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イラストテクニック第204回/いかり

第204回は、いかりさんの登場です!
SAI2を使ったイラスト作成過程を紹介します。

いかり 可愛い女の子と幻想的でキラキラした背景が好きなイラストレーターです。
Vtuberデザイン、ブラウザゲームのキャラクター制作などのお仕事をしています。
最近は3DCGを活用したイラストづくりを研究中です。


WEBサイト
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各項目のサムネイルをクリックすると、制作画面のスクリーンショットか、拡大画像を見ることができます。

ラフ

今回はペイントツール「SAI2」と3DCG ソフト「blender」を使ってイラストを描いていきます。
blenderでは3Dモデルを用いて背景のベースを制作し、SAI2で背景ベースへの描き込み・人物の制作を行います。

今回のテーマは5月に見ごろを迎える「ネモフィラ」です。
ネモフィラが飾られた部屋でくつろぐ女の子を俯瞰構図で切り取りました。
ネモフィラに合わせて家具は青色で統一し、アクセントとしてオレンジ色を人物に散りばめます。
ラフはおおまかな色が分かる程度に描きこみました。

線画

ラフのフォルダを不透明度15%に下げて薄くします。
キャンパスサイズ2000×2000pixelに対し、ブラシサイズ3.5の「エアブラシ」で線画を描いていきます。
SAI2でのエアブラシの設定は画像の通りです。

見栄えのある線画を描くポイントは、

①強弱をつける
②液だまりを作る

です。
パーツの輪郭部分を太くしたり、線と線が密着する部分を濃くしたりすることで線画から立体感を出すことができます。
均一な太さで線画を描いた後、それに付け加えるように太くする部分を描き足していくと楽に進められます。

線画は色ごとにレイヤー分けしておくと、最後に色トレスをするときに便利です。

これで人物の線画が完成です。

人物の塗り

次は着色を行います。
まず肌や髪の毛の下地を色分けします。
今回は肌、髪、服、ネモフィラの4種類に色分けしました。

着色には画像のような設定の鉛筆を使用します。
今回の着色は髪→肌→服→その他の順で行います。

まずは髪の毛の着色からです。
今回は光源を画面右に設定しているので、そこから光が当たっているように白で色を置きます。

画像右側は各工程のみを表示したもの、左側はそれぞれの工程を足していって下地でクリッピングマスクした、実際の作業時の見え方に近いものです。
また特に記載がない限り通常モードのレイヤー(不透明度100%)で制作します。

次に1段階目の影を置きます。
気持ち左側に多めに置くことで陰影の差を演出しやすいです。

2段階目の影を置きます。
髪の毛の重なっているところに置くことでぐっとメリハリが出てきました。

ハイライトを緩いカーブで配置します。
このとき左側からピンク色や黄色をアクセントとして入れることで、キャラクターが印象に残りやすくなります。

通常レイヤー 不透明度80%

光が当たっている箇所と顔周りに肌色のグラデーションを置きます。
より柔らかい印象になりました。

通常レイヤー 不透明度70%

最後に、適宜メリハリを出したい箇所に色を置いて、髪の毛の着色は完了です。

次は肌の着色です。
髪と同じく右側から光が当たっているように、白色を置いていきます。

次にベースの色より少し濃いくらいの色で、1段階目の色を置きます。

髪の毛やその他部位の落ち影になっている箇所に、オレンジ色~紫色で2段階目の色を置きます。

通常レイヤー 不透明度70%

最後に白色~薄ピンク色をサッと載せて肌の着色が完了です。

次は服の着色です。
こちらも光が当たっているように白色を置いていきます。

1段階目の影は画面左の個所は濃く、右の個所は黄色やピンクを載せて薄くしています。

通常レイヤー 不透明度50%

2段階目の影は左側に重点的に置いて、光と影のメリハリを印象付けていきます。

通常レイヤー 不透明度80%

グラデーションで情報量が多いと感じた手前部分の影を薄くし、全体を調整します。
これで服の着色が終わりました。

同様にネモフィラと目も着色します。

最後に線画の色をそれぞれの部位より若干暗い色に変更して、人物の完成です。

背景の制作(3D)

次は背景制作です。
大まかな背景はblenderで作っていきます。
blenderでまず初めに行うことはイラストとカメラのパースを合わせることです。

カメラに下絵をセットしてイラストと構図が合うように調整していきます。
このときアドオン(blenderの機能を拡張するツール、無料~有料まで様々)の1つである「Perspective Plotter」を使用すると便利です。
このように赤・青・緑のガイド線をイラストに合わせるだけでパースを一致させることができます。

パース合わせが終わったら次は使用する3Dモデルを制作します。
今回は画像のモデルを制作しました。
SAI2で描きこむ予定なので、そこまで細かく作り込まずに進めます。
ケーキやキャンディボックスはだいたいの形が分かる程度に留めておきます。

次は制作した3Dモデルをラフに合わせて配置していきます。
カメラでパースを合わせているので、適切に配置するだけでイラストと同じ構図が出来上がります。

配置が終わったらそれぞれの3Dモデルに色を追加していきます。
blenderでは「マテリアル」という素材を設定することで、影や光の色を自在に変更することができます。
マテリアルは「ノード」と呼ばれるブロックで細かい調整を行います。
それぞれの色は画像のようなノードを用いて設定しています。

これでおおまかな背景が完成しました。

制作した背景は「ビュー」→「ビューで画像をレンダリング」を選択し、画像として保存します。
このとき、各パーツごとで保存しておくと描きこむときに便利です。
また、一緒に線画もレンダリングして保存します。

背景の描き込み

保存した画像をPNGで書き出して、制作しているSAIのデータに入れます。
ベースや小物、蝶などをそれぞれ別レイヤーとして取り込みました。

まずベースとなる床や壁などを描きこんでいきます。
3Dで出力した画像では色が単調なので、グラデーションを積極的に取り入れることでイラストらしい仕上がりになります。

次にケーキや紅茶、キャンディーボックスといった小物を描き込んでいきます。
こうした小物は絵の雰囲気を演出するのに非常に重要です。
ガラスには透明感を持たせたり、装飾品はキラキラさせたりすることで、メルヘンチックで可愛らしい印象になります。

続いてネモフィラと蝶を描きこんでいきます。
ネモフィラのハンギングは人物の次に見られる箇所なので、オーバーレイなどで黄色やピンク、水色を載せてキラキラと光が反射しているようにします。

人物も表示し、人物による落ち影を追加します。

最後に薄い黄色のスクリーンを画面右側に載せ、全体にキラキラのエフェクトを加えてイラスト完成です。

完成イラストを見る



作品との一体感を保ちながらダイナミックに制作できるWacom Cintiq Pro 24は世界トップクラスの色精度とペンの追従性を実現するプレミアムな4K対応の液晶ペンタブレットです。

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