<株式会社グラフィニカ>
2009年に設立された総合デジタルスタジオ、グラフィニカ。アニメーション作品を中心に、様々な映像制作に対応できるスタジオです。特にアニメーションに関連する業務はほぼ全ての制作プロセス制作単位でカバーできるのが特徴の一つです。今回、上映間近の劇場オリジナルアニメーション『HELLO WORLD』で3DCGアニメを主体とした作品のデジタル作画のフローに迫り、その工程の一部を紹介できればと思います。
最近のデジタル作画は、その他に『プロメア/PROMARE』や『SSSS.GRIDMAN』など3DCGを多用した作品でその手腕を発揮しています。
今回は『HELLO WORLD』で動画検査を担当した宮田知子さんに制作フローの中でのペンタブレットの使用感含めお話を伺いました。
使用している製品
- Wacom Cintiq Pro 13、Wacom Intuos Proほか
インタビュー
Q1. 製品の利用方法や使用感はいかがですか?
今はWacom Cintiq Pro 13を使っています。元々紙でやっていた方が長いので、手元で線が見える液晶ペンタブレットで圧倒的に作業効率がよくなりました。特に筆圧コントロールでとても助けられています。均一な線がきっちり描けるのでそこまで力を必要とするわけではなく、鉛筆と比べると随分と楽になりました。Wacom Cintiq Pro 13はもう少し画面が大きいと嬉しいかなと思っています。
Q2. ペンタブレットを導入するメリットはなんでしょう?
デジタル移行は割と最近のことでした。一度撮影仕上げまでできているものに対して線抜けや原画との違いのチェック、監督の意図に合わせた直し、というのが主な仕事のため、量が多く間に合わないということと、ソフトの都合で画面が回せないなどあるため、現場で使いながら馴染んできた感じです。デジタルのいいところはやり直しが利くところと、とにかく拡大ができること。ただ、拡大しすぎて部分だけやり続けてしまったり、紙だと動きが抜けている箇所はわかるのですが、どうしてもデジタルだと動いている?と錯覚してしまうことがあるので、この点は気を付けて作業をしています。
Q3. 作品の見て欲しいポイントはどこでしょう?
『HELLO WORLD』
『HELLO WORLD』は少し未来の京都を舞台に、高校生の主人公・堅書直実が、自分の前に現れた未来の自分・カタガキナオミと協力し、ヒロイン・一行瑠璃が悲劇に見舞われる未来を変えようと奮闘するSF青春ラブストーリーで、世界がひっくり返る瞬間が散りばめられている作品です。作品は3DCGで描かれていますが、この世界が変わる劇的なシーンの多くは監督、アニメーション監督の演出で作画を入れ、より印象深いシーンに作り出されています。細かいところでいうと花瓶の花だったり、ドローン、ベッドのシーツなどまさか!というところは作画だったりしています。また、たくさんの人が描かれる場面もすべてが3DCGではなく何人かだけ作画で描いて変化をつけています。作画と3DCGが違和感なく入り込んでいる場面がちりばめられているため、ぜひそういうところも注目していただければです。
個人的には橋の上のエフェクトで、とても苦労しましたし、思い入れもあります。作画としては早めに出していたのですが、撮影がかなり後だったので出来上がってくるまでに時間がある分ドキドキしながら待っていました。実際に出来上がりを見て、しっかりと派手になっていたので一安心しました。完成された作品は、絵コンテを見てお話や展開もすべて知っていたにも関わらず、驚くシーンがたくさんあります。作画については普通に観ていたらわからないかもしれないくらいです。世界が変わる瞬間をぜひ楽しんで驚いて欲しいと思います。
『HELLO WORLD』
2019年9月20日(金)全国東宝系にて公開
© 2019「HELLO WORLD」製作委員会
使用している製品は「Wacom Cintiq Pro 13」!
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