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イラストレーター
しまざきジョゼ

優しい色使いで描く情感あふれる一瞬を切り取ったイラストで注目を集めるイラストレーターしまざきジョゼさんによる「Wacom Cintiq Pro 24」を使ったライブペインティングを公開!(2020年9月4日撮影)

Drawing with Wacom 110/ しまざきジョゼ インタビュー

しまざきジョゼさんのペンタブレット・ヒストリー

『向日葵を手折る』(彩坂美月/実業之日本社刊)装画(2020)
©しまざきジョゼ/実業之日本社

――しまざきジョゼさんがデジタルで絵を描くようになったのはいつ頃ですか?
高校生の頃にFAVO(CTE-640)を買ったのが初めてのペンタブレットなんですけれど、その頃はペンタブレットさえ買えば絵が上手くなると勘違いしていて、ちょっと触ってすぐ描かなくなってしまったんです。まともにデジタルを使い始めたのは大学3年生になって友達のお下がりでIntuos3をもらってからですが、学生時代はアナログが主体だったので、デジタルに本腰を入れるようになったのはデザイン会社に就職してからのことですね。

――液晶ペンタブレットを使い始めたのは?
ずっとIntuos3を使っていたのですが、iPad Proが出てすぐにProcreateで絵を描き始めたら画面に直接描くのが肌に合う感じだったんです。その頃くらいから副業でゲームの背景グラフィックを描くようになり線画をけっこう描く必要があったので、直接画面に描ける液晶ペンタブレットのほうが効率がいいんじゃないかと考えてCintiq 13HDを導入しました。

――液晶ペンタブレットで描くようになって変化はありましたか。
液晶ペンタブレットは描いている絵が手で隠れてしまうと言う人もいますが、自分はずっと絵の具を使って絵を描いてきたので、「描いている感」がより強い液晶ペンタブレットのほうが使っていて楽しいですね。細かい部分を描いている時にも楽しいと思えるかどうかで、モチベーションも変わると思うので、その頃はあまりお金もありませんでしたが、これから液晶ペンタブレットを使ってやる仕事で稼げばいいやという気持で、思い切って買いました。

――現在の作業環境はどのようなものですか?
iMac 21.5インチモデル(2019)にCintiq 13HDを繋いでいます。Cintiq 13HDは市販のノートPCスタンドを使って、立て気味で描いています。顔を被せるような姿勢だと首が痛くなるので、ラフスケッチなどは少しリクライニングしたくらいの姿勢で描きたいですね。作画に使うツールは基本的にAdobe Photoshopで、補助的にAdobe Illustratorを使うことがあるくらいです。学生時代にアカデミックパッケージでAdobe CS5を入手できたことと、デザイン会社での業務がやはりAdobe製品中心だったので、その延長で慣れたツールを使って描いている感じですね。

――今回、Wacom Cintiq Pro 24を使って描かれてみた感想はいかがですか。
やはり画面が大きいのはいいですね。小さい画面で描いていると拡大縮小を繰り返す必要があって、全体のバランスがとりにくかったりするんです。そのままのサイズでほとんど拡大縮小しないで描けたというのは大きいです。同じ拡大率でも、Wacom Cintiq Pro 24だと見える範囲が広がるので、集中して描いている部分以外も把握できるんです。全体が見えることで結果として手数が減り、効率化になることを今回改めて感じました。

し ま ざ き ジ ョ ゼ さ ん の 作 業 環 境

iMac 21.5inch(2019)にCintiq 13HDを接続して使用。Cintiqは市販のノートPCスタンドを使って立て気味に設置している。
作画に使うツールはAdobe Photoshopが基本で、補助的にAdobe Illustratorを使うこともある。
ペンにはハードフェルト芯をセットして描いている。

しまざきジョゼさんのクリエイティブ・スタイル

『いつも一緒だったね。』プライベートワーク(2020)
©しまざきジョゼ

――しまざきさんのイラストはいわゆる「主線なし」といわれる手法ですが、いまの作風になった経緯は?
大学時代は水彩画だったので、線を描いてから色を塗るという工程だったんですけれど、デザイン会社に就職してからはグラフィックデザインに馴染みやすい主線の無い絵を描くことが多くて。その頃にイラストレーターの上杉忠弘さんの絵に出会って、衝撃を受けたんです。こういう絵が描きたいと思うようになり、そこから上杉さんや、海外のコンセプトアーティストの絵を見るようになりました。最初は主線を無くす方法がわからず見様見真似で、普通に描いた主線を塗った後から色トレス的に消していたんですが、それだと絵が薄っぺらく見えてしまうんですよね。

――イラストはどのようなワークフローで描かれているのでしょうか。
構図さえ良ければ絵としてはまず失敗しないので、最初にラフレイアウトで大事な構図を線画で作ってしまったら、あとは塗りの作業で色を使って描いていきます。絵をパッとみた時の印象で大切なのは構図と色の組みあわせで、じっくり見た時に質感が来るので、まず全体に色を置いてしまって、そこから描き込みで情報を増やしたり奥行きを作る作業をしていきます。

――ざっくりとしたブラシ使いで塗っているようで、細かいところまで情報量が込められているのに驚きます。
リアルに見えて豪快にブラシの跡が残っていたりする海外のコンセプトアートのように、精密に描いていないけれど情報が「盛られている」ように見えるというのが個人的にはかっこいいと思っていて。いかにシンプルに描くか、最低限の手数で盛っているように見せるかを考えていますね。ハイディティールで魅せられるほど絵が上手いとも思っていないので、デザインの現場で働いていた時の感覚で画面を作ったほうが見てもらえるんじゃないかとも思っています。

――どのイラストも色が素敵ですが、色の選び方や組み合わせで意識することは何ですか。
ハイコントラストで光を感じる絵が好きなんですけれど、わかりやすく鮮やかでポップな色使いよりも、中間色でもちゃんと光を感じる絵にしたいという思いがあるんです。油絵で、灰色の上にオレンジ色をピッと乗せただけで夕焼けに見えるというような表現が好きで、それは発光レイヤ―とかを使わなくても色だけでできる色彩表現なんですよね。彩度を上げれば鮮やかになるということではなく、色彩でコントラストを作るから鮮やかな部分が鮮やかに見えるみたいな。

――光の表現も、イラストによってそれぞれ違う色の光を感じるようになっていますね。
描こうとするシチュエーションや時間、そこに自分が立った時に感じられるだろう空気みたいなものを考えた時に、どんな色がいちばん心地いいかを考えて色を決めています。基本的には理屈で詰めていくんですけれど、最終的には自分が心地いいかどうかが大きいですね。ラフの段階で最終的な色のイメージも固まっているので、全体の色味の統一などは微調整程度ですむことが殆どですね。

『ただいま。』プライベートワーク(2020)
©しまざきジョゼ

――今回描いていただいたイラストは、どのようなテーマですか。
モネの「日傘をさす女」をモチーフにしつつ、季節の絵を描きたいと思いました。コスモスのような秋っぽい花と、夏の入道雲が見える空を組み合わせて、季節の中間の風みたいなものが感じられる絵にしたかったんです。

――全体の塗りはフラットな印象ですが、よく見ると部分ごとに異なるタッチで表現されています。塗りに使うブラシはどのように使い分けていますか。
基本の色を置くのは、エッジの出るオイルパステル系のブラシで勢いよく塗っていく感じです。遠景になる部分は多少滑らかになる鉛筆系ブラシに切り替えていたりします。ベタに塗っていくとカスレが出たり、細目のラインが途切れたりするブラシなんですが、そのまま綺麗にストロークが出るブラシよりも情報量があって、2値で色が乗るのでグラフィック的にも歯切れがいいんです。雲はハケ目の出るブラシにウェットエッジを追加したもので、空や草むらのタッチは中国のアーティストが使っていたものを真似して作ったカスタムブラシですね。水彩紙みたいな不思議なテクスチャーが出るので絵具を使って描いていると間違われることもあります。

――これまでに描かれた絵を見ると、絵の中に植物を描いていることが多い気がします。
人間よりも植物を描いている時のほうが楽しい気がします。植物は決まった表情がなく、デフォルメの幅がかなり広いので、かなり好きなように描いても植物のあるシチュエーションに置けばちゃんとそれらしく見えるのが面白いですね。それに合わせて影も好きな形にできるので、植物と影は描いていて楽しいですね。

――一枚の絵の中で影が印象的なコントラストを作っていますね。
画面の外に遮蔽物があるという設定にすればどこにでも影を落とすことができますし、上空に雲があるということにすれば手前だけ暗くするようなことも可能なので、影を使うことで画面を作る自由度が高まるんです。絵の中に全て描いていなくても、影にすることでこの上に樹があるということを見ている人もちゃんと理解してくれるんだなということが最近わかってきました。

ワ ン ポ イ ン ト テ ク ニ ッ ク

主線を描かず、色だけで形をとっていくスタイルのしまざきジョゼさん。
ラフ工程で全体の構図を決めるために描いた線画をガイドに、濃淡が出ないフラットな2値ブラシを使って色だけで形をとり、そこから様々な表現ができるカスタムブラシを使いわけ情報を盛っていきます。

※動画では2:27あたりからしまざきジョゼさんが人物の形を描き始める様子を見ることができます。

しまざきジョゼさんのクリエイターズ・ストーリー

『約束は11時』プライベートワーク(2020)
©しまざきジョゼ

――しまざきさんが絵の道に進もうと思われたきっかけは?
もともとマンガやアニメが好きで、ノートにラクガキ程度に絵を描いたりもしていたんですけれど、高校を卒業したらあまり勉強をしたくないという不純な動機で進路に美大を選んだんです。父親が祖父に反対されて美大に行けなかったという話を聞かされていたので興味もありました。名古屋芸術大学のデザイン学科に入学し、最初にひと通り基礎を学んだところでやっぱり絵を描くのが一番楽しいなと思い、2年時にイラスト専攻を選んだという感じなので、ずっと絵を描いてきたというタイプではないんですよ。

――大学でイラストを本格的に初めて、将来は絵を仕事にしていこうと?
卒業後の進路もデザイン会社で、一応は絵も描けるグラフィックデザイナーという形で採用されたので、そもそもイラストレーターを目指そうという気もありませんでした。就職してすぐは趣味の絵を描いている時間もありませんでしたが、そのうち余裕ができると土日で1枚描いてTwitterにアップするような感じで再開して。そのうちに個人的にゲームの背景イラストの制作依頼などをいただくようにもなったのですが、基本的には描いた絵を見てもらえるのが嬉しいだけで、イラストを本業にしようというつもりではなかったです。

――そこからイラストレーターとして活動するようになった経緯は。
会社は4年半勤めて辞めたんですけれど、次の仕事のアテがあったわけでもなくて。ひとまず貯金が尽きるまで遊ぼうというモラトリアム状態を楽しんでいました。一応、出版社へ持ち込みとかもしたんですけれどほとんど手ごたえがなかったので、いつでも再就職する気まんまんでデザイナーとしてのポートフォリオを作っていたくらいです。その一方で時間はあるので以前よりも絵を描いて公開するスパンも短くなって、どんどんTwitterに絵を投稿している内にSNSで観ましたという感じでぼちぼち仕事の依頼が来るようになり。そのおかげでギリギリ生活できてしまうので、モラトリアム期間が延命されてしまうみたいな(笑)。

『アドリブ』(佐藤まどか/あすなろ書房)装画(2019)
©しまざきジョゼ/あすなろ書房

――本人的には職業イラストレーターという意識がないままに仕事が来るようになってしまったみたいな。
最初の頃は自己表現として好き勝手に描ける個人製作と、仕事として描くイラストレーションは文脈が違うということを理解していなくて、依頼を受けてもぜんぜん思う感じに描けないというのがショックだったんです。個人製作なら海の絵を描き始めたら筆が乗ってきて山の絵になったということも許されますけれど、クライアントワークでは最初に決めた着地点に向かって描いていかなければいけないということを2年かけて勉強してきましたね。ラフの時点で完成イメージまで固めて描くというスタイルも、クライアントワークに必要な描き方を自分の制作に取り入れないと仕事をやっていけないと感じたからなんです。

――SNSに投稿された絵がバズったり、お仕事で描かれた絵だったり、最近はしまざきさんの絵を目にする機会が増えてきた印象です。
今年の頭くらいまではすごく暇な時期だったので、もう一度、自分の絵を見直そうと考えたんです。それまではウケそうな色使いとかを狙っていたんですけれど、もっと自分のやりたい表現があるんじゃないかと思って、ウケる絵を描こうとするのをやめて好き勝手に描き始めたんですね。そうやって描いた絵にTwitterで42,000いいねがついて、そこからまた仕事の依頼がくるようになって。会う人会う人から「最近の絵がいいね」と言われて、自分の中でも手ごたえのある変化だったので、見る人にもわかってもらえるんだなと。

――いよいよフリーのイラストレーターになったぞという感じでしょうか。
おかげさまで7月からは全然休みが無いのですが、まだギリギリ生き延びているだけだという感覚はあるので本業イラストレーターですという気分ではないんですよね(笑)。とはいえ、依頼をして下さる方を心配させてもいけないので、仕事の内容については自信を持っているつもりです。ただ、自分で大丈夫だと思った瞬間に大丈夫でなくなる気がするので、油断をしたくないというか。今は来る仕事をなんとか必至にこなしている段階なので、本当に自信を持ってイラストレーターですと名乗れるのは、5年、10年経ってからじゃないかと思っています。

ミニストップ「ハロハロ」PRイラスト(2020)
©しまざきジョゼ/ミニストップ

――SNSなどでの個人製作はこれからも仕事と並行して続けていかれるんですか。
もともとイベントに参加するのが好きで、学生時代から地元のイベントに出展したり、東京に来てからはデザインフェスタやコミティアに参加しているので、そこはこれからもコンスタントに。個人製作は自分のやりたいようにやったものを発表できますし、それを評価してくれる人がいるなら続けていきたいです。今は個人でもどんどん発信できる時代なので、そういったことはやらないともったいないなと。ひとまず個人製作での収入をもっと増やして、生活が安定した状態でクライアントワークをできるようになりたいので、コミティアで壁に配置されるようなサークルを目指したいですね。

――しまざきさんがこれからやってみたい仕事や挑戦したいことはありますか?
やはり駆け出しの頃に目標としていた小説の装画はコンスタントにやっていきたいですが、10年くらい前にはSNSでのPRイラストとか、VTuberのデザインみたいな仕事ができるとは誰も想像していなかったように、これから5年、10年経ったら現在では考えられないようなイラストの使い方が必ず出てくると思うんです。その時に、自分がやってきたことに固執することなく、柔軟に対応できるようでありたいと思っています。

――最後に、しまざきさんにとってペンタブレットとはどのような存在か教えてください。
アナログの絵の具で描いてきた自分にとって、デジタルは着地点ににじり寄っていくように絵を描くことができる反面、淡々とした作業になってしまいがちだと感じます。そこにペンタブレットがあることで、デジタルの作業の中に手を動かして描く楽しさを見出すことができたので、ペンタブレットは自分が絵を描くことを楽しむために必須のアイテムかなと思います。

取材日:2020年9月4日
インタビュー・構成:平岩真輔(Digitalpaint.jp)



画像をクリックすると今回制作した作品をご覧いただけます。

しまざきジョゼ
イラストレーター。名古屋芸術大学デザイン学科卒。グラフィックデザイナー兼イラストレーターとして4年間デザイン事務所に勤めた後、退社。モラトリアム期間中にSNSに投稿していたイラストが好評を得て『サトミとアオゲラ探偵』(松尾由美/ポプラ社刊)など書籍の装画を手掛けるようになる。優しい色使いで描かれる情感あふれる一瞬を切り取ったイラストが注目を集め、活躍の場を増やしている。装画を手掛けた小説『向日葵を手折る』(彩坂美月/実業之日本社刊)が9月18日に発売。

twitter:@jjoze_phine_
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