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キャラクターデザイナー
PALOW.

クリエイターチームSSS by applibotのリーダーで、専門学校HALのCMに使われたキャラクター「虫メカ少女」やバーチャルシンガー「花譜」で知られるキャラクターデザイナーPALOW.さんによる「Wacom Cintiq Pro 24」を使ったライブペインティングを公開!(2020年3月16日撮影)

Drawing with Wacom 106/ PALOW. インタビュー

PALOW.さんのペンタブレット・ヒストリー

「MO-11A」虫メカ少女シリーズ(2012)
©PALOW.

――PALOW.さんがデジタルで絵を描き始めたのはいつ頃ですか?
中学3年生の頃、情報教育が盛り上がり始めた時期で、学校のPCになぜかCorel Painterが入っていたのを触って、これはすごいと思ったんです。高校に入って、ゲームクリエイターになるためにCGをやりたくて、本で見たペンタブレットが欲しくなりクリアブルーのFAVO(F-430)とCorel Painterを買って使い始めました。HTMLを覚えて『アーマード・コア』のファンサイトを作ったり、「スタジオジブリFC」というジブリファンが集まる非公式のお絵描き掲示板が当時の自分の絵の発表の場でした。

――その後のペンタブレット遍歴はどのような感じですか。
高校2年生の時、引っ越しの最中に大雨でFAVOが水没してしまって、仕方ないのでIntuos2(i-420)に移行しました。高校卒業してすぐくらいにIntuos2の大きいモデルに替え、そこからしばらくはそれを使い続け、23~4歳くらいでイラストレーターの駆け出しになったくらいで新しいIntuos4を買いました。実家に帰る時はいまだにそのIntuos4を使っていますね。そのうち地元の福岡と東京を行き来して仕事をするために作業環境ごと持ち運ぶようになったんです。Intuos4を持ち運び用にして、メイン機として導入したIntuos ProのLサイズを最近までずっと使っていました。

――液晶ペンタブレットを使うようになった経緯は?
一緒に仕事をしている米山舞さんが、隣で液晶ペンタブレットを使ってすごくニュアンスのある線を描いているのを見て、Wacom Cintiq Pro 16を使い始めました。使い始めるとちゃんとペンで線のニュアンスを出すことができて、板型ペンタブレットだと2手3手かかる線を1手で描くことができたので、すごく作業の精度上がるのがわかりました。逆にデザイン画を描くときには客観的に絵を見続ける必要があるので、絵を見る人と同じ距離感で作業できる板型ペンタブレットのほうに軍配が上がるとも感じています。Wacom Cintiq Pro 16は適度に小さくて板型ペンタブレットとして使うにもちょうどいいので、線画を描く時には液晶ペンタブレットとして使って、ラフや塗りの作業ではタブレットモードで使うのが僕のスタイルになっています。

――現在の作画環境はどのようなものか教えてください。
Windows PC(CPU:Intel Core i7-9700K/RAM:64GB/GPU:GTX-1080Ti)に、Wacom Cintiq Pro 16を繋いで使っています。ディスプレイはEIZO FlexScan EV2456とEIZO FlexScan HD2441Wのデュアルディスプレイで、作画用にWacom Cintiq Pro 16と同じミラーと、メール確認やチャット用の画面とで使い分けています。作画資料などはiPadで見ることが多いですね。作画ツールはAdobe Photoshop CCがメインですが最近はCLIP STUDIO PAINT PROも使っています。

――今回、初めてWacom Cintiq Pro 24を使って絵を描かれてみた感想はいかがですか。
4Kの大画面はすごく利点になります。とにかく制度が高いので拡大縮小を使わなくても自分の目で見たいところを見て、思い通りの場所に線が引けます。ツールの拡大縮小を使わずに描くのは本末転倒かもしれませんが、デジタルでアナログの感覚を再現できるともいえますよね。イラストを描くのであれば液晶ペンタブレットのほうが断然いいと思いました。使いかたにもよりますが前傾で描くと画面が近くて絵に集中しすぎてしまいそうなので、僕が実際につかうとしたら客観性を保つため目の前にもう1枚ディスプレイを置くかもしれません。Wacom Pro Pen 2もすごく気に入っています。ペン先のがたつきもなくて、軸の感じもちょうどいいですね。

P A L O W. さ ん の 作 業 環 境

Windows10搭載のデスクトップPC(CPU:Intel Core i7-9700K/RAM:64GB/GPU:GeForce GTX-1080Ti)にWacom Cintiq pro 16とWacom Intuos Pro largeを接続して使用。ディスプレイはEIZO FlexScan HD2441W(メール確認・チャット用)とEIZO FlexScan EV2456(作画用)のデュアルディスプレイで、線画以外の作業ではWacom Intuos ProまたはWacom Cintiq Pro 16をタブレットモードで使用することが多い。
作画ツールはAdobe Photoshop CCがメインで、イラストによってCLIP STUDIO PAINTを使用。

PALOW.さんのクリエイティブ・スタイル

「王と騎士-ベクタリアス王国-」王と騎士シリーズ(2017)
©PALOW.

――PALOW.さんが普段イラストを描くときのワークフローを教えてください。
まずラフを描いていき、そこに色を付けてカラーラフを作ります。完成イメージに近づけるためにカラーラフの精度を上げていって、なんとなく固まったところで新規レイヤーに線画を起こしていきます。線画ができたらカラーラフのイメージで塗り分けて、そこから最後に影を乗せたり装飾を加えたりして絵としての情報量を足していくというのが通常のワークフローです。基本的にAdobe Photoshop CCで描きますが、塗りつぶしツールでの塗り分けは線画の補完機能があるCLIP STUDIO PAINTを使っています。

――Adobe PhotoshopとCLIP STUDI PAINTを併用しているのはなぜですか。
Adobe Photoshop CCのデフォルトのブラシというのは、想定したことしか起こらないので自分の考えたままが絵になるんです。こうしたいと思って描いたことができるのがメリットですが、逆に言えば偶然いい線が描けたみたいなことが一切ないんですよ。CLIP STUDIO PAINTのブラシだと描き味みたいなものがちゃんとあるので、デザイン画というよりイラストとしていい感じの絵を描きたいなと思うときはCLIP STUDIO PAINTを使ってみたりします。Adobe Photoshop CCのデフォルトだと後から線のタッチを盛ってやらないと色気のある線にならないのですが、そのシンプルさがデザイン的な思考で描くのにはすごく向いているんです。

――イラストを描く上で特に意識していることはありますか。
1枚の絵やデザインに込められている情報量は人それぞれ違うと思っていて、文章に例えると米山舞さんとかはすごく短い言葉を素敵に彩るような絵で、僕は逆にものすごく長い文章を簡潔に伝えようとする絵なんです。その絵に込めた意図を誤解されないように、より的確に伝わるようにデザインとして落とし込むことを常に意識しています。1枚の絵でできるだけたくさんのネタを見る人に与えたいので、そのネタを受け取った人が「これはこういうことかな」と想起したものが僕のイメージするものと合っていたら一番うれしいですね。

――伝わるデザインをする上で重要なポイントは何ですか?
見た人が最初に印象として受け取る「色」と「形」を強くするようにしています。どういう印象を与えたいかというのは、根本的にはその絵やデザインを見てどんな気持ちになって欲しいかということなので、そこは極力外さない様に狙っていく感じですね。どんなに的確に描いても、印象がよくなければダメなので。

バーチャルシンガー「花譜」イラスト(2018)
©KAMITSUBAKI STUDIO

――PALOW.さんと言えば「虫メカ少女」シリーズの印象が強いです。
もともとメカニカルなものやSF的なモチーフが好きだったんですけれど、イラストレーターとして活動を始めた頃はボーカロイド全盛期で。世の中に僕の好きなものを楽しんでもらうにはどうしたらいいのだろうと考えたのが「虫メカ少女」のシリーズです。昆虫のモチーフも普通に出すと気持ち悪がられるものですが、敬遠されがちなメカニカルなものと昆虫と、一般的に難しいと思われがちなモチーフをどうすれば興味のない人に面白いと思ってもらえるかというテーマで、メカ好きな人にはメカに見えるけどそうでない人にはただの「形」に見えるところまで記号化して、昆虫的な要素はシルエットだけ残して全て服装に置き換えて見せるというのがデザインのコンセプトになっています。最初は個人的に描いて発表していたのですが、なんだかんだでCMになったりしてそれなりに狙った層にも届いたのかなと。

――バーチャルシンガーの「花譜」は虫メカ少女とはまた違ったコンセプトですよね。
花譜ちゃんは本人とそれを取り巻く環境があって、花譜ちゃん自身が物語を作っていくので、できる限り自分のコンセプトは盛り込まないようにして、その分ファンの人に描いてもらえること、どこを描いても花譜ちゃんに見えるデザインを大切にしているんです。イラストの最大出力を出すという描き手のエゴは解消されなかったりしますが、キャラクターが浸透していくのを見るのはデザイナーとしてはすごく誇らしいですね。その意味では、虫メカ少女でハイエンドの方にやりきっていなければ、花譜みたいなデザインはできなかったかもしれません。

ワ ン ポ イ ン ト テ ク ニ ッ ク

キャラクターデザイナーとしてイラストに込める情報量のコントロールを常に意識しているというPALOW.さん。
色を塗り進めながらキャラクターの情報量を盛っていく過程では、下描き段階にはない装飾をその場でデザインしながら描き込んでいくこともあるとか。

※動画では14:01あたりからPALOW.さんが衣装の模様を描く工程が見られます。

PALOW.さんのクリエイターズ・ヒストリー

「Asymmetry(Ver.B)」(2013)
「Photoshopで描く! 初音ミク イラスト入門 CS6対応」
(KADOKAWA)掲載イラスト
©PALOW. / Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

―――PALOW.さんが絵を描くことを仕事にしようと思った経緯は?
父親が画家なので、小さい頃から絵を描くのが当たり前で、それが仕事になると思い込んでいたんです。ただ家は貧乏だったので(笑)、高校を卒業しても美大とかに行けず道が途絶えたんですよ。それでちょっと宙に浮いたみたいになっている所を某イラストレーターに拾われて。1年ほど師匠の下でいろいろ学んでいましたが、自分は絵以外の世界を知らないなと思って、いったん絵を離れてみることにしたんです。それから2、3年はほぼ絵をかかずに映像や音楽といった他の創作活動をしたり、いろんな人に会いまくったりしていました。

――そこからイラストレーターとして活動を始めた切っ掛けは?
遊び歩いている頃にゲームをやり込んでいて、「Call Of Duty」では国内ランキングの上位にいるぐらいだったんですけれど、どうしてもその世界の天才には勝てなくて。それで絵の世界に戻ってフリーランスのイラストレーターとして活動を始めました。最初は小さなカットとか黎明期のソーシャルゲームのイラストを描いていましたが、音楽をやっていた頃に知り合った方が初音ミクの絵の仕事をくれるようになって。1年くらいボーカロイドを描いている中でSFっぽい初音ミクの絵を描いたらそれで注目されるようになったんです。その頃に描き始めた「虫メカ少女」も話題になって、そこからゲームのキャラクターや世界設定とか、プロップデザインみたいな大き目の仕事もできるようになりました。

――HALのCMに虫メカ少女が登場した時はインパクトがありました。
2014年にメインどころで参加していた企画が2つポシャってしまって、少し落ち込んでいたところに虫メカ少女を気に入ってくれたプロデューサーから打診をもらって喜んだものの、そのまま音沙汰なしでコンペに落ちたんだろうと思っていたんです。それが2015年の暮れになっていきなり「来年のCMがPALOW.さんに決まりました」と言われて、マジかと(笑)。それで制作が始まったんですが、もともと簡単な三面図とかは描いていたので3DCG用のデザインもすぐ作れて、3週間後くらいには映像のデモまでできるという超ハイペースで仕事ができたんですよ。それがちょっとした伝説になって、翌年には3D関連のデザインの依頼がすごく増えました。

Huluオリジナルアニメ「ソウタイセカイ」
武器デザイン画(2017)
©ソウタイセカイ製作委員会

――その後もアニメのキャラクターデザインなど様々なお仕事を担当されていますね。
ポシャってしまった企画の伝手で別の依頼を頂いたり、HALのCMを観たクラフターの石井(朋彦)プロデューサーから連絡がきてアニメ「ソウタイセカイ」にキャラクターデザインで参加することになったりと、ありがたいことに何とか生きていくことができるだけの仕事が繋がるようにはなりました。ソニーミュージックから売り出し中だった「酸欠少女さユり」のアートワークや、「花譜」のキャラクターデザインなど、音楽関係の仕事もずっと続いていますね。

――現在はどのようなお仕事をされていますか。
ライトノベルや書籍の仕事もやっていましたが、だんだんグラフィックデザインやコンセプトデザインの様な仕事に特化していって、28歳くらいの頃に僕はイラストレーターじゃないなって気づいたんです(笑)。デザインに必要なことが分かってきて、そこからはデザイナーのほうを全面に押し出すようにして、キャラクターデザイナーを名乗ってデザインの仕事をメインでするようになりました。現在はSSS by applibotというチームで企画やディレクションを主に担っています。

――フリーでも仕事ができていたのに、SSS by applibotに加入することにしたのは何か理由があったのですか。
最初に声をかけられたときは、ぜんぜん参加する気がなかったんです。ただ、ひと通り色々な仕事をして、フリーで請け仕事をやっていても限界があるなとは思い始めていた時期で、相当迷ってはいました。自分でIPを作って漫画を描いたりしたほうがチャンスがあるんじゃないかとも考えたんですけれど、最初にチームに声をかけられた僕とセブンゼルさんと米山舞さんの3人で会ってみたら、まあみんな変だけれど腕は確かな奴らで(笑)。それぞれ1人でできることの限界を感じていたところに、チームでやりたいことを1から作るというチャンスが降ってきた感じもあって、面子も申し分なかったのでやらない理由がないなと参加を決めました。

――実際にチームとして動き始めてみていかがですか。
チームとしてはまだまだ未熟ですが、メンバー全員が実績のあるクリエイターで能力も高く、話も通じやすいので、1年やってみて可能性ばかり感じています。デザインやビジュアルを生み出す力はすごいんですが、実行力に耐えうる夢やコンセプトがないとその力を持て余してしまうんですよ。いざ作っていいとなった時には、すごく精度が要求されますし、本当に完成させられる状態にもっていかなければいけないので、そのための企画やコンセプトを考えることが現在の自分に与えられたミッションなんです。

プライベートワーク(2020)
©PALOW.

――この先、PALOW.さんとチームはどのような活動をされていくのでしょうか。
SSS by applibotとしてのパブリックな仕事としては4月からNHK Eテレ「天才てれびくんhello」のコンセプトワークやキャラクターデザインをチームで担当しています。他にもいくつか案件は併行しているのですが、いまチームとしていえることは、将来的に自分達で立ち上げた企画を世に出すために新規IPを作り出す企画は継続的にやっていきます。あとはイラストやアニメといった僕たちがやってきた表現がまだ使われていない場所に対して、新しい使いかたを提案していくことですね。日本のイラスト表現の素晴らしさは疑う余地はないですが、使いかたには限界が来ているじゃないですか。そこに投資してもらっているので、僕らはちゃんと攻めたことをしなければいけないんです。難易度は高いですが、業界から見て可能性を感じられることをやっていくのが使命だと思っています。

――最後に、PALOW.さんにとってペンタブレットはどのような存在か教えてください。
メカ的に言えば「愛機」ですね。ずっとペンタブレットをメインウェポンにして戦ってきたので、もしこれがなければイラストレーターにもなっていませんでした。僕みたいに頭の中にあるものを世に出せるのが嬉しいタイプは、描きたいものが描けないことからスタートすると思うんです。デジタルを使うことでよりましな状態でそれが目の前に現れてくれるようになったので、もしペンタブレットと出会わなければ、描けないことに潰されていた気がしますね。

取材日:2020年3月16日
インタビュー・構成:平岩真輔(Digitalpaint.jp)



画像をクリックすると今回制作した作品をご覧いただけます。

PALOW.
キャラクターデザイナー。クリエイターチームSSS by applibot所属。フリーランスのイラストレーターとして活動を開始し、ソーシャルゲームやボーカロイドのイラストなどを手掛ける。個人で制作していた「虫メカ少女」シリーズのイラストが注目され、専門学校HALのCMに起用され話題を呼んだ。huluオリジナルアニメ「ソウタイセカイ」のキャラクターデザインのほか、ゲーム「League of Legeds」PV、酸欠少女さユりのアートワーク、バーチャルシンガー「花譜」のキャラクターデザインなどを手掛ける。コンセプトアートやデザインワークを得意とし、現在はSSS by applibotのチームリーダーとしてオリジナル企画の開発に当たっている。

twitter:@PALOW_
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SSS by applibot

Wacom Pro Pen 2による高精度な描き心地と、4K表示対応、最大Adobe RGBカバー率99%の広色域ディスプレイで使用可能な液晶ペンタブレットです。

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