高精細な3DCG制作の現場で求められる
ペンタブレットの役割とは?
3次元のグラフィックを生み出すのは筆圧や
ストロークといったフィジカルなペン捌き
コンピューター性能と共に進化してきたゲーム業界。最新技術によって表現力が高まったリアルなグラフィック。まるで本物と見紛うような3DCGのキャラクターや背景、それらを映画的に観せる演出は、いまやゲームジャンルを問わず欠かせません。一見、専門的な知識や技術が要求されるように見える3DCGデザイナー。
しかし、基本はやはりまず「絵を描く」ことであり、現場では美大卒のスタッフも多く活躍しているとのこと。そんな3DCGの制作現場でも、下絵を描いたり、3Dモデリングソフトの操作を直感的に行える液晶ペンタブレットは、今や必須アイテム。なかでも大画面・高解像の液晶画面を有するCintiq 24HD touchは、今回取材させていただいた株式会社セガの『龍が如く 維新!』制作チームの現場でも大活躍しているそうです。
株式会社セガ本谷雄(チーフキャラクターデザイナー)
1960年に設立された株式会社セガは、日本屈指のゲームメーカー。アーケードゲームでは『スペースハリアー』『バーチャファイター』など斬新なタイトルが大ヒット。家庭用ゲームの分野でもメガドライブ、セガサターンなどのゲーム機を開発し、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』『龍が如く』など多数のヒットシリーズを制作している。第一CS研究開発部デザイナーとして活躍する本谷雄さんは2004年入社。PS3 / PS4最新作となる『龍が如く 維新!』のチーフキャラクターデザイナーとして、キャラクターデザイン、キャラクターモデリングの現場を牽引する。
3DCGのキャラクターたちも、まずはイラストで明確なイメージを制作し、それを元に3D化されます。「コンセプトアートはあくまでイラストなので、直感的に描くことができる液晶ペンタブレットはとても適しています。ペンの筆圧をダイレクトにキャンバスに表現できるので、髪の毛の表現や薄墨のかすれ具合、陰影などもリアルにつけられますね」。
3DCGでは、Softimageというソフトで制作したポリゴンモデルをZBrushというソフトでスカルプティングします。「3Dモデルを粘土のように触って作っていくのですが、その際ペンタブレットの筆圧感知がとても役立ちます。布地に深いシワをつけたければ、ペンを強く当ててなぞったり、ペンを当てる強さやストロークによって、自由にモデルを変形できる。液晶ペンタブレットなら直感的でさらに便利ですね」。
ポリゴンモデルは質感を向上させるため、表面にテクスチャーをマッピングすることで完成します。液晶ペンタブレットを使えば、服や肌の質感を描いたテクスチャーを貼る作業だけでなく、画面上でポリゴンモデルに直接描いたり、微調整することも可能です。
さらに重要なのがウェイトの設定。たとえば、肘を曲げると腕の皮膚も合わせて各方向に引っ張られますが、どの方向にどれだけ動き、引っ張られるかの値を3Dモデルの各部に設定しておきます。「この設定をしなければ、3Dモデルをアニメーションさせても、おかしな挙動になってしまいます。自然な動きを演出するには、各部位に対して細かくポイントを設定し、調整しなければならないので、直接画面を触れる液晶ペンタブレットでなければ非常にやりにくいですね」。
多機能な3DCGソフトウェアを
使いこなすための必需品
「3DCG制作は細かい作業が多いので、Cintiq 24HD touchの大画面はとても作業がしやすいです。とりわけ3DCGツールは多機能でメニューが多いのですが、左右のファンクションキーや画面上に表示される円形のラジアルメニューを活用すれば、混乱することもありません。特にこれらの機能はソフトウェアごとに別々の内容を設定することができるので、主要なメニューを登録してしまえば、ほとんどの動作をペンタブレット上で完結してしまうことが可能です。3Dグラフィックを扱う人にはとてもお薦めです」
Cintiq 24HD touch