イラストテクニック第221回/宮倉将吾
第221回は、宮倉将吾さんの登場です!
Photoshopを使って描く、線画を活かした作画過程を紹介します。
宮倉将吾
普段は万年筆やボールペンを用いて、線の描き込みを活かしたイラストを制作することが多いです。手描きならではの風合いや、温かみのある色合いを大切にしています。
各項目のサムネイルをクリックすると、制作画面のスクリーンショットか、拡大画像を見ることができます。
宮倉将吾さんの作業環境

ラフ:画用紙、シャープペンシル
線画&着彩:Photoshop
使用ペンタブレット:Wacom Intuos Medium
はじめて使ったペンタブレットがこのモデルです。
ペンタブレットの表面が滑らかなのでペンを走らせやすく、今でも愛用しています。
ラフ・色ラフ

今回は龍と少女が登場するイラストを和風なテイストで制作していきます。
ラフはアナログで制作しました。シャープペンシルを使って画用紙に描いていきます。
アナログで制作するのは、全体のバランスを常に把握しながら画面を構成できるというメリットがあると感じるからです。
キャラクターの位置を大まかに決めたら、風の流れを意識して髪の動きを考えたり花吹雪を足します。龍の鱗はラフの段階で細かめに描いておきます。

アナログで制作したラフをデータにして取り込み、ここからPhotoshopで制作していきます。
ラフの下層に色ラフレイヤー(通常)を作成して、そこに色を置きます。
大まかに色を配置します。光の方向と当たり方などが一目で伝わるように意識しました。
今回のイラストは金色の光が画面の左側から横方向に当たるので、逆側に青色の影を乗せます。濃淡に差を出してコントラストをつけました。
線画


線画に使うのは自作ブラシです。Photoshopの[ブラシ設定]で好みのバランスになるように調整しました。
アウトラインが少しギザギザしている、にじみ感のあるブラシを使って風合いのある線にします。

先ほどのブラシを使用して線画を描きます。線画用のレイヤー(通常)を作成し、ラフを薄く表示させながら黒色で清書していきます。
まずは太めのブラシサイズでひと通り線を入れます。画面の手前にある龍の体→人物→奥にある龍の顔の順でブラシサイズを細く変えつつ描きました。
人物の表情はこの絵にとって重要な目を引くポイントになるので、周りよりも少し太めの強弱をつけた線で表現します。
下塗り

ここから着彩に入っていきます。
線画のレイヤーの下層に新規レイヤー(通常)を作成し、色ラフから[スポイトツール]で取った黄土色(ベースカラー)を画面全体に乗せました。
もうひとつ新規レイヤー(通常)を作成したら、背景部分をクリーム色でベタ塗りしていきます。
ハイライト・影

ベースカラーの上に色分けレイヤーを作成し、ベースカラーよりも明るい色で目や肌にハイライトを置きました。髪もベタ塗りして同じ色でハイライトを入れています。
同系色で塗っていても、そのなかに一段明るい箇所を作ることで最終的に目を引くポイントになります。

新規レイヤー(通常)を作成して、光の方向に合わせて青色の影を置いていきます。
濃淡の異なる青色をいくつか使い分けました。ベタ塗りした上に線でタッチを加えて立体感を表現します。
人間のキャラクターの影はデフォルメチックにつけ、龍は立体感が出るように鱗の一つ一つに影を細かく入れて臨場感を出しました。
かわいさとモンスター感のコントラストを意識しています。