<株式会社ノーヴォ/Animator Space Tokyo>
「デジタル配信時代に活躍できる新たなアニメクリエーターを増やす」という企業理念のもと2020年1月に設立。若手アニメーターをはじめデジタルに対応する次世代クリエイターとのネットワークを強みとし、プロモーション用コンテンツからアニメ作品まで、高品質なアニメコンテンツの制作・提供を行う。アニメ業界のデジタル人材が主体的に集まれる場を作るべくAinmator Space Tokyoを設立。代表の宇田さんは「ペンギン・ハイウェイ」や「泣きたい私は猫をかぶる」等を制作したアニメーション制作会社スタジオコロリドの創業者でもある。
<リトルビット株式会社/Animator Space Tokyo>
「ITでアニメ制作をイイ感じにします」をテーマに、アニメーションスタジオを中心にスタジオ構築~保守を行う。サーバーやネットワークなどのインフラに限らず、クリエイター向けPCや機材の選定、システム開発も行えることを強みとする。株式会社ノーヴォとともに新しいアニメーション制作ワークフローの構築を模索中。Animator Space Tokyoではスタジオ運営を担当。
今回は新会社で新たなチャレンジに取り組む中、本作品の監督も務める宇田英男さんとリトルビットのエンジニア、小町直さんにお話をお伺いしました。
使用している製品
- Wacom Cintiq 16
- Wacom One 液晶ペンタブレット 13
インタビュー
Q1. 製品の利用方法や使用感はいかがですか?
Animator Space Tokyo(AST)はクリエイター自身が作りたいものを作る場所として、いろいろな機材を実際に試して、自分に合った機材を探してほしいという思いでペンタブレットはもちろん、そのほかにもたくさんの機材を置いています。
例えばデジタル制作に取り組んでみたいという思いはあるのだけれども、どうやって進めてみたらいいかわからないとか、イラストは描けるけれど、アニメとなるとハードルが高そうと思っていたりなど、そんな思いを抱えた人たちに来ていただき、使いながら学び、かつ作品を創り上げていくという場所として提供しています。デジタルツールは使わないとわからないこともあるし、実際に使ってみることで、アニメにも挑戦してみたいというような予想以上にモチベーションが高まり、チャレンジを体感してもらえるようになれば良いと思っています。
Q2. ペンタブレットを導入するメリットはなんでしょう?
アニメ業界は紙に鉛筆が基本で、これらがデジタル化されることでのメリットは管理のしやすさにあると思います。また、液タブって言っても実は機械が描いてくれるわけではなく、自分で描かなければならないのでやってることはとってもアナログ。デジタルだと紙を届けたりなどの物理的な間がなくなり、その分制作的なやりとりが早くなるだけであって、描くスピードは変わらないんですよね(笑)。
液タブで描くこと=デジタル、ということじゃなく、デジタルであれば描くだけでなく、彩色して、撮影して編集や演出を入れてなど、自分のやりたいことを自分で責任をもってやってみることで選択肢も広がるし、自分のスキルもあがっていくはずです。例えばですが、絵を描かない人でもアニメを作れる可能性はあるだろうし、いろいろなやり方をデジタルで可能性を広げていけるのではと思っています。
また、デジタルであれば、こういう状況下でもオンラインミーティングでの情報共有やホワイトボードなどを活用すればしっかりとミーティングできてしまう。
いろいろな機材を選ぶことができるので、リーズナブルにまずはトライしてみるでもいいだろうし、自分の能力を高めるためのモチベーションになる機材を導入することもできる、いい時代になっているなと思っています。ただ、液タブは買ってみて失敗…だと、大分ショックが大きいので、試してみるというのは大事だと思っています。
Q3. 作品の見て欲しいポイントはどこでしょう?
アニメ「青い羽みつけた!」
元々のコンセプトとして、Unreal Engineという3D制作プラットフォームを使って作品を作ってみたいという思いがきっかけでした。ただ、ルック(見た目や雰囲気)は日本タッチのアニメで、子ども向け、だけど裏(制作)では業界で誰もやったことがない最新の技術にチャレンジしてみようと思って制作しています。
メインで使っているのはBlackmagic DesignのDaVinci Resolveで、編集、カラーコレクション、VFX、モーショングラフィックス、オーディオポストプロダクションをひとつのソフトウェア上でできるアプリです。
ビジュアルエフェクトや合成、アニメーション、3D ができるFusion がDaVinci Resolveに組みこまれており、コンポジット(合成/撮影)した各カットをそのまま編集できるような仕組みにして制作しています。 今まで、DaVinci Resolveで撮影から編集まで行ったアニメ作品は、CM以外にはなかったので、今回、4分×6本のアニメ1話分にあたる24分をこの2つのアプリケーションでポストプロダクションまでやり切りたいと思ってチャレンジしている作品です。
現状のAfter Effectsで行うアニメフローだとカットごとに編集の方にデータを渡しています。そうすると書き出しにも時間がかかるし、今度は書き出したものを送るのにも時間がかかってしまう。データのやり取りが頻繁に発生するフローなので、書き出しや受け渡しの時間がなくなればもっとスムーズになるんじゃないかということが今回のトライのきっかけでもあります。
ただ、実際に制作する上では、これがないとできないというハードルがいくつかありました。
例えばアニメのタイムシートの役割。アニメは1秒間を24枚で構成していますが、絵によっては2コマ続いたり、3コマ続いたりというのを考えて、タイムシートで記し、その印を目安にコンポジット(撮影)する際、コマの絵は1つしかもらわないけれど、タイムシートを見て2コマ続けたりします。この機能がFusionにはなかったので、CLIP STUDIO PAINTでデジタルタイムシートを作り、それをFusion で読み込んで、各コマの絵に対してキーフレームを打っていくようなことをしました。この部分を橋渡しするScriptをプログラムして、タイムシートを展開するという新しいチャレンジをしています。
こういうデジタルだからできる新しい制作のワークフローもあってもいいなと思っています。
こんなチャレンジを繰り広げている作品ではありますが、見る人、特に子どもたちにはシンプルに楽しんでもらい、この裏では職人やクリエイターがどんなことを考えているのかというのに興味を持つ人たちが出てきてくれたらいいなと思っています。作品のテーマとしては好奇心、きれいな青い羽を拾うことからその羽の持ち主を探しに冒険をする中で子ども達が新たな世界を知っていくという普遍的なテーマです。そんな普遍的なテーマを最先端技術を駆使して、普通のアニメとは違う作り方でやっているんだということに興味のある人がどんどんチャレンジしていくきっかけになる作品となり、魅力を感じていただけるといいなと思っています。
アニメ「青い羽みつけた!」
公式Twitter @aoihanejp
dアニメストア他にて4月26日(月)より配信決定。
出演:森なな子、遠藤璃菜、杉田智和
監督/プロデューサー:宇田英男
企画:Noovo Inc.
制作:Noovo Inc. / pH studio Inc.
製作:青い羽みつけた!製作委員会
使用している製品は「Wacom Cintiq 16」!
使用している製品は「Wacom One 液晶ペンタブレット 13」!
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