撮るだけではない。アナログからデジタルへの移行に伴い
レタッチ作業で写真のクオリティを上げていく

テクニカルな画像処理も求められる時代になり
フォトグラファーのペンタブレット使用率も
高くなった
「フォトグラファー」と一口に言っても、その撮影対象と撮影シチュエーションは多岐に渡ります。人物・商品・製品撮影などのスタジオワークを得意とする場合もあれば、ネイチャーフォトなど屋外での撮影がメインとなる場合や、アートフォトでは複合的なモチーフを多用なシチュエーションで撮影することもあり、フォトグラファーの個性によってさまざまな撮影ケースが考えられます。さらに現代はデジタルフォトの時代になり、撮影後のテクニカルな画像処理を求められることが多くなりました。そこで活躍するのがペンタブレット。撮影時に写り込んでしまったゴミを取り除く、人物の肌を補正する、色調や明るさを調整するなどのフォトレタッチ作業はもちろん、モチーフの切り抜きなどもフォトグラファー自身が行う場合が多く、写真加工が細かければ細かいほど、繊細な作業を行いやすいペンタブレットが重宝されています。
多彩なジャンルで活躍する中村成一さんも「デジタル時代になり、フォトグラファーのペンタブレット使用率は相当高くなっている。マウスに比べてペンタブレットはポイントを的確に捉えることができるので、レタッチ作業も写真の切り抜き作業も格段に正確でスピーディーになりました」とペンタブレットの利便性を実感するそうです。

中村成一フォトグラファー
東京生まれ。立教大学在籍中より写真家を志し、株式会社資生堂宣伝制作部にて広告写真を手がけるほか、「花椿」の撮影などにも関わる。2006年に資生堂を退社し、株式会社中村写真事務所を設立。現在はフリーとして、資生堂時代から続く人物モデル撮影や化粧品撮影などビューティー関連フォトを手がける傍ら、花や水、オブジェクトと自然の組み合わせをモチーフに、豊かな色彩感覚と透明感あふれるアーティスティックな作品群を発表している。ARTBOX社よりポストカードブック「あいろ」を刊行。武蔵野美術大学非常勤講師。

ペンの筆圧に合わせてPhotoshopのスポット修復ブラシツールの大きさが変わる設定にしておけば、ブラシサイズをいちいち変えずにゴミ取りができて効率がいい。「液晶ペンタブレットは画面を直接ポイントできるのも便利です」と中村さん。
レタッチの際など、補正する範囲を簡単に指定できて便利な「クイックマスク」。「液晶ペンタブレットだと、まるでペンで絵を描くように写真の細部まで選択しやすく、筆圧感知もされるので、範囲指定がとてもやりやすいです」。

レタッチ作業の中でも、特に繊細な表現が必要とされるのが、人物の肌のレタッチ。「目の下のクマ、小鼻の横などの細かいところはコピースタンプツールを使って、ペンで直接なぞることで周囲の自然な色をのせていくことができますし、クイックマスクで直したいところだけを抽出して色をぼやかしたり、ボケ味を加えたりという作業もできますね」。
さらに肌のレタッチでは、左手側のリングキーに拡大縮小のショートカットを割り当てておくのが中村さん流。「拡大した画面だけで作業していると、ついレタッチしすぎて、肌がゴム人形のようになってしまう。なので、レタッチするたびに全体画面を欠かさずチェックし、自然な肌感を失わないように注意します。メインモニタで写真全体を表示しておき、Cintiq 13HDの画面で拡大してレタッチをするのも便利です」。

持ち運べるので、どこでも同じ環境で作業できる
「僕がペンタブレットを使い出したのはIntuos3からですが、キッカケとなったのは最もPCを多用するゴミ取り作業を効率良くしたかったからでした。Cintiq 13HDを使って感じたのは、そのゴミ取り作業がさらに快適になったのはもちろん、写真切り抜きなどの細かい作業がよりやりやすいこと。さらに13インチという手頃な大きさなので、自分の作業環境をそのまま外に持ち出せる便利さですね。写真は見るモニタの輝度や色味によってイメージがガラリと変わりますから、ロケや外部スタジオに持って行けば、デフォルトのモニタとして持ち歩けて便利だと思います。デザイナーと打ち合わせやプレゼンテーションなどにも、とても役立ちますね」
Cintiq 13HD