イラストテクニック第136回/蒼天
第136回は、蒼天さんの登場です!SAI、Photoshop CS6を使ったイラスト作成過程を紹介します。
蒼天イラストレーター
キャラクターイラスト・アイテム・背景など色々とお仕事をしています。
ファンタジー系・歴史系などジャンルも様々で楽しく描いています。
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各項目のサムネイルをクリックすると、制作画面のスクリーンショットか、拡大画像を見ることができます。
雰囲気が決まったらラフに進みます。大まかなラフで気になった部分・思い切って削除する部分を決めます。
詳しく絵の方向性を決めたら、色もおいていきます。
ここの作業はラフなのでざっくりな線で描いていきます。
顔の中身(目・眉・鼻・口)だけは別レイヤーで作成し、他の箇所に比べてきちんと描き込んでおきます。
この時描いた顔の中身をそのまま彩色で使用します。
線画
ラフの上に新規レイヤーを作り、白色で塗りつぶし不透明度を88%ぐらいに設定します。
さらにその上に新規フォルダ(「キャラ」フォルダーとします)を作り、その中にまた新規レイヤーを作ってキャラクターのみの線画を描いていきます。
この時、顔の中身(目・眉・鼻・口)は描きません。
細かい装飾の場合はキャラクターから装飾のレイヤーを分けて描いたりもします。
今回は「線画」のレイヤーの他、「帯紐」(帯紐中央黒くて太い紐部分)と分けました。
顔の中身は、ラフの時に分けて描いた顔のレイヤーを複製し、「キャラ」フォルダの中に一緒に入れます。
(画面内にある「★顔」レイヤーはラフの時に描いた顔の中身を複製したものです)
下塗りのパーツ分けをする前に準備をします。
一度、作業ソフトをPhotoshopに切り替えます。そして「線画」レイヤーの下に新規レイヤーを作ります。
自動選択ツールでキャラの外側をすべて選択し、[選択範囲]→[選択範囲を反転]させます。
次に[編集]→[塗りつぶし]でキャラを塗りつぶします。ここで保存しSAIに戻ります。
(Photoshopの方が選択範囲を細かく読み取ってくれるため、Photoshopで行いましたが、SAIの選択範囲でも可能です)
SAIでの作業です。先ほどPhotoshopで作ったキャラクターを塗りつぶした部分を選択範囲で選択し、「線画」レイヤーの下に新規レイヤーを作ります。その新規レイヤーを選択して[レイヤーマスクの新規制作]ボタンを押します。
これでキャラクター部分のマスクが完成します。
パーツ分け
キャラクター部分のマスクを使い、パーツ分けをします。
マスクレイヤーで奥にある髪を塗り、その下に新規レイヤーを作り下のレイヤーに転写させます。そして「髪奥」とレイヤーに名前を付けます。
同様に肌などの各パーツも分けて作っていきます。
マスクを作ってあるので、人物の外側に色がはみ出すことはありません。
これでダイナミックに塗っても大丈夫です。
星空の作成
ソフトをPhotoshopに切り替え、夜空に星を描きます。
空と雲の間に新規レイヤーを作り、星を描き込みます。
1つ1つ点を描くと大変なのでPhotoshopの機能を使います。
まずブラシを選択し、星に使えそうなブラシ(円形であれば何でも大丈夫です)を選択します。
紅葉の作成
これもPhotoshopでの作業です。
キャラの足元に紅葉を敷き詰めます。自作の紅葉ブラシを使うので、描き方は星の時と似ています。新規レイヤーを作り、紅葉ブラシを選択し、
<シェイプ>
サイズのジッター:82%
最小の直系:100%
角度のジッター:16%
真円率のジッター:0%
<散布>
散布:378%
数:1
数のジッター:31%
<その他>
不透明度のジッター:32%
インク流量のジッター:47%
という設定にします。
「濃い赤の紅葉」「赤い紅葉」「濃い黄色の紅葉」「明るい黄色の紅葉」と4層つくり、見えにくい場所は筆で輪郭線を描いてあげます。
ススキの作成
Photoshopでの作業です。
ススキも紅葉同様、自作ブラシを使って描きます。
新規レイヤーを加え、自作のススキブラシを選択、
<その他>
不透明度のジッター:0%
インク流量のジッター:47%
にあわせ、ブラシの角度を変えながら描いていきます。
ブラシの角度は画像内にある右端の円をいじると変えられます。
キャラ塗り
SAIでキャラを肌から塗っていきます。
「肌」レイヤーを選択し、不透明度保護にチェックを入れます。
ここで使用する筆は自分で数値を調整した自作の筆を使います。
塗り終わったら[肌]レイヤーの上に新規レイヤーを作ります。
[下のレイヤーにクリッピング]にチェックを入れ、濃い紫色で塗りつぶし、レイヤーモードを[オーバーレイ]にして色味調整をします。
(※以後この作業は、「新規レイヤー」⇒クリッピングと記載します)
他の箇所も塗っていきいます。
基本は肌と同じく各パーツのレイヤーに不透明度保護にチェックを入れ塗っていきます。
グラデーションをかけたり試しに塗ってみたいときは、上に[新規レイヤー⇒クリッピング]を活用し、そのレイヤーに塗っていきます。
顔の中を塗っていきます。
ラフ時に別レイヤーで描いておいた顔レイヤーを「肌」と「髪前」の間に持ってきます。
(「髪前」レイヤーを非表示にすると描きやすいです。)
「肌」レイヤーの上に「新規レイヤー:乗算」⇒クリッピングします。
眼尻の辺りに赤色をうっすら入れます。
上に新規レイヤー「白目」を入れ、その上に新規レイヤーを作り肌の色を濃い色にした影を白目の上部分に薄く入れます。
次に「瞳」レイヤーを乗算にして塗っていきます。
「瞳」レイヤーの上に新規レイヤーを作り瞳の濃い部分を塗ります。
さらに「新規レイヤー:明暗」を作成し瞳の下半分を明るい黄色で塗ります。
加えて「新規レイヤー:明暗」で瞳上半分を青色系でうっすら入れます。
あとは色味が納得いくまで発光やオーバーレイで調整します。
顔の線画を調整します。ラフ時に描いた顔の中身(「★顔」)レイヤーの上に[新規レイヤー⇒クリッピング]。
そして眼尻あたりの色をスポイトで取り、その色で塗りつぶします。
さらに、上に新規レイヤーを作り、線画の色で丁寧に描いていきます。
口は口角部分を描き、中央部分はあまり描かないでおきます。
描いたらまつ毛の先端、眼尻、口先端、眉などを先ほど塗りつぶした色で薄く塗ります。
あとはまつ毛部分に[通常][明暗]レイヤーで瞳と同じ色を入れてちょっと光らせます。
瞳中心部分に白色をのせ不透明度を77%にし、新規レイヤーを作り瞳のハイライトを白色でいれます。
最後に「新規レイヤー:明暗」に黄色で瞳の両端にハイライトを入れ、顔の塗りはいったん終了です。瞳を描く際は透明な瞳になるよう注意しつつ描き込みます。
「髪前」レイヤーの上に[新規レイヤー⇒クリッピング]をします。
肌の影色をスポイトで取り、髪の毛と肌の接触部分を塗っていき、「髪前」レイヤーの[不透明度保護]のチェックを外して、自作の消しゴムでまつ毛・眉毛がうっすら見えるくらい消します。
線画の色を周りの色をスポイトで取りながら、塗ってなじませます。
肌の色が薄く感じたので調整し、唇にハイライトをいれました。
調整
着物に模様をいれたかったのでSAIで模様を描き、Photoshopに移動し[編集]→[変形]→[ワープ]で着物に合わせて変形させ、SAIに戻り色味・影などを入れて服になじませます。
全体的に塗れたら、さらに影をいれたり線画の上からハイライトをいれたり、反射の色などを描き込んでいきます。
最後に顔回りの色味を調整をします。
「キャラ」フォルダの上に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードをオーバーレイにしてクリッピングし、赤い色を顔のあたりに塗って不透明度を調整しました。
これを行うことで顔に赤みが少し増し、手などの他の肌の部分よりも目立つようにできます。
全体調整
キャラにススキを持たせます。
Photoshopで、背景に使った自作ススキのブラシを使い、新規レイヤーに描いたら、SAIに戻り塗っていきます。
背景にもススキがあるので、見えづらくならないように描き足していきます。
次に紅葉あたりを描き込んでいきます。
人物が落とす影を追加し、紅葉が透けて見える部分の修正、のっぺりと見える紅葉に立体感を持たせるなど描き込んでいきます。
次はススキの奥にある濃い色のススキを少し明るく調整します。
人物がつけている青い宝石を少し光を入れるため、「キャラ」フォルダの上に「新規レイヤー:明暗」を作成し、彩度の高い水色で色を付けます。
白色のレイヤーの上に「新規レイヤー:乗算」を作り、白色の線を頼りに濃い青色で水を描きます。
それでもまだ薄いので、「新規レイヤー:乗算」に濃い色でフチ・影を描き込みます。
さらに「新規レイヤー:明暗」に再度の高い水色・青で色を付けていきます。
その上に「新規レイヤー:通常」を加え、白でハイライトを入れます。
この時、通常モードのレイヤーに描き込みすぎると、水の透明度が下がるので、たくさんは描き込まないようにします。
向こう側が見えるくらいの透明な水が個人的に好きです。
全体調整2
Photoshopに移動してキャラの下に敷いた紅葉と同じブラシを使い、画面に紅葉を散らせます。
やり方は「星」と同じ方法です。着色・ハイライト入れはSAIで行います。
次に水ウサギの影を描き、紅葉の色・水の色も調整します。
ここで背景はほぼ完成なので、背景すべてのレイヤーを統合させます。
水の粒を「星」と同じ方法で少し描き足します。
また、夜なので少しキャラに闇の色味を加えていきます。
「キャラ」フォルダの上に「新規レイヤー:明暗」を加え、空の一番濃い色をスポイトで取りキャラクターの胸から下を薄く塗り、不透明度を調整します。
周りの背景にキャラをなじませるための大切な工程です。
最後に、絵を見たときにまずキャラクターに目が行くための調整を行います。
全てのレイヤーの一番上に「新規レイヤー:乗算」を作り、彩度・明度の低い紫色で画面のふちをエアブラシ等で塗り、不透明度を調整します。
その後、すべてのレイヤーを統合させます。