

私はグローバルでプロダクトマネジメントチームを率いています。普段はドイツに拠点を置き、世界中を飛び回っていますが、その大半の時間を日本で過ごしています。私がワコムに入社して4年半がたちますが、その間の技術・市場の変化のスピードはとても速く、また劇的に変わっています。今、このような時代の中で、ワコムは将来素晴らしい製品やソリューションを提供できる好機を見出しています。

ワコムは、1984年にコードレスペンタブレットを開発し、現在では、世界のトップクリエイターから趣味で絵を描く方々にまで幅広く信頼され、愛される企業に成長しました。ワコムは、常にプロフェッショナルのクリエイティビティをダイレクトに表現し、彼らの才能を引き出す手助けをする責任を負うことを選び、彼らの期待、彼らの要求する高い水準に応えるべく、日々最高レベルの研究と努力を続けています。 また同時にアーティストではないけれど、日々の生活をしている中でクリエイティビティを表現したいという人々との結びつきを強化していくためにも素晴らしいツールや製品を提供しています。

書く/描くという行為は、プロフェッショナルなクリエイターたちに限られたものではありません。ちょっとしたメモ、アイデアのスケッチ、手紙、サイン……子どもから大人まで、家でも、学校でも、オフィスなどあらゆる場所でペンと紙を使っています。毎日、脳の中のなにかを紙に書き写す。これもまた、書く/描くことにあるクリエイティビティ と言っていいでしょう。われわれが最近リリースしたBamboo製品とソリューションは、そのための最適のツールだと思います。
さらに、モバイル端末の世界にもこの数年でとても大きな変化がありました。PCのタッチパネルモニタ、スマートフォンや、iPadをはじめとするタブレット端末など、様々なデバイスがより一般的なものになり、たくさんの人びとが日常的にタブレット端末などに触れるようになりました。そのことによって、われわれワコムの持つ知識や技術、経験を活かす可能性がとても大きく広がり、すばらしいエクスペリエンスを提供できるようになると考えています。

今日の生活では、あらゆる情報を瞬時に誰かと共有することが可能になり、私たちの生活は大きく変わりました。たとえば、ここ東京で私が購入した音楽ファイルを瞬時にドイツの自宅にいる妻が聴き、次のタイミングにはともに感想について話し合うこともできる──このようにあらゆる情報をすぐに共有できることは、これまでには決してあり得ませんでした。クラウドは人々にとってより関係性の強いものになっていくでしょう。

技術の進化とネットワークは、仕事のありかたすら変えてきています。たとえばCintiq Companion製品群はプロフェッショナルなクリエイターへ向けた完結されたモバイル端末です。場所を選ばず、簡単に自分だけのスタジオやアトリエを持つことが可能になったと言えるでしょう。クリエイティビティは、それが発揮される場所を選ばないものになったのです。

広く一般化したタブレット端末、クラウド化、そしてワークスペースの変化。これらの要素が、われわれのビジョンに大きな影響を与えています。ワコムの夢は、ペンの技術によってあらゆる角度からクリエイティビティを支えることと言っていいでしょう。クリエイティビティとは、プロフェッショナルだけのものではありません。われわれの製品によって、あらゆる人々が自分たちの持つクリエイティビティをより楽しく、幅広く発揮することができるようになれば、これ以上に嬉しいことはありません。

われわれの最終的な目標は、機会を提供し、それによって人々の生活も様々な形で影響を与えて行くこと、と言うことができるかもしれません。書く/描くという行為は、人類が古くから変わらず持ち続けているものです。これがどのような未来を持ち得るか、私自身が胸を躍らせているところです。ぜひ、ワコムの今後にご期待をいただきたいと思います。
