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イラストレーター
しらび

『りゅうおうのおしごと!』『無彩限のファントム・ワールド』等のイラストで知られるイラストレーターしらびさんによる「Wacom Cintiq Pro 24」を使ったライブペインティングを公開!(2020年10月22日撮影)

Drawing with Wacom 112/ しらび インタビュー

しらびさんのペンタブレット・ヒストリー

GA文庫『りゅうおうのおしごと!』13巻表紙イラスト(2020)
©白鳥士郎/SBクリエイティブ

――しらびさんがデジタルで絵を描かれるようになったのはいつ頃ですか?
美術系の大学で油絵を描いていたんですけれど、2007年頃に知人が書いていた小説にイラストを描いて欲しいと誘われて、紙に描いたイラストに兄のPCに入っていたAdobe Photoshopで色を塗ってみたのが初めてデジタルを使った絵ですね。ぜんぜん上手く描けなくて、みんなどう描いているのか調べてみたところ、ペンタブレットというものがあると知って。それでFAVO(CTE-640)を買って、当時出たばかりのSAIのβ版を使ってデジタルでカラーイラストを描き始めました。

――そこからのペンタブレット使用歴はどのような感じですか。
そこからBambooを使うようになって、2010年頃に絵の仕事をもらえるようになってからもしばらくはBambooで描いていましたね。ある程度、絵で稼げるようになってからIntuos4のSmallサイズを使い始めて、現在に至ります。実は一度、Intuos Proに買い替えたんですけれど、どうしても手になじんだIntuos4の形がしっくりくるので、またIntuos4を入手したんです。FAVO、Bamboo、Intuos4と小さめサイズのペンタブレットでデジタルに慣れてきたので、なかなか描き方のスタイルが変えられませんね……。

――現在の作業環境がどのようなものか教えてください。
BTOで買ったPCを10年くらい使い続けてきたんですけれど、Windows7のサポート終了のタイミングでPCに詳しい絵描きの友人に手伝ってもらいながら自作PCを組みました。ディスプレイはメインがEIZOの24インチ、サブに27インチのデュアルモニターで、絵を描くときはメインにSAIの画面を、サブには資料画像を写したり、配信用のOBSを立ち上げたりしています。ペンタブレットは24インチの画面にマッピングして作画に関係する作業はメインディスプレイ内だけで完結させています。ペンはクラシックペンにハードフェルト芯です。

――今回、初めてWacom Cintiq Pro 24を使ってイラストを描いてみた感想はいかがでしたか?
まず、大きいなと感じました。以前、少しだけCintiq 13HDを使ってみたことがあるんですけれど、サイズ的にIntuosと変わらないのと、UIが手に隠れてしまうのに馴染めなくて……仕事も続いていたので作業スタイルを変える暇もなくてずっと小さいIntuosのままでやってきてしまいました。Wacom Cintiq Pro 24は画面も見やすくて、描き心地もサラサラしてよかったと思います。SAIが4Kに対応していないので画面解像度を落として使わせてもらったんですけれど、本来はもっと高精細なんですよね。いつもSAIのナビゲータ―でキャンバスを回転させながら描いていますが、画面が大きいぶんナビゲーターまで遠くなったので今回はあまり回転させずに描き切りました。Wacom Cintiq Pro 24はトータルでは思っていた以上に描きやすかったので、今からデジタルで描き始めるなら液晶ペンタブレットのほうがいいと思います。ずっと敬遠していてごめんなさい(笑)。

し ら び さ ん の 作 業 環 境

自作PC(Intel Core i7/RAM32GB)にEIZOの24インチディスプレイColor Edge CS2420と27インチディスプレイColor Edge CS2731を繋いでデュアルモニター化。
ペンタブレットはIntuos4 Small(PTK-440)を愛用、作画ツールはSAIをメインに使っている。
ブラシサイズの変更はIntuos4のホイールを活用、ショートカットはあまり使わず、SAIのナビゲーターでキャンバスを回転させながら描いているとのこと。

しらびさんのクリエイティブ・スタイル

プライベートワーク(2019)
©しらび

――しらびさんが普段、イラストを描く時のワークフローを教えてください。
最初に漠然と描きたいテーマを決めて、SAIでラフを描き始めます。塗りながら気分で色を変えてしまうこともよくあるので、基本的にラフには色をつけていないことも多いです。ラフの時点で色を決めすぎると、ずっと同じように描いている事に作業感や飽きを感じることがあるため、最初に完成図を作りこまないようにしています。流れとしては大ラフから少し線を詰めたラフを描いて、それをクリンナップして線画にして、そこから線画のシルエットでベースになる塗りレイヤーを作り、その上にクリッピングしたレイヤーを作成して色を塗っていくという感じですね。

――実際に描いている様子を見ると、かなりレイヤー数が多いですね。
絵によって塗り方を変えることもありますが、塗分けをした上からどんどんレイヤーを作って塗り重ねていくので、レイヤー分けはかなり細かいかもしれません。なるべくアンドゥで直したりしないで、修正したくなったら厚塗りに近い形で上から描き足していく感じなので、仕上げ段階で乗算やオーバーレイなどは使用しますが、線画以外のレイヤーの合成モードはだいたい通常のままになっています。

――線画は黒で描いた線に仕上げで色を乗せるのではなく、最初から少し色のついた線で描かれていますね。
SAIを使い続けている理由の一つでもあるんですけれど、線画のレイヤーには合成モード「明暗」を使っています。Adobe PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTだと「リニアライト」というモードにあたるのですが、「明暗」と同じ色味にはならなくて。線画が下に重ねた色に引っ張られる感じになってくれて、明るい色の上に明るめの線画を置くと発光して見えたりするので、他のツールに比べて鮮やかに線に色が乗せられるんです。暗い色の上に重ねるとより黒い線になるのも、「乗算」では出せない感じで、ライトノベルの挿絵をグレースケールで描く時にも線を引き立たせてくれたりします。

――今回描いていただいたイラストだと、最初は青系で塗っていた上着にピンクのグラデーションが乗って最終的に全く異なる色味になるのが面白いです。
今回描いたのはキャラクターだけでしたが、背景があるイラストの場合はアニメ塗り的に光源を意識した影の入り方を決めてしまってから、段階的に影を足していって最後にぼかしを入れてグラデーションぽく整えたりもします。色は、夕焼けの場面だったら最初から夕焼けっぽい色で塗るのではなく、既存のキャラクターであれば設定色のまま塗って、そこから色を調整していくやり方です。

GA文庫『りゅうおうのおしごと!』7巻表紙イラスト(2018)
©白鳥士郎/SBクリエイティブ

――髪の毛の部分も、部分によって青やピンクのハイライトが乗ることで独特の光沢感が出ているように感じます。
よく「虹色ハイライト」と言われていますが、ハイライト部分に色味を乗せるということをやっているうちに、同様に他の部分にも違う色が乗っていいんじゃないかと考えるようになったんです。「りゅうおうのおしごと!」の絵が顕著なんですけれど、黒髪のキャラクターでも毛先の方は明るい色に切り替えて塗ったりとか。カラーイラストで全部黒だと重い感じになるので抜け感を出したいと思って始めましたが、「髪の毛はこの色だから、同じ色でまとめないといけない」と思いたくないんです。こういう色が入っていたほうが目立つかな、くらいのイメージで色を乗せているので、確たる理由があるわけではないんですが、そういう部分で情報量を増やすことが塗りの特徴になっているのかもしれません。

――しらびさんはライトノベル作品でたくさんのキャラクターを描かれていますが、キャラクタ―をデザインする上でどのようなことを意識していますか?
絵を見ただけでそのキャラクター性格が伝わるようなデザインにすることは意識しますね。衣装のデザインだけではなく、このキャラクターはツンデレですみたいな言語化できる要素は、わかりやすく入れて外さないようにしています。現代ものの「りゅうおうのおしごと!」の場合は服装が普通すぎても目立たなくなってしまうので、半分コスプレに見えるくらいの意識で描きました。逆にファンタジーものの場合は、全部ファンタジーで読者が共感できる部分がないと、絵として伝わりにくくなってしまうので、現実にあるものをモチーフにして少しずつ変えていく感じでデザインしたりするんです。いずれにしろデザインした人の感情が表れるものなので、楽しんでキャラを描くことが一番大事ですね。こういう可愛さを目指したかったのかなとか、いろいろくみ取ってもらえると嬉しいです。

――今回、描いていただいたイラストのテーマを教えてください。
いまはコロナ禍でみんながマスクをしている生活ですが、マスクの下には笑顔だったり色々な表情が必ずあるから、そういう絵にしたいなと思って描きました。どういう手の見せ方をすればこのキャラクターに似合うかなとか、ポージングもいくつか考えたんですけれど、いつも「こういうポーズだったら可愛いな」と自分で思うものを描いているので、引き出しとして特にこれを参考資料にしていますというようなものは無いんですよね。

ワ ン ポ イ ン ト テ ク ニ ッ ク

髪の毛のハイライトや毛先で大胆に色を切り替えることで独特の光沢感と情報量を増している。
基本的な塗りの上に、仕上げ工程で乗せる色違いのオーバーレイとの相乗効果で、画面全体の雰囲気がガラッと変わる様子に注目。

※動画では
14:19(画面下側に赤)
17:50(キャラ全体に明るいピンク)
18:15(画面上から青)
あたりでそれぞれ異なる色のオーバーレイ効果を加える様子を見ることができます。

しらびさんのクリエイターズ・ヒストリー

GA文庫『りゅうおうのおしごと!』1巻表紙イラスト(2015)
©白鳥士郎/SBクリエイティブ

――しらびさんが本格的に絵を描くようになった経緯を教えてください。
中学の時に剣道部だったので高校でも剣道部に入っていたんですけれど、人数がとても少なく練習もあまりやる気がない部だったので、しばらくしたら退部してバイトを始めたりしていたんです。美術の授業で初めて触れた油絵に楽しさを感じていたのですが、2年時の夏休みの課題で美術館に行った際に昔の絵画を見ていたら感化されて、自分でも少し絵を描いてみたいと思いはじめて。その日偶然にも美術の先生が美術館に来ていて、そこで2学期から美術部に入りますと宣言してしまいました。でも、入部してみたら思っていたような美術部ではなく、イラストを描く人の集まりみたいな感じで、自分一人で机の上に置いたモチーフの木炭デッサンとかしていて(笑)。美術の先生に大学で美術系を目指すなら予備校に通ったほうがいいと勧められたのもあり、3年生になってから美術予備校に通いはじめたんですけれど、周りは中学生や高1くらいから美大を目標に勉強してきた上手い人ばかりで、高3から入ってきたのは自分くらいっだったりもして…下手くそな絵ばかり描いていたので講評の時は恥ずかしかったですね……。

――プロのイラストレーターを目指すようになったのはいつ頃ですか?
一浪して東京造形大学に入ることができたのですが、3年生の頃に家庭の事情で中退することにして。その前後に知人から自作の小説に絵をつけてくれないかと誘われたのを期に、イラストを描き始めました。それまで描いていたのは油絵でしたが、もともと黒星紅白さんやpakoさん、山本ヤマトさんみたいなライトノベルのイラストレーターは好きだったので、やるからには自分もライトノベルの絵を描けるようになってみたいと思ってがんばることにしたんです。最初はオリジナルの絵を描いてTINAMIやpixivで公開していたんですけれど、なかなか見てもらえなくて。意識して自分の好きな作品のキャラを描き始めたらだんだん反応がくるようになって、単行本ではないですがKADOKAWAの「ザ・スニーカー」という雑誌で連載小説の挿絵を描かせてもらったりしました。

KAエスマ文庫『無彩限のファントム・ワールド』3巻
表紙イラスト(2016)
©秦野宗一郎/京都アニメーション

――実際にお仕事でライトノベルのイラストを手掛けられるようになって、いかがでしたか。
2010年に『彼女を言い負かすのはたぶん無理』(うれま庄司/PHP出版)というシリーズのイラストを描かせてもらったのが初めてのライトノベルの依頼でした。これから編集部に持ち込みしたり、電撃文庫の賞に応募しようと思っていたところに仕事の依頼をもらって、さらにそのイラストを見た他のレーベルからも仕事が来るようになったので、ありがたいことにすぐ忙しくはなったんですけれど、色々な作品を描かせてもらってもなかなか続刊が続かなかったりして、これは簡単なものじゃないなと感じました。

――これまでのお仕事の中で、特に印象的だったものはありますか?
『Fate/Grand Order』でキャラクターを描かせてもらえたのは、名前を知ってもらう上で大きかったかなと思っています。それからTVアニメ化された『無彩限のファントム・ワールド』(著:秦野宗一郎/京都アニメーション)と、『りゅうおうのおしごと!』(著:白鳥士郎/SBクリエイティブ)の2作品でイラストを描かせてもらったことが自分にとって大きな転機だなと思いますね。

――『無彩限のファントム・ワールド』と『りゅうおうのおしごと!』のアニメから、しらびさんを知ったファンも多かったのでは。
『無彩限のファントム・ワールド』の依頼が来たときには、なんで自分に? と驚きました。なにしろあの京都アニメーションですし、KAエスマ文庫ではそれまで社外のイラストレーターが絵を描いていなかったんです。最初からアニメを意識していたかはわかりませんが、他の作品に比べて細かく設定を描いた気がします。『りゅうおうのおしごと!』はGA文庫の編集さんから白鳥士郎先生の新作のイラストをお願いしたいとメールをいただいて。巻を重ねるにつれて、どんどん作品の評価が上がり反響も大きくなっていったので、うれしかったですね。

電撃文庫『86 -エイティシックス-』1巻
表紙イラスト(2017)
安里アサト 著/株式会社KADOKAWA 刊
©Asato Asato 2017 / KADOKAWA CORPORATION

――『りゅうおうのおしごと!』は「このライトノベルがすごい!」(宝島社)のランキングで2017、2018年の作品部門2連覇、しらびさんもイラストレーター部門で2019年、2020年の1位になっています。
それまでの自分は、色々なライトノベルの絵を描いているけれどなかなか伸びないイラストレーターというイメージで、『無彩限のファントム・ワールド』や『りゅうおうのおしごと!』がなかったら自信を持てないまま中途半端にやり続けることになっていたと思います。この2作を通して自分の仕事に確信が持てなければ、アニメ化が発表されている『86-エイティシックス-』(著:安里アサト/KADOKAWA)のイラストを描かせてもらうこともなかったかもしれないですね。最近はYouTubeで作業配信をやっていることもありますが、作品を見た人から直接、感想をもらうことが増えてきて、これまで自分がやってきたことは間違っていなかったんだなと感じられるようになりました。

――これから先、ご自身でやってみたいと思っていることがあれば教えてください。
イラストを手掛けた作品のアニメ化は経験できたので、今度はオリジナルアニメーションのキャラクターデザインをするというのがひとつの目標ですね。今はネットを使って自分から発信することがやりやすい時代で、クリエイターが自分のオリジナルコンテンツを作って発表することも当たり前になっています。オリジナルコンテンツで売れているイラストレーターは、独自の世界観をずっと作り続けている人が多い印象があるんですが、自分はそういう創作をあまりやってこなかったので。描きたいものはちょこちょこあるのでどうやって形にすればいいのか考えているところです。

――最後に、しらびさんにとってペンタブレットとはどのような存在ですか?
世界からペンタブレットが無くなったら生きていけません(笑)。ペンタブレットが無くても絵は描けるかもしれないけれど、ある方が絶対にいい……。自分にとって生活をよりよいものにしてくれる大切なものですね。

取材日:2020年10月26日
インタビュー・構成:平岩真輔(Digitalpaint.jp)



画像をクリックすると今回制作した作品をご覧いただけます。

しらび
イラストレーター。2010年よりライトノベルのイラストを中心に活躍し、学園ものからSF、ファンタジーまで幅広い作品のイラストを手掛け、「このライトノベルがすごい!」(宝島社)のランキングでは2019年、2020年と2年連続でイラストレーター部門1位に選出されている。代表作となる『無彩限のファントム・ワールド』(KAエスマ文庫)、『りゅうおうのおしごと!』(GA文庫)はTVアニメ化もされ人気を博しているほか、2020年春には『86-エイティシックス-』(電撃文庫)のアニメ化が発表され、放送を控えている。

twitter:@shirabii
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