Product
製品から探す

  • Wacom MobileStudio Pro
  • Wacom Cintiq Pro
  • Wacom One
  • Wacom Intuos Pro
  • Wacom Cintiq
  • Intuos
  • Bamboo Smartpads
  • Bamboo Stylus

Category
タイトルタグから探す

  • 製品の選び方
  • 活用ガイド
  • Sculpting with Wacom
  • Drawing with Wacom
  • イラストテクニック
  • ~あの作品の制作環境が見たい~
  • ペンタブレット活用事例
  • Bamboo Blog
  • 写真に絵を描く!フォト・ドローイングのススメ
  • 教育現場での導入事例
  • デジタルペンのおしごと図鑑

Category
カテゴリから探す

  • イラスト
  • アニメーション
  • マンガ・コミック
  • ゲーム
  • ウェブデザイン
  • グラフィックデザイン
  • デザイン
  • ムービー
  • 3DCG
  • フォト
  • コラージュ
  • お絵かき
  • ビジネス
  • ナビゲーション

イラストレーター
加川壱互

VRアイドル「えのぐ」のライブキービジュアルや、にじさんじのライバー「栞葉るり」のデザインなどを手がけるイラストレーター加川壱互による「Wacom Cintiq Pro 27」を使ったライブペインディングを公開!(2025年1月21日撮影)

※ブラウザで動画が再生されない場合はYoutubeのワコムチャンネルでご覧ください。

Drawing with Wacom 147 / 加川壱互 インタビュー

加川壱互さんのペンタブレット・ヒストリー

「雲間の果てへ」
『enogu one-man Live 2021 Winter-雲外蒼天-』KV(2021)
©えのぐ合同会社

――加川さんがデジタルで絵を描き始めたのはいつ頃ですか?
中学生の頃に好きだったゲームの公式掲示板で二次創作小説を書いていて、その小説につける挿絵を自分で描いている内に、絵の方が主になった感じです。ネットのお絵描き掲示板にマウスで描いていた流れで、お絵描きチャットにもハマったのですが、その絵チャットはプロ志向が強くて、後にイラストレーターとして活躍することになる人達がゴロゴロいたんです。その影響で自分も上手くなりたいという思いが強くなり、ちょっと背伸びをして買ったIntuos3が初めてのペンタブレットでした。

――液晶ペンタブレットを使う様になったきっかけは?
Intuos3からIntuos4に買い換えて、しばらく板型ペンタブレットを使った後に、Cintiq 13HDで初めて液晶ペンタブレットを手にしました。ただ、自分の描き方では画面を寝かせて描くと首が痛くなってしまって、すぐIntuos4に戻したんです。その後フリーになってイラストの方向性を模索している時期に、線画の効率を上げるためには液晶ペンタブレットの方がいいと考えて、Cintiq 13HDをスタンドで立てて使うようになりました。Cintiq 13HDはWacom Cintiq Pro 16を買うまでかなり長く使っていたんですけれど、買い替えて1年もしない内に体験会で触ったWacom Cintiq Pro 27の描き心地が忘れられず、すぐ乗り換えてしまいました。

――現在の作画環境はどのようなものですか?
ツクモのゲーミングPC「G-GEAR」(CPU:Intel Core i9-13900KF/RAM:64GB/GPU: NVIDIA GeForce RTX4080)に、Wacom Cintiq Pro 27とサブディスプレイとしてEIZO FlexScan EV2451、MSI Optix MAG274QRF-QDを繋いでいます。Wacom Cintiq Pro 27はErgotronのモニターアームでほぼ90度に近い角度で設置しています。キーボード以外のサブデバイスにTourBox Eliteを使っていて、自分のワークフローでよく使うCLIP STUDIO PAINTの機能やアクションはほとんど登録してあります。

――Wacom Cintiq Pro 27の使い心地はいかがですか?
とにかくWacom Pro Pen 3が描きやすくて、今まで使っていたペンよりインクの出やすいペンに持ち替えたような感覚になりますね。ペン先もスリムで見やすく、描きたいところに線がピタッと決まります。これまでペンの好みを意識したことがなかったんですけれど、グリップや重心のカスタマイズで、自分にとって描きやすいペンというのを見つけられた気がします。このペンを使いたくてWacom Cintiq Pro 27にしたまでありますね。

加 川 壱 互 さ ん の 作 業 環 境

Wacom Cintiq Pro 27を中心に画面に囲まれるような加川さんの作業環境。液晶ペンタブレットはほぼ垂直に近い角度に立てて使うスタイルで、Ergotronのモニターアームで設置している。左型に縦で使っているのががEIZO Flexscanで、正面上がMSIのゲーミングディスプレイOptix。
左手のサブデバイスはBT接続のTourBox Eliteで、CLIP STUDIO PAINTの主な操作をセット。レイヤーの名前付けなどもワンプッシュでできる。机の奥で手招いているのは作画参考用のコトブキヤARTIST SUPPORT ITEM ハンドモデル。

加川壱互さんのクリエイティブ・スタイル

「Primary colors」
「enogu Re:1st one-man Live -THE FIRST」キービジュアル(2024)
©えのぐ合同会社

――加川さんがふだんイラストを描く時のワークフローを教えてください。
全体を俯瞰できる小さめのサイズで構図を考えながらラフを描いて、アイデアが固まったらキャンバスサイズに拡大して下描き、線画と精度を上げていきます。線画ができたらキャラクターの範囲でクリッピングしてパーツ毎に塗り分けをして、加算(発光)で全体にライティングを施してから、パーツ毎に細かく塗り進めて、ある程度の完成度まで塗れたところで統合するんです。さらにその上から厚塗りの要領で加筆修正をして、最後に色調補正やノイズを使って塗りの質感を出して完成させます。

――ラフを小さいサイズで描いているのはなぜですか?
イラストのコンセプトを組み立てながら、こういう表現にすればいいんじゃないかという仮説を立てて、ラフでその検証をするんですよ。小さいサイズのほうがトライアンドエラーがしやすいですし、全体の構図やバランスをひと目で把握できるんです。画面の構成要素も最小限になるので、何を表現したいかがよりストレートに出て描きたい事が明確になるんですよね。キャラクターデザインをする時も、必用最低限の要素に絞り込んだデフォルメイラストで考えたりします。

――クライアントワークの時も同じようなラフの詰め方なのでしょうか。
僕は優柔不断な性格なので、仕事の場合はラフを3種類提出すると決めていて、その中で最適なものはどれですか?という聞き方をするんです。3枚の中から1つ選んでもらうことで、方向性の迷いがなくなるので、あとはその精度が高くなるようにモチーフを組み込んだり、遊びを足していきます。

――ドローイングでは、顔のパーツだけ初期段階に描いたラフの線を再利用するみたいな描き方をしていたのが興味深いです。
線画の工程で新しく線を起こすと、ラフの時に描いた理想のイメージから変わってしまうことがあるんです。線画で最適な線選びを失敗しているからなんですけれど、それを避けるにはラフそのものの精度を上げていけばいいんじゃないかと考えて始めた描き方ですね。キャラクターイラストの最大の見せ場はキャラクターの顔なので、最初に顔のパーツの表現を固めてしまわないと、その周りを描き進められない気がしています。

――塗りの初期段階で光源の方向にマークをつけてライティングの作業をするのも特徴的な工程ですね。
僕の場合、影を塗るより光を当てる方が立体感を表現しやすいのですが、レイヤーの合成モードを加算(発光)にすると下地がどんな色でもいい感じに明るくしてくれるので、便利に使っています。下塗りの時に全体をまとめてライティングした方が光源を管理しやすいので、光源のマークを付けて1枚の加算(発光)レイヤーに描きこむ形でキャラクター全体に光を当ててから、本塗りでパーツ毎に細かく明暗を塗り込んでいく感じです。

――ある程度、塗り終わって完成に見えた段階で、線と塗りを統合した上から新しい通常レイヤー1枚でどんどん加筆していくのは驚きました。
パーツ分けした塗りが終わった段階でも必要最低限にはなっているんですけれど、そこから厚塗りで上書きすることでイラストの完成度が段違いに高められるんです。キャラクターイラストをメインで描くようになる以前は厚塗りで描いていたので、線画で絵の精度を上げることにあまり頓着がなくて、綺麗に描いた線の情報を仕上げ段階で塗りつぶしてしまうことも少なくありません。レイヤー構造に囚われたまま絵の密度を上げていくのは窮屈に感じるし、1枚のレイヤーで塗り重ねていく方が描いていて楽しいんですよね。その方が絵も柔らかくなるし、結果的に作業効率がよかったりするので、いまのスタイルに合っていると感じます。

VTuber ホロライブ「常闇トワ」1stソロライブ衣装デザイン(2023)
© 2016 COVER Corp.

――塗りに使っているブラシはどのようなものですか?
最近よく使っているのは、CLIPで見つけた「ペンシルマーカー」というブラシです。筆圧を弱めて描くとグラデーションが作れて、強くするとがっつり濃い色が出てくれるので、この1本でぼかす塗りからかっちりした塗りまで行けるのが気に入っています。このブラシで塗色と透明色を切り替えながら塗り進めていくと、いい感じに色が混ざってくれるんですよね。

――加川さんが描きたいモチーフや、絵を描く上で大切にしているポイントがあれば教えてください。
描いている人物の「らしさ」だったり、描かれている時間や場所における感情に共感できるような表情や空気感を描くことができたらいいなと思っています。最初は厚塗りで世界観を感じさせる情景を描くことに憧れて絵を描き始めたんですけれど、フリーのイラストレーターになって、女の子のキャラクターイラストをメインで描き始めた時に、その中で自分が何を表現したいのかを考えたんです。試行錯誤しながら描き続けている内に、「らしさ」の対象が世界観から人に移っていった感じですね。

――その人「らしさ」を出すには何を意識すればいいのでしょうか。
表情とポージングにいちばん力を入れています。特にVTuberの場合は分かりやすくて、配信を見ているとその人「らしい」動きや表情というのが伝わってきますし、3Dのモーションからも、この人は運動能力が高いなとか色々なものが見てとれますよね。コメントやSNSの反応からファンが感じている「らしさ」も知れるので、それらを踏まえて表情とポージングを固めてから、他の部分を盛り付けていくようなイメージですね。

ワ ン ポ イ ン ト テ ク ニ ッ ク

線画とレイヤーに囚われず、絵にランダム感を出したいという加川さん。パーツ毎に分けたレイヤーで一定の完成度まで塗り終えると、線画と塗りを統合してしてしまう。 その上から新規の通常レイヤーを重ねて、線と塗りを同時に加筆・修正していくことで、厚塗りイラストのような手描き感が生まれている。1枚のレイヤーで塗り重ねる筆致に注目。

※動画では12:29から加川壱互さんが厚塗りで加筆修正していく様子を見ることができます。

加川壱互さんのクリエイターズ・ストーリー

「何して遊ぶ?」プライベートワーク(2023)
©加川壱互

――加川さんが絵を仕事にしたいと思ったのはいつ頃ですか?
高校2年生の頃、toi8さんや村田蓮邇さんのようなクリエイターの表現に憧れていて。自分もいつかオタク業界で活躍してゲームのキャラクターデザインやコンセプトアートを描けるイラストレーターになりたいと思い、芸大のデザイン科を目指して美大予備校に通い始めたんです。そこでデッサンや色彩構成などの基礎を学んだのですが、2浪して芸大への道はあきらめてしまいました。

――そこから絵の仕事をするようになったのは、どのような経緯があったのでしょうか。
フリーターになって、何もやることがなく不安な日々を過ごしながら絵を描いていたんですけれど、「トミーウォーカー」というPBWゲームのイラストを描かせてもらったのがきっかけで。そのポートフォリオを持って、当時、盛り上がりを見せていた携帯アプリゲームのアイテム制作の仕事をするようになりました。そのうちスマホゲームが流行りはじめて、仕事内容もアイテムからデフォルメキャラ、カードイラストへと変化していった感じです。

――現在のようにフリーのイラストレーターとしての活動を始めたのは?
スマホゲームの仕事を受けている内に、エージェントから声がかかりゲーム会社に就職できたのですが、業務内容的にあまり自分で絵を描くことができなかったんです。2つ目の会社に勤めていた頃に、個人的にTwitterやPixivで発表していたイラストがだんだん評価してもらえるようになり、仕事の依頼もいただけるようになって。このまま会社の中にいて自分の思うように絵を描けないなら、フリーになってもいいのかな……と。そんな気持ちを抱えたまま有給をとって散歩をしている時に、フリーになればこんな風に晴れた日は散歩をしたりして、もっと気持ちよく絵がかけるはずだと思って、「辞めよう!」となりました。

「ambivalence.」
『大絶響祭 2023 WINTER -ONE DAY MORE-』KV(2023)
©えのぐ合同会社

――フリーになってからはどのようなお仕事をされていたんですか?
前職で関わらせていただいたVRアイドル「えのぐ」のビジュアル制作をフリーになってからも担当させてもらえたり、当時、流行っていたTwitterマンガやキャラクターのシチュエーションイラストを描いたりしていました。なんとかして自分の絵でキャッチーさを築こうとしている内に、それらがきっかけになってライトノベルのお仕事をもらえたりしたので、とにかくご依頼に真摯に向かいあうことで、縁を増やして食いっぱぐれないようにしなければと必死でした。

――これまで手掛けられたお仕事の中で、特に印象に残っているものはありますか?
「えのぐ」のライブキービジュアルやアートワークは、イラストレーターとしての僕の軌跡といっても過言ではないので思い入れがあります。ここ最近はVTuber関連の仕事から名前を知ってくれる人が多いんですけれど、ホロライブの桃鈴ねねさんのオープニング画面やお部屋の背景イラスト、自分の好きな表現を詰め込むことができた常闇トワさんのライブ衣装デザインはお気に入りですね。にじさんじのライバー、栞葉るりさんのデザインを担当したことも嬉しいお仕事で、自分の代表作の1つになっています。

――「えのぐ」の活動そのものが紆余曲折を経ているので、加川さんによるビジュアルもどこか物語性を帯びているような感じがします。
「えのぐ」のビジュアルは、毎回のライブのコンセプトを表現したり、それぞれの曲に込められた想いに合わせて描いているので、自然と感情がこもったものになることが多いですね。逆にいうと、他のVTuberさんのイラストに入れているようなファンサービス的なネタを仕込んだりはできないんですけれど、そのぶん、本人たちの表情やポージングで「えのぐ」らしさを出すようにこだわっています。

VTuber にじさんじ「栞葉るり」デザイン画(2023)
同 新衣装デザイン画(2024)
©ANYCOLOR, Inc.

――VTuberのデザインを手掛けると、ただイラストを描いて発表するのとは少し違った形でファンに応援されるようになりますよね。
VTuber本人の活動を通して自分を見て、リスペクトしてくれるんですよね。イラストも細かいところまで観察して、その人らしさを出すための工夫や解像度の高さを褒めてくれるので、ファンが喜んでくれそうな遊びを絵に仕込んでおくのも楽しいです。これだけ仕事の中でVTuberが占める割合が増えたのは、描く対象の「らしさ」や魅力を絵で表現したいという僕のこだわりが、VTuberのイラストに求められる内容と上手くかみ合ってくれたおかげかもしれません。

――加川さんがこの先やってみたいお仕事や、個人的に挑戦してみたいものはありますか?
絵の展示や、イラストと音楽を絡めた表現に興味があります。音楽に関して自分でできることがないので、イラストと音楽を組み合わせて楽しめるようなアイデアを考えているところです。個人的に謎解きやミステリ系のゲームが好きなので、そういう企画にも関わってみたいですね。

――最近のお仕事状況について教えてください。
引き続きVTuber関連のイラストをいろいろ描いているので、本人たちの活動と併せて応援してもらえると嬉しいです。今年は自分でも発表を楽しみにしている大きな仕事が控えていたり、同人活動でも面白いことをやろうと考えているので、期待していてください!

――最後に、加川さんにとってペンタブレットとはどのような存在ですか?
「絶対的安心感」と「言い訳できなさの担保」ですね。Wacom Cintiq Pro 27を使っているからには、上手く描けなかったときに「悪いのは自分の腕じゃなくて、道具がいまいちだったから」いう言い訳はできないんですよ。これを使って上手く描けないわけがないという安心感と、それによって改めて自分の実力と向き合わざるを得ない覚悟みたいなものを感じています。

取材日:2025年2月4日
インタビュー・構成:平岩真輔(Digitalpaint.jp)



画像をクリックすると今回制作した作品をご覧いただけます。

加川壱互
フリーのイラストレーターとして、スマートフォンゲームやカードイラスト、キャラクターデザインの制作に携わり、近年はVTuber関連のイラストを中心に活躍。自身の代表作であり、ライフワークにもなっているVRアイドル「えのぐ」のビジュアルの他、「桃鈴ねね(ホロライブ)配信オープニングイラスト」や、「栞葉るり(にじさんじ)」のデザインなど、人気Vtuberの関連イラストやデザインを数多く手掛けている。

twitter:@plus15
Web:加川壱互ART

高い色精度と高解像度のディスプレイと、新しいペンテクノロジーWacom Pro Pen 3を搭載。クリエイターと作品の間で交わされる共鳴を存分に描きつくす、ワコムの最先端液晶ペンタブレットです。

製品詳細をみる

の検索結果 : 0件のページが見つかりました。
もっと見る