これまで100人を超えるクリエイターへのインタビューとドローイング動画を紹介してきたワコムの人気コンテンツ、Drawing with Wacom。
見どころたっぷりのドローイングをより深く楽しむために、よく使われるテクニックや用語を、最近の動画を例に紹介していきます。これを読めばあなたもDrawing with Wacomに登場できるようになる……!?
- DwW豆知識編
- ラフ~線画編
- 塗り編
- 仕上げ・テクニック編
ドローイング動画解説〈DwW豆知識編〉
①これまでに登場したクリエイター
2009年9月にスタートしたDrawing with Wacomは、2020年4月に連載106回目を迎え、これまでに総勢108人のクリエイター(イラストレーターとデザイナーのコラボ2回を含む)が登場してきました。登場したクリエイターの内訳は、イラストレーター58名、マンガ家31名、アニメーター8名、その他の肩書で活躍するクリエイターが11名となっています。
②撮影に使う液晶ペンタブレット
ドローイングの撮影に使う液晶ペンタブレットはその時々のワコムのフラッグシップとなる最新機種です。2018年4月から現在まではWacom Cintiq Pro 24を使用しています。
※DwW090の焦茶さんのみWacom Cintiq Pro 32を使用しています。
Wacom Cintiq Pro 24
Wacom Pro Pen 2による高精度な描き心地と、4K表示対応、最大Adobe RGBカバー率99%の広色域ディスプレイで使用可能な液晶ペンタブレットです。
Drawing with Wacomの第1回で使われた機種は「Cintiq 21UX(DTZ-2100)」。アスペクト比4:3の21.3型液晶を搭載し、Intuos3と同等のペン入力機能(筆圧解像度1024レベル/最小ON荷重10g)を有する同機は当時として画期的な製品でした。
その後、撮影に使用する液晶ペンタブレットはIntuos4と同等にアップデートされた「後期型Cintiq 21UX(DTK-2100)」、フルHD解像度に対応したロングセラー「Cintiq 24HD」、さらに画面が大きくなった「Cintiq 27QHD」、4Kの高精細な画面をモバイル筐体に収めた新世代機「Wacom MobileStudio Pro 16」という変遷を経て、現在の「Wacom Cintiq Pro 24」に至っています。ぜひドローイング動画で液晶ペンタブレットの進化を確認してみてください。
Drawing with Wacom 001、KEIさんのドローイング動画(2009年9月公開)。使っている液晶ペンタブレットはCintiq 21UX(DTZ-2100)
最新のDrawing with Wacom 106、PALOW.さんのドローイング動画(2020年4月公開)。使っている液晶ペンタブレットはWacom Cintiq Pro 24
③使用する作画ソフトは?
ドローイング動画では、それぞれのクリエイターが使い慣れたソフトウェアで描いてもらうため、作画に使われるソフトウェアは毎回、異なっています。時期によってよく使われるソフトウェアも変化しているのですが、これまでに使用されてきたソフトウェアを登場回数順にまとめるとこのようになります。
ソフトウェア | 登場回数 |
---|---|
Adobe Photoshop | 50 |
CLIP STUDIO PAINT | 34 |
PaintTool SAI | 30 |
ComicStudio | 4 |
Adobe Illustrator | 3 |
IllustStudio | 3 |
Corel Painter | 2 |
Autodesk Sketch Book | 1 |
Cinema 4D | 1 |
Zbrush | 1 |
Adobe AfterEffects | 1 |
クリエイターによっては複数のソフトウェアを組み合わせて使用することがあるため、合計が106回を上まわっていますが、最も多く使われていたのがAdobe Photoshop、企画をスタートした頃はペイントツール SAIを使用するクリエイターの比率が高く、最近ではCLIP STUDIO PAINTが使われる機会が多くなっています。ソフトウェアを併用するクリエイターは、仕上げ段階で色を扱う作業にAdobe Photoshopを使うケースが多い様です。
④作画時間はどれくらい?
ドローイング動画は、YouTubeにアップロードする際に20分以内に収めるため、繰り返しの作業や大幅な描き直しの動作などを編集でカットしたり、部分ごとに早送りのスピードを変えているので、単純に実際の作業時間を早送りで短くしたものとは長さが異なります。では、実際にドローイングにかかっている時間はどれくらいなのでしょうか? 最近1年間のドローイング動画を例に実際の作画時間を見てみましょう。
登場回 | クリエイター | 作画時間 |
---|---|---|
DwW106 | PALOW. | 4:26:00 |
DwW105 | なぎみそ | 2:24:00 |
DwW104 | 森倉円 | 6:10:00 |
DwW103 | wataboku | 1:54:00 |
DwW102 | せんちゃ | 3:34:00 |
DwW101 | 米山舞 | 4:06:00 |
DwW100 | 刈谷仁美 | 3:09:00 |
DwW099 | ねづみどし | 4:18:00 |
DwW098 | 太田垣康男 | 1:24:00 |
DwW097 | 高橋しん | 2:13:00 |
DwW096 | 丸紅茜 | 4:04:00 |
時期によって異なりますが、現在はだいたい3~4時間を目標にドローイングの撮影を行っています。クリエイターによって2時間以内で描き上げてしまうこともあれば、5時間ほどかけてじっくりと完成させることもあります。YouTubeのコメント欄ですごいスピードで描き上げていることに驚いている人は安心してください!
⑤絵だけじゃない? ドローイング動画の注目ポイント
プロのクリエイターが作品を描き上げる様子をじっくり眺められる貴重な機会、イラストのメイキング以外にも注目すると楽しいポイントがいくつもあります。
- 利き手
- すごい作品を描き上げるクリエイターの利き手に注目! DwWではこれまでに登場した108人のクリエイターの内、7人が左利きでした。なかでもDwW098から102にかけては1人おきに左利きのクリエイターが登場しています。
- ペンの持ち方
- 絵を描く時のペンの持ち方は人それぞれですが、手の大きさや画風によっても変わってきます。気になるクリエイターのペンの持ち方を見て、自分と比べてみるのも面白いかもしれません。
- ワークスペース
- 作画に使うソフトウェアの豊富な機能を使いこなすために、ツールパレットをどのように配置するかはクリエイターによって異なっています。同じ機能、たとえばカラーパレットを画面の右に置くか左に置くか、または上に置くか下に置くか。同じソフトウェア、同じツールパレットでも全く違う場所に配置されているので、自分のワークスペースと比べてみてください。もしかするともっと効率よく作業できる理想のワークスペースが見つかるかもしれません!
⑥BGM、ロゴデザインについて
ドローイング動画に使われているBGMはDwW088からリニューアルされ、Drawing with Wacomのために新たに作曲したテーマ曲「Cinchoq Drawing!」が使われるようになりました。DwW084に登場したクリエイターのGYARIさんが作曲した「Cinchoq Drawing!」は、いくつかに分かれたパートを組み合わせて演奏することでドローイング動画の長さにあわせてBGMの長さも変えられるようになっているという優れモノです。
BGMがリニューアルされたDrawing with Wacom 088、大童澄瞳さんのドローイング動画(2018年10月公開)。
同じくDwW088では動画の最初に出るDrawing with Wacomのロゴも新しくなっています。このロゴは映画『君の名は。』をはじめ様々なアニメ、漫画のデザインを手掛けるデザイン事務所BALCOLONY.のデザイナー染谷洋平さんによるものです。
Drawing with Wacomはワコムタブレットサイトで毎月25日頃更新中です! 様々なクリエイターのインタビューと、貴重なドローイング動画をお楽しみください!!
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