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マンガ家
大童澄瞳

独特なタッチと世界観で、アニメ制作に燃える3人の女子高生を描くマンガ『映像研には手を出すな!』が話題のマンガ家、大童澄瞳さんによる液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 24」を使ったライブペインティングを公開!(2018年9月12日撮影)

Drawing with Wacom 088 / 大童澄瞳 インタビュー

『映像研には手を出すな!』第1集表紙イラスト
©大童澄瞳/小学館

――「月刊!スピリッツ」で連載中の『映像研には手を出すな!』が話題ですが、大童さんはそもそもマンガ家になろうとは思っていなかったんですよね。
中学生になる頃に『交響詩篇エウレカセブン』を観て衝撃を受けたり、アニメーターの吉田健一さん、りょーちもさんのWebサイトとかを見たりした影響で、自分でもFlashアニメやGIFアニメを作り始めたんです。高校では、映画部に入って実写映画を撮っていたので、完全に映像的な土台しかなかったですね。東洋美術学校の絵画科に入ったのも、筆が遅いのでアニメーターにはなれないかもしれないけれど、せめて絵コンテを上手く描けるくらいの画力を得られればと思ったからなので。

――大童さんとしては、ずっとアニメーションのほうを向いていたんですね。
このままアニメーションを作らずには死ねないと思っていたのですが、卒業が迫り、いよいよ進路選択を迫られた時に、僕は臆病なので、そのまま就職するのも、アニメ業界に飛び込むのも怖くて。2年間のモラトリアム期間をもらって自主制作でアニメを作る決心をしたんです。それまで専門的な勉強をしていなかったのに、試しにちょっと走るくらいの動画を描いてみたら、思いのほか上手くできてしまったのも後押しになりました。そこから毎日ひとりで動画を描き続けていたのですが、描けるのは1日3秒くらいで、2年たっても完成せずに断念することに……。

――そこからマンガ家としてデビューすることになったのは?
アニメーションを作る中で、ずっとアイデアノートみたいなものをつけていたんです。人名のネタとか、おもしろいキーワードとかを列挙して、その中にフィクションの物語を書き留めているものが何本かあり、マンガもその延長でした。アニメーションを断念して、このままでは何も完成させられないまま終わってしまうと思い、マンガの形で描いていた物語に加筆して『ウサゴギ』という同人誌を作ってCOMITIA 111に参加したら、小学館の編集者に「連載に興味はありませんか」と名刺を渡されたんです。このまま自分の作ったものが箸にも棒にも掛からなければ、おとなしく就職しようと思っていたので、詐欺でもなんでもいいから行ってみようと思い、編集部に打ち合わせに行ったところ、「月刊!スピリッツ」でデビューを目指して連載企画を作ることになりました。

同人誌『ウサゴギ』より
©大童澄瞳

――『映像研には手を出すな!』の形ができたのはいつ頃だったんですか。
最初に持っていったのは『僕は漫画家になれない』という短編ネームで、ぜんぜん映像研の話ではなくて。打ち合わせでいろいろアイデアを出す中で、オタクで内気な小さい女の子と、能力の高い何者かという2人組のキャラ配置を作り、これで行こうということになって。そこから1年半くらいかけて『映像研には手を出すな!』の企画を作っていく過程で、初めてちゃんとしたマンガの描き方も教わりました。

――デジタルで絵を描くようになられたのはいつ頃からですか。
小学生の頃ですね。姉も幼い頃から絵を描くのが好きな人で、よくお絵描きBBSで絵を描いたんです。僕はあまりネットで描いたりはしなかったんですけれど、姉が使っていない間にPhotoshopとペンタブレットでラクガキをするようになったのが最初だと思います。その内にお下がりで自分専用のPCを手に入れて、中学生の頃はそれでイラストばかり描いていましたね。高校の映画部に入ってからしばらくは、学校のPCで映像編集をしていたんですけれど、あまりいい環境ではなかったので、親に自分には新しいPCが必要なのだと訴えてiMacを買ってもらいました。

――最初からペンタブレットを使っていたんですね。
確か姉が持っていたのがFAVO(F-401)で、その後、自分専用のPCを使うようになってからも歴代のFAVOやBambooを使い続けていました。ペンタブレットを使うと細かい操作がしやすいので、映像編集もやりやすかったですね。

――マンガも最初からフルデジタルで描かれているんですか。
紙でネームを描いたのは同人誌を作った時が最後ですね。同人誌の頃は、iMacでBoot Campを使ってSAIでイラストを描いていたので、原稿もSAIを使って仕上げていました。小学館でマンガを描くことが決まってから、本格的にやるためにCLIP STUDIO PAINT EXを導入して、ネームからフルデジタルで描いています。

『映像研には手を出すな!』第1話カラー見開き
©大童澄瞳/小学館

――現在の作画環境はどのような感じでしょうか。
『映像研には手を出すな!』の連載準備中、第1話の作画にはいる頃にiMacが壊れて、今使っているWindows PCに買い替えました。ペンタブレットは、しばらくIntuos5を使っていたのですが、連載を続けているうちに、作画スピードが追い付かないと感じて、いろいろ吟味した末、Cintiq 22HD touchを導入しました。左手はショートカット用にLogicoolのG13rというゲーミングコントローラーを使っています。芯はIntuosの時には色々試していましたが、Cintiqを使うようになってからは標準芯を使ってますね。あまり筆圧が強くないので、ぜんぜん交換していません。

――実際、液晶ペンタブレットを使うようになって、作画スピードに変化はありましたか。
思い通りの線を描くために繰り返すことがなくなったので、作画スピードは上がりました。僕は線を描くのにほとんど定規を使わないのですが、手を繊細にコントロールするのも苦手で、画面と手元が離れている板のペンタブレットで直線を描くのがかなり難しかったんです。その点、液晶ペンタブレットだと画面上の描きたい線の長さと腕のストロークの大きさが同じで、直観的に狂いがないのでコントロールしやすく、フリーハンドでの直線がものすごく描きやすくなりました。

――今回、液晶ペンタブレットWacom Cintiq Pro 24を使って描いてみた感想はいかがですか。
反応速度が速いのと、視差がかなり少なくなっていることに使いやすさを感じます。4Kの液晶画面はドットが見えないのがいいところですが、繊細に描き込んでいく段階になるともっと効いてくるはずなので、もう少し使いこんでみたいと思いました。細かい線を描くのに、必要以上に拡大縮小をしなくていいのもいいですね。拡大しなくても自分の描いている絵の粗が見えるのは利点です。

『映像研には手を出すな!』より
©大童澄瞳/小学館

――マンガを描く上で、高解像度の液晶ペンタブレットは有効でしょうか。
低解像度の環境で拡大しながらマンガを描いていると、どうしても大きい顔のコマが増えてしまうんです。読者がマンガを読む時に、キャラクターの顔だけではなく、どこに人が立っているとかでも注目するポイントが変わってくるので、画面をレイアウトすることはすごく重要ですね。拡大して描くとレイアウトで導くべき人間のサイズ感がチェックできないので、そのままのサイズで描けることの効果は本当に大きいです。マンガの設計図であるネームの段階でしっかりコントロールできればいいんですが、連載で〆切に追われていると、ネームにちゃんと絵を入れる余裕がなくなるので、作画時点で失敗に気がついたり、印刷されたものを見てダメだったと思うこともあります。高解像度の液晶ペンタブレットなら、1コマの密度と1ページの密度を同時に見渡すことができるので失敗も減りそうですね。

――大童さんの原稿は、すごくフラットな描線とベタの少なさが特徴的ですよね。
そもそもマンガの常識が無かったのと、絵画では完全に黒という部分はほとんどなかったので、ベタの使い方がよくわからないんです。編集から全体がグレーっぽくぼんやりするので黒ベタを入れて欲しいと言われるんですけど、自分の中ではそれは画面内のコントラストの問題であって、黒を使えばいいという話ではないと思っているんです。その解決法を実践してみせるだけの余裕も無いんですけれど、デスクトップで見ている絵が正解で、モノクロ2値のトーンでもグレースケールでもそれがコントロールできていればいいはずです。

ワ ン ポ イ ン ト テ ク ニ ッ ク

大童さんが今回のイラストを描くために使ったカスタムブラシ。設定で入り抜きをオフにしているため線の強弱は無く、動画でも描く部分にあわせてブラシサイズをツールパレットから選択しながら描いているのが分かる。普段のマンガ原稿に使っているのも、入り抜きやアンチエイリアスを無くした鉛筆ベースのカスタムブラシ。線の表情よりレイアウトで動きを表現する大童さんのスタイルが、ブラシ設定にも現れている。

――線を描くブラシは濃淡や抑揚のない設定で使っていますよね。
線はものすごくフラットな設定のペンを使って描いています。入り抜きのある鋭利な線があまり好きでないので、とにかく線に強弱のつかない設定で描いています。自分の見てきたものの影響だと思いますが、劇画タイプの線が僕の中にはないので、線の強弱とかではなく、シルエットとフォルムでとらえる絵が好きなんです。ペン系のツールで、常に同じ太さの線が引けるというのはデジタルを使う強みの一つですね。

『映像研には手を出すな!』より
©大童澄瞳/小学館

――『映像研には手を出すな!』の背景も独特の世界観をもっていますが、今回描いていただいたイラストでも背景から描き始められました。
背景はストーリーを産み出すし、キャラクター性も高めるので、どんな場所に居るのかはすごく重要なんです。ただ部屋で女の子のキャラクターが手を振っているだけなら、思わせぶりな絵にはなるかもしれませんが、その真実味はその他の物の描き込みでしか出せません。背景や持ち物の描き込みや、そこに盛り込まれた設定の数がリアリティに直結するので、極端な話、キャラクターのビジュアルは、適当に自分好みの女の子を描いておけばいいんです。

――設定といえば、『映像研には手を出すな!』の中に描かれる空想シーンのメカ設定も魅力的ですね。
メカや乗り物の設定は、嘘にならない、いいわけができるような造形を目指しています。ある部分ではトンデモ科学みたいな技術を盛り込みつつ、現実に必要な要素はいれておかなければいけない。あるいは、必要なものがついていないとしたら、なぜついていないのかということをちゃんと考えて描きたいと思っています。だから、ひとつメカを描くなら、ちゃんとディティールを調べて描かないといけないんです。

『映像研には手を出すな!』第3集表紙イラスト
©大童澄瞳/小学館

――初めてちゃんとマンガを描いて、初連載にしてブロスコミックアワード2017大賞を受賞、マンガ大賞2018にもノミネートされるなど快進撃を続けていますが、ご自身としてはどのような感触をお持ちですか?
最初の頃は、「きたきた!」という感じでした。これだけ変なマンガを、こんな感じで描いていれば、誰かが「おっ」と思ってくれるだろうというのはあったのですが、そこから先が難しくて。それまでずっと我流でやってきたから、何かセオリーやメソッドがあるわけでもなく、何が読者の琴線に触れたのかは推測しかできない。ずっと描いていく中で、成功を繰り返すのは難しいじゃないですか。そもそもそれを再現する必要があるのかということもありますし。

――お金のことばかり考えている金森氏みたいな風変りなキャラクターを支持してくれる読者もいるわけですよね。
女の子がみんなでドジをしながら、仲良く和気あいあいやっている物語でなくても、読者に受け入れられるだろうという確信はあったのですが、それを描いていった先に、どの方向にコントロールしていけばいいのかは知らないんです。だからといってそこで読者の反応とか空気を見ながら描くのも違うので、「読者の期待を裏切らないように」みたいな感じが出てくるのが、いちばん邪魔で。自分の描きたいように描いて、読者を無視することが読者のためになるはずなのに、いまの成功を維持しないといけないというのは難しい。これだけ癖があるマンガを広げられるのは、編集の手腕としかいいようがないので、最初に自分とは異なる経験が豊富な編集者と組むことができたのはよかったと思っています。

――最後に、大童さんにとってペンタブレットとはどのような存在か、教えてください。
「道具」ですね。この先、液晶ペンタブレットを使わなくなることは無いと思いますが、まだまだ全然満足していないので、サイズ、解像度、視差、厚さ、色など、さらに進化して欲しいです。たぶん目指すところはよりアナログに近づくことで、電子化された多機能なペンと原稿用紙というのが到達点だと思います。液晶ペンタブレット以外にもっといいものが出てくるとしたら、VRくらいしか想像できないので、ワコムには期待しています。

取材日:2018年9月27日
インタビュー・構成:平岩真輔(Digitalpaint.jp)



画像をクリックすると今回制作した作品をご覧いただけます。

大童澄瞳
1993年神奈川県生まれ。高校では映画部に所属。東洋美術学校絵画科卒業後、独学でアニメーション制作を行う。その後、漫画を描き始め2015年、同人誌即売会COMITIA 111に出品した同人誌『ウサゴギ』を手にした編集社に声をかけられ、「月刊!スピリッツ」(小学館)2016年9月号にて『映像研には手を出すな!』で連載デビューを果たす。繊細な描写で描かれる独特の世界観はクリエイターからの人気も高く、初連載にして「ブロスコミックアワード2017」大賞、「俺マン2017」1位を獲得、『このマンガがすごい!2018』『THE BEST MANGA 2018 このマンガを読め!』に上位ノミネートされるなど、数多くのファンを魅了している。『映像研には手を出すな!』単行本第4集は2019年2月末発売予定。

⇒ twitter:@dennnou319"

作品との一体感を保ちながらダイナミックに制作できるWacom Cintiq Pro 24は世界トップクラスの色精度とペンの追従性を実現するプレミアムな4K対応の液晶ペンタブレットです。

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