳川印刷&アトリエマツダイラ
松平 光弘さん
徳川印刷は、写真家・画家・イラストレーターのためのオンラインプリントサービスです。最新鋭のインクジェットプリンタで、高品質のジークレープリントを出力するサービスを東京・清澄白河で行っています。国内外のギャラリーや美術館に展示される作品のプリントや、文化財の複製までたくさんの印刷を行っています。その中での松平さんのおしごととは?
おしごと内容を教えてください
こちらでは、大きく2つのサービスを展開しています。徳川印刷の方は、お客様がご用意されたデジタルデータをプリントするサービスです。10種類以上の紙の種類、例えば長い歴史のあるドイツやフランスのメーカーの紙や、100%コットンの紙、もちろん日本の和紙なども取りそろえています。紙が違うと印刷の仕上がりもかなり違ってきますので、お客様のご要望に沿った紙に印刷していくサービスです。
もうひとつがアトリエマツダイラのサービスです。こちらも印刷することに変わりないのですが、お客様であるクリエイターさんのご要望をヒアリングしながら作品として出力するための調整を施し、作りあげていくようなプリントサービスです。こちらでは、文化財の複製なども行っていて、国宝の複製などを作ることもあります。
デジタルペンを使うおしごとを教えてください
Adobe Photoshopを使って写真のデータを明るくしたり暗くしたりなどの陰影をつけたり、色の微調整をしたりするレタッチという作業があります。その作業の際にペンタブレットを使っています。
アトリエマツダイラの方は主にレタッチを経たプリントを行っており、写真家の方がお客様に多いです。写真って、実は撮りっぱなしで仕上がることはなかなかないんです。作家さんが表現したい方向性のお話をたくさんお伺いし、作家さんの意思をくみ取り、私たちのようなプリントを作る人間が、レタッチで調整をつけることで、写真の本質がもっと引き出され、一段も二段も良くなることが多いです。
そのほか、文化財の絵画の複製なども行っています。こちらは原本(元の絵)をまずカメラで何分割かで撮り、Adobe Photoshop上でつなぎ合わせ、現物にかなり近づけた色でプリントを再現します。絵画の複製みたいにデジタルを経由してプリントするのですが、そんなに簡単に複製できないんです。撮影するところから色管理もしてますし、レタッチして調整しているのに、なかなか思い通りにならなくて…。最終的には人の目で微調整していく必要があるんです。
デジタルっていうと無味乾燥な感じがするんですが、そんなこと全くなくて、最終的には人間が微調整しなくちゃいけないアナログな仕事でもあります。 デジタルと聞くと自動化とか単純化とか簡単にするフローのため、みたいに思われるのですが、デジタルになって良かったことは、作品1点に時間と愛情をかけられるようになったんですよね。しかも細かい部分まで何度もやり直しができるという良さもありますね。
利用している機材を教えてください
Wacom Intuos Pro LargeサイズとAdobe Photoshopを利用しています。最初に使い始めたのは、イギリスの会社に勤めている時で、ある1人の同僚がAdobe Photoshopを使ってインクジェットプリンタでプリントを作っていたんです。やっているのを見ていて、いいな、面白そうだなと思ったのがきっかけでした。いずれデジタルに置き換わっていくというのが、自分の中で少し見えてきたのもあり、デジタルをやってみようと見様見真似でやり始めたんです。
作業をデジタル化したのは2003年くらいからかな…。最初、(ペンタブレットを使ったときに)なんて使いにくいものなんだろう(苦笑)、でも、プロの方が使ってるんだから、絶対使いやすいはずだ! と思って数日訓練したんです。そしたらもう手放せなくなりました。そのころはIntuos3のSmallサイズかな…をカバンに入れて持ち運ぶくらい、それ以降手放せなくなりました。 今、東京工芸大学芸術学部の写真学科でも教えているんですが、学生に先に言うんですよ、2、3日我慢してペンタブレットを使ってみろと。で2、3日我慢したら手放せなくなると。逆にそっちに気をつけろと言ってるくらいです、買わなきゃいけなくなるから。笑
これからクリエイターを目指す人たちへのメッセージ
クリエイティブの仕事って、例えば写真を撮ったり、イラストを描くっていうことだけじゃないと思うんですよ。僕らの仕事もただプリントしているだけじゃなくて、作家に想いを寄せたり、その作品を理解するっていうことをしっかりできないと良いプリントって出来ないんです。技術だけでなくて、その感性もすごく大切なんで、そういった意味ではぼくらの仕事もものすごくクリエイティブだと思っています。だからその何かを生み出すだけじゃないぞと。
写真だったら写真、イラストだったらイラストなど、その周辺にあるお仕事とか、関わってる人々、そうした人とたくさん触れ合うことで、自分がやりたいこととか興味があること、ワクワクすることが見つかると思うんですよね。後はもうそれに従って生きればいいというか。楽しかったらやっぱり学びますし、覚えようと思うから。だから探す、そこに出会うっていう努力をされるともっといいかなと思いますね。
会社情報
- https://www.tokugawa.matsudaira.co.jp/
- インタビュー日:2023年2月7日
- ペンタブレット:Wacom Intuos Pro Large、One by Wacom、Intuos5、Wacom Cintiq Pro 27
- 使用ソフト:Adobe Photoshop
Wacom Intuos Pro Large
表現力、操作性、全てが進化したWacom Intuos Pro。スマートな新デザインのタブレットとクリエイターのひらめきを直感的に表現する進化したWacom Pro Pen 2を搭載。これまでにない自然なクリエイティブを実現します。