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イラストテクニック第228回/48円

第228回は、48円さんの登場です!
CLIP STUDIO PAINT EXで描く「冷蔵庫の中から見た視点」がインパクト大の作画工程を紹介します。

48円 絵を描いています。
少し不思議で、どこか闇を感じるモチーフを描くことが好きです。いつか絵でご飯が食べられたらいいなと思いながら、今日も描いています。

HP
pixiv

各項目のサムネイルをクリックすると、制作画面のスクリーンショットか、拡大画像を見ることができます。

48円さんの作業環境

描画ソフト:CLIP STUDIO PAINT EX
使用ペンタブレット:Wacom Cintiq Pro 17

Wacom Cintiq Pro 17は、コンパクトなサイズ感ながら解像度が高く、細かな描き込みもしやすい液晶ペンタブレットです。特に印象的だったのはペンの描き心地で、鉛筆のように自然に手になじみます。机まわりにも収まりが良く、長時間の制作でも快適に作業することができました。一度この描き心地を体験すると、元の環境には戻りにくく感じるほど、満足度の高い使用感です。

ラフ・色ラフ

今回のイラストは「冷蔵庫の中から見た視点」で描いています。

中身が気になって、じっとのぞき込む少女。
その横で、「そろそろ閉めたほうがいいんじゃないかな……」
という顔をしている男性。

普段から、ただの一枚絵にならないよう意識しています。
一枚のイラストから、
・ストーリー
・キャラクター同士の関係性
まで伝わるものになるように、構成を考えています。

ラフでは「これが描きたい」という気持ちを優先して、感情のまま筆を動かします

色ラフを作ります。
ラフの段階でも、レイヤーはある程度分けて描いています。

普段はすべて黒のまま進めていますが、今回は工程が分かりやすいように色を分けました。

色はざっくりと置き、パースや光源もこの段階では深く考えません。まずは、「描きたい」という気持ちを優先しています。

……とはいえ。
楽しいお絵描きタイムは、だいたいここまでです。

絵は、ここからが本番。完成度を上げるには、地道な作業が必要になります。この先は、「制作」という名の戦いです。一緒に、最後まで乗り切っていきましょう!

線画

線画は、あまり描き込みません。
最終的に線を塗りつぶしながら仕上げるので、この段階で完成させすぎないようにしています。

ここで頑張りすぎると、塗りに入る前に疲れてしまいますので、必要以上に描き込まずに線を引いています。男性の服も、冷蔵庫で隠れる部分は描き込みません。

ただ、表情だけはこの段階でしっかり決めます。

今回は、男性の視線をこちら側へ、少女も、より冷蔵庫へ興味を示す表情に調整しました。
男性の視線をこちら側へ向けることで、サムネイルサイズの小さな表示でも、視線が合うように調整しました。

一覧で見たときに、「おっ?」とクリックしたくなる力を持たせたかったからです。

5つにわけた線画のレイヤー構造をわかりやすく色分けしました。
・水色→人物の輪郭と目元、耳
・緑色→少女の前髪、男性の髪の輪郭
・赤色→少女の後ろ髪、男性の内側の髪と耳の内側
・ピンク色→衣装
・青色→リボン

下塗り

色は【バケツツール】で大まかに置いていきます。
今回は、少しシネマティックカラー寄りの色を意識しました。

人物のレイヤー構成は、一番下層に「肌」、一番上層に「アクセサリー」といった、実際に服を着せるような感覚で重ねています。
この並べ方にしているのは、色がはみ出しても修正しやすいからです。

また、3D素材の【冷蔵庫(コンテンツID:1686833)】にもグラデーションマップを使用し、全体の色調と馴染ませています。

3Dオブジェクトを配置する

シネマティックな雰囲気を強めるため、冷蔵庫の棚を「棚網」にしたいと考えていました。

ただ、素材を探してみても、冷蔵庫用の棚網素材は見つかりませんでした……。

そこで今回は【シンプル無骨手すり(コンテンツID:1950303)】に助けてもらいます。

本来とは違う用途の素材ですが、形や質感がかなり近かったので、棚網として加工していくことにしました。

素材を上下に配置後、「レイヤー→ラスタライズ」してから編集します。
フィルター→変形→曲面投影」で変形し、魚眼パース風に馴染ませていきます。

すると、急に「冷蔵庫の中っぽさ」が出てきました。
どうでしょう。かなり、いい雰囲気になってきた気がします。

完成図が見えてくると、ちょっと元気になります。
さっきまで「もうだめかもしれない…」と思っていたのに、不思議です。

創作は、上手に描くことよりも、最後までテンションを切らさず走れるかどうかが、何よりも大事だと思っています。
素材屋さんには、本当に感謝しかありません。

顔を描く

まずは肌から塗っていきます。
顔を最初に塗るのは、モチベーションを下げないためです。
顔が仕上がってくると、「完成が見えてきた気」がして、少し元気になります。

塗るときに意識していることのひとつに、安易に乗算レイヤーを頼りすぎないようにすることがあります。
個人的に、乗算した色は質感が少し軽く見える印象があるためです。見る人が見れば「乗算っぽい色」と伝わってしまうこともあります。
私の場合、使用する場所は線画や頬の線など、「線」になる部分に留めています。

より詳しい使用ツールやブラシについては、雑誌「季刊エス」93号に掲載していますので、気になる方はぜひご覧ください。

肌を塗ったことで、迷っていた瞳の色も決まりました。
完成が少し見えてきて、また少しだけ元気が出ます。

塗り進めるなかで、線画の色も変更していきます。
こうすると、肌の柔らかさや空気感が少し出てきます。

同時に、線画レイヤーの上へ「加筆」フォルダを作り、
細部を厚塗りで修正していきます。

色を塗る⇄線画レイヤーを消す」で厚塗りしながら仕上げます。
ここから先は、この作業の繰り返しです。

塗って、気になって、直して、また気になって直す。
服、肌、小物、髪……終わりの見えない作業ですが、まずは人物から完成へ近づけていきます。

人物の仕上げ

人物は、ほぼ完成まで塗り終わりました。

装飾や気になった部分は、線を描き足すのではなく、厚塗りで上描きしながら修正しています。

この工程まで来ると、ようやく完成形が見えてきます。
少し安心…。
ただ、完成が近づくにつれて新しい粗も見つかるので油断はできません。

また、この段階で変形によって切れてしまった冷蔵庫の網棚の端も加筆しています。

冷蔵庫の中身の配置

いよいよ、冷蔵庫の中身を描くときがやってきました。

「冷蔵庫の中身を描いたら完成!」……と、心の中で何度も唱えながら進めています。

まずは3Dオブジェクトで大まかな配置を決めます。
網棚越しなので少し見えにくいですが、右上に卵パック、左側にボトル類を配置しています。

ただ、一生懸命描いた人物が冷蔵庫の中身で隠れていくので、内心かなりしょんぼりしています。

まずは「グラデーションマップ」で3Dオブジェクトへ大まかに色をつけます。

グラデーションマップ」は、色を置き換えられる色調補正機能です。
左図がケチャップ本体、右図がキャップ部分の設定です。

一気に色の方向性を決められるので、今回のようにシネマティックな色設計へ寄せたいときによく使っています。

グリザイユ画法との相性も良く、個人的にはかなりお世話になっている機能です。

3D素材をそのまま使うと違和感が残るので、上から描き込んで手描き部分と馴染ませていきます

①影とハイライトを塗ります。明るい部分には少女の髪色に近い黄色を入れています。

②ラベルを描きます。上部の「TOMATO」のMATO部分が目立ちすぎたため、トマトの下に添える文字はこの世に存在しない呪文のような見た目にして、記号化しました。

③アウトラインを加え、細部を描き込みます。色調整も行い、メリハリを出します。

④傾いていたラベルを「変形」で修正しました。

これを冷蔵庫の中身すべてに繰り返していきます。
参考資料として、自宅の冷蔵庫も同じ構図で撮影しながら描いています。

冷蔵庫の中身(手前)の描き込み

手前の冷蔵庫の中身を描いていきます。

しなびたポテトに、むき出しのハンバーガー。
プリンやアヒルの人形……?
ねぎの先端も少し枯れていて、どこかくたびれています。

冷蔵庫の中身を描くときは、二人の生活や関係性を想像しています。
描いているうちにキャラクター像が見えてきたので、冷蔵庫の中身も少し変更しました。

見た方に、絵には描かれていない時間や物語を感じてもらえたら嬉しいな、と思いながら描いています。

途中で画面がごちゃついてきたため、左側の扉は削除することにしました。
そのぶん人物を描き足しています。
また、網目部分もグラデーションマップで色味を調整し、加筆しています。

冷蔵庫の中身(奥)の描き込み

①冷蔵庫の中身をより見せたかったので、3Dで配置した冷蔵庫は非表示にし、新しく描き直しました。パースは多少ずれますが、今回は正確さより見栄えを優先しています。

②左からの光源を意識してラフに色を置いていきます。棚には瓶詰めを並べます。ムカデのホルマリン漬けとオレンジを描きました。ムカデにした理由は、先日寝室に現れて見事に噛まれたからです。せっかくなので絵のなかでホルマリン漬けにしておきました。

オレンジは、ケチャップの奥にオレンジジュースを描いていたのですが、画面の都合で没になりました。その無念を込めて、瓶詰めで再登場してもらっています。

③厚塗りで描き込んでいきます。瓶の重みや透明感を出すため、光と影のメリハリを強めて立体感を作っています。

④最後に全体へ「フィルター→ぼかし→ガウスぼかし」をかけます。

完成が近づくにつれて、画面全体を確認しながら微調整する作業も増えていきます。

視線誘導の調整

冷蔵庫(手前)の作画フォルダーを複製し、片方を結合して1枚のレイヤーにします。
もう片方は修正用として非表示の状態で残しておきます。

結合したレイヤーに「フィルター→ぼかし→ガウスぼかし」をかけて合成します。

人物と冷蔵庫(奥)を表示させました。

本音を言えば、一生懸命描き込んだ部分をぼかすのは少し悔しいです。
ただ、こうすることで手前の情報量が整理され、人物へ視線が向かいやすくなります

今回の主役は冷蔵庫の中身ではなくふたりのキャラクターです。
何を見せたいのかを考えながら、最後の調整を行っています。

色調整・加筆・仕上げ

いよいよ完成目前です!

ベースが完成していて、細部を描き込んでいく……。
実はこの作業が一番好きだったりします。

トーンカーブ」や「明るさ・コントラスト」で全体の色を調整します。

ぼかしブラシ】で光の反射を描いていきます。

合成モード「スクリーン」を使い、瓶のガラスらしい透明感や光を作っています。

入れた場所を分かりやすく表示したのが画像が2枚目(右図)です。

最後にノイズを加え、全体をシネマティックな雰囲気へ調整しました。
少しざらつきを入れることで、画面の空気感をまとめています。

「ここをこうしたら、もっと良くなる」を頼りに加筆していきます。
分かりやすくした画像が2枚目(右図)です。
瓶の上に花を添えてみたり、フライドポテトのケースを修正したり、ピアスを追加したりしました。

ちなみに、人相学では耳の形や大きさ、付いている位置から、その人の性格や傾向を見るそうです。
本当かどうかは分かりませんが、そういう話は結構好きなので、キャラクターを描くときの参考にしています。
このイラストの男性と少女でも、耳の形を少し変えているんですよ。

最後にスマホへ転送して確認します。
今はスマホで作品を見る方も多いので、常に見る側の立場で確認するようにしています。
大画面では気付けなかった粗が見つかることもあります。

最終チェックを終えたら、完成です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!
それでは私は、冷蔵庫を閉めて、ゆっくり休もうと思います。

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高い色精度と高解像度のディスプレイと、新しいペンテクノロジーWacom Pro Pen 3を搭載。クリエイターと作品の間で交わされる共鳴を存分に描きつくす、ワコムの最先端液晶ペンタブレットです。

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