クライアントから多種多様な要望が飛び交う広告業界
スピードとクオリティがシビアに問われる現場では?
デジタル作業が必須な業界約90名の
デザイナー全員が液晶ペンタブレットを使用
広告や商品パッケージなど、主に印刷物のデザインを手がけるグラフィックデザイナーの仕事では、商品や情報の持つコンセプト、クライアントのオーダーに応じて多彩な表現手法を駆使します。Photoshop上で描いたイラストを加工してIllustratorでレイアウトする。写真や絵素材を合成してデザインを組む。メインとなる絵素材のカラーリングを変え、デザインを調整するなど、アナログでは煩雑になる作業もデジタル環境なら、ツールをスムーズに連携させながらスピーディーな制作が可能です。大手広告代理店からの案件も多いアドブレーンの高橋さんは、「広告や商品デザインはクライアント様とも何度もやりとりをするので、修正しやすく、広範囲な印刷に対応するデジタルベースでの制作は必須ですし、デジタル環境での作業効率を考えると、ペンタブレットは必須アイテム。弊社にいる約90名のデザイナーも全員液晶ペンタブレットのCintiq 13HDを使っています」と言います。
グラフィックデザインでは、1つの作品が超大型ポスターから、新聞・雑誌広告、商品パッケージに至るまで広範囲に使用されるため、あらゆるサイズ展開に対応できる精密な作り込みが必要。特に広告グラフィックは写真合成が多いため、液晶画面に直接操作できる液晶ペンタブレットは、素材切り抜きの精度や速度も上がり、マウスでは難しい表現や操作も可能になったそうです。
商品パッケージのアイキャッチとなるハンコ風スタンプでは、かすれた風合いを出す加工を行った高橋さん。線の輪郭をぼやかしたり、描き込んだり、消したりする作業の際、ペンタブレットの筆圧を活かして自然な表現が可能に。
広告デザインで重要になる文字のデザイン。手作りの文字を使うとデザインに個性が生まれます。既成フォントをパス化して調整する際、液晶ペンタブレットだと直接文字にペンで触れるため作業が速い他、ペンがあることで手描き文字もデザインに導入しやすくなります。
『第30回読売広告大賞』読者が創る広告の部・作品募集ポスターでは、「ダイヤの原石を見つける公募だという意味を込めて、ダイヤモンドをモチーフにしました」と高橋さん。本物のダイヤモンドの写真をトレーシングし、線をパスデータ化。「アンカーポイントの細かい設定をするにはペンがとても便利で、マウスでやっていたころとはスピードが圧倒的に違います。パス化の作業こそ、液晶ペンタブレットが一番便利に使える場面です」。
作業効率を高める上で重要なツールの1つが「ブラシ」。アドブレーンでは、オリジナルのブラシツールを社内で共有し、クオリティの均一化を図っているそう。「なかでも重宝しているのが通称“髪の毛ブラシ”です。人物の髪の毛の切り抜きは難しい作業なのですが、不自然な切り抜き部分を髪の毛ブラシでなぞると、複数の髪の毛を美しく描けて、自然な仕上がりになります」。
紙に描くように寝かせながら描けたり
気軽にスタンドの角度を調整できるのが便利
「私のペンタブレット歴は5年ほどで、最近Intuos5のMサイズからCintiq 13HDに切り替えました。紙に筆で描くように、手描き感覚そのままで作業できるのはもちろん、イラストを描く際は紙に描くように机の上に寝かせて使ったり、合成作業の際は立てて使用できたりと、作業によって気軽にスタンドの角度を調整できるのも嬉しいポイント。絵を描かないときはPCのサブモニタとして使えるのも便利だと思います」
Cintiq 13HD