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マンガ家
星野真

2023年に『ノケモノたちの夜』がアニメ化され、現在は「サンデーうぇぶり」で『竜送りのイサギ』を好評連載中のマンガ家・星野真による「Wacom Cintiq Pro 27」を使ったライブペインディングを公開!(2024年5月30日撮影)

※ブラウザで動画が再生されない場合はYoutubeのワコムチャンネルでご覧ください。

Drawing with Wacom 144 / 星野真 インタビュー

星野真さんのペンタブレット・ヒストリー

『竜送りのイサギ』1巻カバーイラスト(2023)
©星野 真/小学館

――星野さんがデジタルで絵を描き始めたのはいつ頃ですか?
中学2、3年生の頃に、友達みんながお絵描きBBSにはまりだして、でもやっぱりマウスで描くのは難しいねとなって。イラストサイトを見ているうち、上手い人はペンタブレットというものを使っているという事を知ったので、親に頼んでWACOM FAVO(第4世代)を買ってもらったのが初めてのペンタブレットです。ものすごく気に入っていて、絵が上手くなるにはペンのグリップがえぐれるくらい使い込まなければ!と思って、本当にグリップに穴があくまで使い倒しました(笑)。

――かなり使い込まれていたんですね! その後もしばらくFAVOを使われていたのですか?
大学生になって、バイトをしたお金でBambooに買い換えたんです。趣味で同人活動を始めたので、アナログでペン入れした原稿に、デジタルでトーン貼りやベタ塗りをするのに使っていました。それからしばらくアナログとデジタルを併用する期間が続くのですが、就職して絵を描く余裕がなくなり、ペンタブレットもホコリを被っているような状態になってしまい……。再開して本格的にマンガ家を目指し始めてからも、しばらくはスキャンした原稿をBambooを使って仕上げるスタイルでした。

――液晶ペンタブレットを使うようになったのは、どのような経緯でしょうか。
板型のペンタブレットを使っていた頃は、最初からフルデジタルで描くのに苦手意識がありました。ですが、先輩が液晶ペンタブレットを使っているのを見て、これなら全部できるぞ!と思ったんです。働いていて貯金もあったので買うしかないとなって、すぐにCintiq 13HDを手に入れて使い始めました。導入して最初によかったのは、マンガ家の先生のアシスタントに入るようになったときに、そこの現場がすでにフルデジタルになっていたんですよ。アシスタントは作業速度も求められるので、これはもう液晶ペンタブレットじゃないと駄目だと感じたのを覚えています。

――現在の作画環境はどのようなものですか?
DAIVブランドのクリエイター向けPC(CPU:Intel Core i5-9400F/RAM:32GB)に、iiyamaの22インチディスプレイ(ProLite X2283HS)とCintiq 13HDを繋いでいます。作画に使うツールはCLIP STUDIO PAINT EXで、サブデバイスもCLIP STUDIO TABMATEを使っていますが、据え置き型のデバイスと比べて、左手が自由になるのがお気に入りです。プロペンは4本目くらいになりますが、文房具オタクなので木製グリップに変えたりして、自分好みにカスタマイズしていたりします。

――今回、Wacom Cintiq Pro 27を使って描いてみた感想はいかがですか?
あまりにも良すぎたので、ショックでした(笑)。ふだん使っているカスタムブラシを使って描いたのですが、ブラシの細かい質感まではっきり出るのに驚いたんです。このブラシ、ここまで筆っぽかったんだ……みたいな。ペンの反応も速くて、作画中のストレスもないのに、本体まで薄くて発熱もほとんどないんですよ!27インチの大画面で原稿を100%の実寸で見ながら描くことができるのは、確実に仕事のスピードが上がるだろうなと感じました。プロのマンガ家が一度でもWacom Cintiq Pro 27を触ったら、この使い心地が忘れられなくなると思いますよ。

星 野 真 さ ん の 作 業 環 境

デジタルとアナログの双方に対応した星野さんの作業環境。デスク右側にはアナログ作業に使うトレス台が設置されている。
デジタル環境はDAIVのクリエイター向けPC(CPU:Intel Core i5-9400F/RAM:32GB)にCintiq13HDを繋いで使用。プロペンは木製グリップにカスタマイズされている。
サブデバイスのCLIP STUDIO TABMATEのとなりには、デッサン人形や可動フィギュアなど作画の参考になるグッズが置かれ、デスク周りの棚にも歴史関係の書籍など作品を描くのに必用な資料が揃っている。

星野真さんのクリエイティブ・スタイル

『ノケモノたちの夜 フレイムナイト』カバーイラスト(2023)
©星野 真/小学館

――星野さんがカラーイラストを描く時のワークフローを教えてください。
連載初期は扉イラストのラフを何パターンか出すこともありますが、今はほぼ1枚でOKみたいな感じです。カラーの絵は最初からCLIP STUDIOで描き始めて、構図を考えながらポーズのアタリをとり、下描きにレイヤーを重ねてペン入れをしたら、パーツ毎に塗り分けレイヤーを作ります。そこからクリッピングレイヤーを使って影を入れたり、塗り込んだりして、一通り塗り終えたら仕上げに[スクリーン]や[覆い焼き(発光)]で要素を足して、最後に線や紋様など気になる部分を整える感じですね。かなりオーソドックスな描き方だと思います。

――星野さんの絵には、少年マンガらしいかっこよさがあると感じています。マンガのキャラクターを描く時はどんなことを意識していますか?
とにかくキャラクターを覚えてもらわないといけないので、わかりやすさを重視しています。ゲームのキャラクターや単発のイラストの場合は、パーツの数を増やして情報量を足せますが、装飾過多にするとそれだけ作画コストが上がってしまうので。連載が前提のマンガ家は、ある程度、線の数を減らすことを意識していると思います。できるだけシンプルな線で描いて、キャラクターのイメージカラーを作ると、少年マンガの王道に近づけるんですよ。

――作画コストといえば、ドローイングで描いた絵にも日本刀の素材を読み込んで使っていましたね。
動画で描いている様子を見ると、「急に刀が出てきた」みたいに感じると思いますが、毎回、ゼロから描いていたらここまで日本刀を描き込むことはできないですね。作中ではまだ主人公の専用武器みたいな刀が登場していないので、今回の素材はこれまでに描いた普通の刀を素材化したものです。

――連載をするにあたって、自分で素材やカスタムブラシを作られたりするのでしょうか。
ブラシはCLIP STUDIOで公開されているカスタムブラシをいろいろダウンロードしてみて、よかったブラシの設定を自分好みに調整して使っていることが多いですね。今回のドローイングだと線画に「シミペン・改」と「しげGハイブリッド」というカスタムブラシを使っています。「しげG」の方は「しげペン」というブラシを「Gペン」に寄せてカスタマイズしたものですね。デフォルトの「Gペン」だと、自分にはちょっと綺麗すぎるんです。

『竜送りのイサギ』第6話扉イラスト(2023)
©星野 真/小学館

――実際に描かれた線を見ると、少し風合いのある紙につけペンで描いているような質感がありますね。
アナログのタッチを感じられるような、ざらつきが欲しいんです。紙に描いた原稿をスキャンすると、小さなゴミとかも映り込んでしまうことがありますよね。普通はレタッチして綺麗に消してしまうんですけれど、ゴミも何もない状態にすると、本来の原稿に乗っていた数キロバイトぶんの情報が失われているんじゃないかと感じていて。実際に紙に刷って読んだときに気になるほどのゴミでなければ、うっすら痕跡が残っていてもいいと思うんですよ。自分はマンガを描いている時に、たまにアナログの万年筆で描いたコマを入れたりするのですが、それは無意識のノイズの重要性を意識しているからなんです。

――連載中の『竜送りのイサギ』(小学館)は、イギリスが舞台の前作とはうってかわって和風ファンタジー活劇です。新しい作品を作る時は、どのように発想されるのでしょうか。
まだ『竜送りのイサギ』のアイデアも何もない頃、新連載のネタを考えながらキャラクター絵を描いていると、長髪でちょっとぶっきらぼうな少年ばかりになってしまったんです。それなら自分が描いてしまうタイプの主人公に、世界観のほうを合わせていこうと思いまして。まず主人公のイサギのキャラクターを作り、そこから世界観や物語の動機を考えていったら、上手くはまったんです。もともと歴史が好きで大学でも史学を専攻していたので、どんな資料にあたれば、欲しい情報が得られるかの体系的な知識が身についていたんですね。おかげで世界観のイメージがぼんやりせずに作ることができたので、勉強していてよかったと思いました(笑)。

――ファンタジーで世界観に説得力を持たせるには、背景や小道具の描写も重要になりますよね。その部分で星野さんがこだわっているところはありますか?
万年筆に興味をもつようになってから、派生して漆塗りの魅力に気がついて、今までスルーしていた日本の伝統工芸的なものを見て楽しめるようになったんです。和風ファンタジーの世界観なので、そういうものを作品の中に活かせるのが楽しいですね。背景ひとつとっても、「東海道五十三次」みたいな、世界観を描くモデルになる素晴らしい絵が大量にあるので、そういう資料を参考にしながら、イサギ達が歩く街道沿いの風景を描いたりしています。

――キャラクターの衣装も気になるところです。基本的に和装ですが、ややパンツスタイルのようになっていますよね?
最初は主人公のイサギに袴をはかせていたのですが、思ったより女の子と勘違いされることが多くて。袴がスカートっぽく感じるのかなと思って、今はわりとズボンっぽいイメージで描いています。アクションシーンもその方がカッコいいポーズが描けるんですよね。ただ、モブキャラは割と時代観に沿った普通の服装にしています。メインキャラクターだけ変わった格好にすることで、自動的にキャラが目立ってくれるというマンガ的なメリットがあったりします。

『竜送りのイサギ』(2023)
©星野 真/小学館

――星野さんのマンガは、シリアスなドラマ展開を描きながら自然にギャグシーンを挟み込むさじ加減が絶妙で、それが読み口に現れている気がします。
よくそう言っていただくのですが、絵柄があまり劇画よりじゃないので、自分としてはそこまでシリアスなものを描いていると思っていないんです。ただギャグを入れるのが楽しいから入れているだけで、展開が重いからバランスをとろうみたいな意識はないんですよね。真剣にストーリーを描いていく中で、そのキャラクターのいいところを出そうと思ったら、自然と今の塩梅になっていたという感じです。

――主役格のキャラクター2人の、白と黒のコントラストもモノクロ原稿ならではのよさがあります。
そこはかなり意識的にやっている部分で、白と黒をつかってわかりやすいコンビ感を出そうと考えました。これは背景もそうで、実は、連載序盤は背景も白い部分を多めにしているんですよ。何もない死の島で育った主人公が、外の世界を知っていくのに合わせて、だんだん色がついていくようなイメージを狙って表現していました。

――マンガやイラストを描く上で、影響を受けたクリエイターはいますか?
歴史ものに目覚めた中高生の頃は、『十二国記』(小野不由美/新潮社)のイラストを描かれている山田章博先生と、マンガ家の皇なつき先生の絵に憧れていました。和と中の雰囲気を併せ持つ筆のタッチと、写実的にも関わらず、アニメ的な華やかさのある絵柄がすごく好きなんですよ。ほか、CLAMPのもこな先生の絵柄のバリエーションの豊富さと、圧倒的に華のある画面づくりも憧れです。ただ、模写はあまり好きではなく、この絵柄になりたいな……と思いながらうっとり眺めていただけでした(笑)。マンガ的な部分だと、やはり荒川弘先生の『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス刊)の存在が大きいです。骨太で隙のないストーリーと、緻密に練られた構成の美しさに憧れますね。

ワ ン ポ イ ン ト テ ク ニ ッ ク

複雑なデザインや、よく登場するアイテムなどは描いたものをCLIP STUDIO PAINTに素材として登録すると、必要に応じて素材パレットからレイヤー上に読み込むことができる。
和風ファンタジーを描いている星野さんは、ディテールまで描き込んだ日本刀を素材化してイラストに活用している。下描きでアタリをつけ、線画の工程で素材を読み込んで位置を調整する。必要に応じて加筆することで、周りの線画と馴染ませられる。

※動画では3:45から星野さんが素材を使って作画する工程を見ることができます。

星野真さんのクリエイターズ・ストーリー

『竜送りのイサギ』(2023)
©星野 真/小学館

――星野さんがマンガ家になりたいと思ったのはいつ頃ですか?
幼稚園の七夕の短冊にはもう「マンガ家になりたい」と書いてあったので、自分の中では当たり前のことすぎて、改めて聞かれると困ってしまうんです(笑)。親との約束で、大学卒業後はいったん銀行に就職してマンガを描くことから離れていたので、当時は「マンガに邁進するはずだったのに、自分は安易な就職を選んでしまった」という謎のコンプレックスを抱えていました……。

――そこからどのようにして、マンガ家の道に進まれたのでしょうか。
両親との約束通り、3年間働いてから会社を辞めて、いよいよマンガ家になるぞ!と再びマンガを描き始めて。昔は、新人賞で大賞を獲ったり投稿作がいきなり連載になる……というような華々しいマンガ家デビューを夢見ていましたが、自分は全くそういうタイプではなくて。家にこもってコツコツと持ち込みするための原稿を描いていたら、「週刊少年サンデー」で担当がつくことになりました。

――念願のマンガ家デビューをしてからの、新人期間はいかがでしたか?
新人コミック大賞で佳作をいただいて、デビュー読切の『彼の星よりも高く』を描いた後は、なかなかネームが通らない時期が続きまして。とにかくやる気だけでも見せなければと思って、一度に複数ネームを出すことにしたんです。当時一番描きたかった戦記物風のネームと合わせて、1本だけふざけたマンガのネームを渡したら、「これを連載にしよう」と言われて……。まさかの、そっちが通ってしまいました。ただいざ放り込まれてみると人間なんとかなるもので、Webで1話あたり12ページとはいえ、週刊連載の形で最後までやりきれました。

――『男子の品格』(小学館・サンデーうぇぶり掲載)ですね。その頃には、ゲームのアンソロジーにも参加していたりしますよね。
初の週刊連載が終わって、疲れた心を癒すために始めた『Fate/Grand Order』にハマって 描いたイラストをTwitterに投稿していたらありがたくもたくさんの方の目に留まり、商業アンソロジーに声をかけてもらいました。いろいろあって創作に自信を失いかけていた時期だったので、二次創作とはいえ、評価してもらえたことに救われました。それで再起して、やはり自分は連載マンガをやりたいんだという思いで「ノケモノたちの夜」の原型になるショートマンガをTwitter(現X)に発表したら、ありがたいことにバズってくれて。それを元に連載用ネームを作って、「週刊少年サンデー」(小学館)本誌での連載がスタートしました。

『竜送りのイサギ』2巻カバーイラスト(2024)
©星野 真/小学館

――『ノケモノたちの夜』(小学館)は、2022年にテレビアニメ化もされましたね。
本当にありがたいの一言しかありません。アニメの制作陣から「完結までアニメでやりましょう」と言っていただいたのは、本当に救われる思いがして。読者さんも喜んでくれたので、もう一生、葦プロさんの方角に足を向けて寝られませんね。あの時、自分の作品を信じてくれた方々のためにも、面白いマンガを描いていきたいんです。

――現在は「サンデーうぇぶり」(小学館)で『竜送りのイサギ』を連載中ですが、手応えはいかがですか?
デビューしてからこれまでの経験があるので、今なら自分の得意分野である歴史を活かしたマンガを描けるぞ!という思いで始めたのですが、マンガを描いていて今が一番楽しいですね。早く読者さんに次の回を読んでもらいたくて、更新日が待ち遠しいんです。感想のコメントもただただ嬉しくて、見る度に幸福度がMAXになっています。

――星野さんがこの先やってみたいと思っていることがあれば、教えてください。
大好きな文房具とコラボがしたいです!特に万年筆に夢中なので、作品をイメージした万年筆を作れたら嬉しいですね。インクはかなり小ロットからいけるらしいので、キャラクターイメージのインクとかできるといいなと。あとは漆塗りで竜の絵皿を作ってみたいとか……自分の愛する業界とコラボできて、関わってくれた人にも喜んでもらうのが夢なので、そのためにも自分自身が頑張らねばと思っています。

――最後に、星野さんにとってワコムのペンタブレットとはどのような存在ですか?
もしこれが無かったら、原稿を描くのに時間がかかりすぎて、今みたいな連載はできないかもしれないです。このデバイスで仕事の根底が変わって、不可能なはずのものを可能にしてくれたので、ワコムの液晶ペンタブレットはいつも自分を引き上げてくれる存在だと思っています。

取材日:2024年5月31日
インタビュー・構成:平岩真輔(Digitalpaint.jp)



画像をクリックすると今回制作した作品をご覧いただけます。

星野真(ほしの まこと)
マンガ家。2016年『記憶の海を紡げ』で小学館新人コミック大賞・少年部門佳作を受賞、読切『彼の海よりも高く』(「週刊少年サンデーS」2018年1月号)でデビュー。不老不死の悪魔マルバスと天涯孤独の少女ウィステリアの交流を描く『ノケモノたちの夜』が2023年にアニメ化されている。現在は「サンデーうぇぶり」にて和風ファンタジー活劇『竜送りのイサギ』を連載中。

twitter:@MKT_0220
サンデーうぇぶり『竜送りのイサギ』

高い色精度と高解像度のディスプレイと、新しいペンテクノロジーWacom Pro Pen 3を搭載。クリエイターと作品の間で交わされる共鳴を存分に描きつくす、ワコムの最先端液晶ペンタブレットです。

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