手の繊細な感覚が問われるイラストレーションの世界
それでも今、アナログよりデジタルが主流に
使っている人の方が多いくらい
業界標準となったペンタブレット
雑誌や書籍などの挿絵や表紙、広告やポスター、CDジャケットなど、活躍の場も多い「イラスト」。ペンや筆を使い、人の手で直接描く必要のあるイラスト業界では、早い段階からペンタブレットが導入され、現在ではほとんどのイラストレーターが使用していると言っても過言ではないほど、業界標準のツールになっています。さまざまな雑誌の表紙、書籍の装丁、CDジャケットなどでも著名なサイトウユウスケさんは、フォトリアルな人物をスタイリッシュに描くイラストレーター。アナログ的な作品をいち早くデジタルで描き出した巨匠・寺田克也さんの影響もあり、2001年からペンタブレットIntuos2を導入。以降、イラストレーションにおける一般的な作業工程の全てをペンタブレットで行っていると言います。
「大まかに言えば、Photoshop上で線画を下描きし、Painterで着色、Photoshopに戻って絵の素材同士をコラージュしたり、色調補正を行って仕上げます。その全ての作業がペンタブレットです。僕はアクリル画から一気にペンタブレットとMac環境に移りましたが、描き味がアナログ画材と変わらないのがいい。僕自身、ライトな絵柄が好みなのでデジタル制作が向いていますし、色の塗りつぶしや線や色の直しも簡単。何よりペンタブレットは紙や画材を広げる必要がないので、作業場所をコンパクトにできるのも利点でした」。
サイトウユウスケイラストレーター
バンタンデザイン研究所イラストレーション専攻卒業後、フリーのイラストレーターとして活動。デジタルによるペインティング作品を制作。広告、書籍の装丁、CDジャケットなどメディア・国内外を問わず多彩なジャンルで活躍中。2003年には『チョイス・デジタル』第1位入選、2004年には『TIS公募#4』プロ部門で大賞を受賞。東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)会員。近年、個展ではコラージュと手描きイラストを融合した独自の作品を発表、注目を集める。
イラストにとって命とも言える線描。「絵筆を使って描くのと遜色ない描き味」と言うように、スケッチから仕上げまで全てCintiq 24HD touchを使用。タッチホイールで拡大縮小を行い、バランスを見つつ描いていく。
Photoshop上で描いた下描きを、Painterに取り込んで着色。「色塗りも、絵筆を使っている感覚でそのまま描けるのがいいですね。下描きのときと同様、画面の拡大縮小をこまめに行いながら、全体から細部に向かって筆を走らせていきます」。
イラストを描くだけではなく、光の差し込み具合などのエフェクト処理もイラストレーターにとって重要なテクニック。エフェクトをオーバーレイしていく際のグラデーション調整などでも、ペンの筆圧機能によって自然な表現に仕上げることができる。
イラストと写真のコラージュ作業を行う際も、Photoshop上でコラージュ素材をイメージの赴くまま、直接触るような感覚で編集できるのが液晶ペンタブレットの強み。「細かい作業も直感的にできるので、作業もはかどります」。
キャンバスと一体化した、よりアナログに近い感覚
「大画面に直接描けるCintiq 24HD touchは、イラストレーターなど、ドローイングやペインティングが制作のメインとなる人にオススメです。大画面であればあるほど、肘を使ってストロークの大きな線が引け、“活きた線”が描けます。手首で描く線と肘で描く線は、ダイナミズムが明らかに違う。もちろん色塗りも、大きな面で捉えて描いていく場合は、大画面のほうがやりやすい。それにこのCintiq 24HD touchにはマルチタッチ機能がついているので、左手でキャンバスを回転させながら塗ることもできる。キャンバスと一体化して、よりアナログに近い感覚で絵が描け、とても便利です」
Cintiq 24HD touch